予備試験に合格した私だから伝えられる!法学の基礎基本!

予備試験・司法試験の合格を目指していた私が法学の基礎基本とは何か…ということに悩み苦しんだ結果、たどり着いた答えを書き綴っていきたいと思います!難しい論点を解説しようとはしていません。法律の資格試験に合格するのに必要なことは法学の基礎基本を見極め、理解することだけです!

まだ判例百選読んでるの? 判例学習を有意義にする正しい考え方

判例学習の犠牲者」にならないために

 
初めに確認しておきたいことは、判例は重要であるということです。
法律を深く理解するためには、幅広く判例を知り、判例を深く理解しているに越したことはありません。
 
しかし、「なぜ判例が重要か?」を考えたことはありますか。
判例・通説は重要だ!」という言葉を鵜呑みにして、とりあえず判例・通説と呼ばれているものは覚えておこうと思っていませんか。
「実務家になるなら重要判例くらい覚えてないと・・・」と言われて焦りを感じたりしていませんか。
 
そもそも、重要判例と呼ばれる判例だけでも全て触れようとすれば、膨大な時間がかかります。
それらを正確に暗記しようとすれば、凡人には到底不可能な領域になるでしょう。
 
「それでもやるんだ!!」「法律の勉強は大変なんだ!!」と強い信念を持ち、勉強に取り組むことは、尊い姿勢だと思います。
しかしながら、それ以外に道はないと信じた結果、早々に挫折し法律の道を諦めてしまっている方を多く見てきました。
まじめに勉強しようとする人ほど、その傾向があるように思います。
 
また、法律の世界には相当数頭のいい人がいます。
尋常ではない量の文献も「努力」で乗り越えられてしまう才能を持った方がごまんといます。
すると、その「努力」を見て自分にはできないと諦めてしまう方がいます。
 
私はそれがとても残念です。
「『凡人』でも目標に到達できる。」
その可能性を少しでも広げたいと考えています。
今回は、多くの法律学習者が挫折する「判例学習」との向き合い方について書いてみたいと思います。
 

判例とは?

 
判例は、ざっくり言えば、ある訴訟に対する裁判所の判断のことです。
つまり、裁判所はその法的紛争をどう解決したのかを記録したものです。
 
判例を見れば
・裁判所はこのような法的紛争はどう解決するのか?
・裁判所はこの法律問題をどのように考えているのか?
がわかるということになります。
 
これは法律問題に対する「正解」を教えるものではありません。
あくまで「裁判所」はどう考えているのか、を示すにすぎないのです。
言ってみれば、数ある法的見解の中の一つにすぎません。
 
確かに、実務の世界では、訴訟の帰趨が裁判所の判断に左右されます。
そのため、判例を事前に知り、それに合わせて訴訟戦略を立てたり、紛争解決を図ったりすることは重要です。
法律学習の中で「判例」を学ばなければならないのもこのためです。
 
しかし、上記の通り、「正解」ではありません。
あくまで「裁判所の見解」を示しているだけなのです。
判例に批判が出ることもあります。
判例自体が変更されることもあります。
判例」に対して何ら疑いの目を向けることなく、妄信的に覚えようという姿勢は、そもそも「判例」とは何かを理解していないことを表していると思います。
 
判例・通説は大事だから覚えよう!!」という指導は、少しでも覚える範囲を明確かつ限定的にしようとする意味では「分かりやすい」と思います。
しかし、「判例・通説」だけでもその範囲は膨大です。
「覚える範囲を分厚いテキストの一部に限定してもらえた!!」とありがたく思えるレベルの話ではないのです。
 

判例はなぜ必要か?

 
判例が実務の世界で重要であることは、上記の通りです。
ただ、判例の機能を知るとその重要性がより分かると思います。
 
判例の機能は主に以下の点が挙げられます。
 
①条文の文言の意義を明らかにする
②条文上不明な点を明らかにする
③当該問題に適用できる条文が存在しない場合の処理を明らかにする
④条文相互の関係性を明らかにする
⑤条文を適用した結果を明らかにする
 
法律問題を解決する際、「条文に基づいて処理する」ことが基本です。
このことは、当ブログを読んでくださっている方なら、もう嫌と言うほど確認したことでしょう。
しかし、「条文」は、万能ではありません。
「条文」を読んだだけでは結論に至らない問題がたくさんあります。
条文と結論との間には、多くの間隙があるからです。
 
上記①~⑤は、条文を正しく使った結果生じる「条文と問題に対する結論との間隙」を示しています。
判例」は、条文の存在だけでは足りない間隙を補う機能を果たしているのです。
 
判例をどう学ぶか?
 
この点を前提にすると、判例との向き合い方が見えてきます。
 
まずは、条文を正しく使うこと(法学のコンパス1参照)。
そして、①~⑤にたどり着けること。
①~⑤のいずれにあたるかを正確に認識した上で、判例の内容を理解すること。
 
条文の正しい使い方を知る。
それを前提に判例の機能を整理し、判例の内容を理解する。
これらの点は、判例を覚えること以上に大切なことだと思います。
 

判例を正しく学ぶ効用

 
判例を正しく学ぶとこんないいことがあります。
判例を知らなくても問題を解けるようになる
・膨大な判例を暗記しやすくなる
判例を「使える」ようになる
 
判例を整理しながら読めるようになると、判例にはある程度のパターンがあることが分かってきます。
すると、「このようなタイプの問題は、こう考えるだろうな!」という予測が立てられるようになります。
判例を知らなくても解ける問題が飛躍的に増えます。
 
また、判例のパターンが見えてくると、頭の中も整理されるため、暗記が楽になります。
だいたいの流れを自分なりに組み立てられるので、キーワードさえ覚えておけば足り、判例の全てをしっかり覚えなくて済むようになります。
 
さらに判例の機能に注目して条文とのつながりを整理できれば、使える形で判例をインプットできます。
判例の結論と理由だけとりあえず暗記しようとしていませんか?
それでは「使える」知識になりません。
安定的に得点できるようになるためには、たくさんの「使えない」知識より少なくても「使える」知識を増やすことが大切です。
特に予備試験・司法試験のような難関試験では、手を変え品を変え、間違いを誘発する仕掛けを与えてきます。
「使える」知識があれば、出題傾向の変化やひっかけなど、受験生が不平不満を述べがちないくつもの壁に動じなくなります。
 
※条文の正しい使い方を知りたいなら・・・
 
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