予備試験に合格した私だから伝えられる!法学の基礎基本!

予備試験・司法試験の合格を目指していた私が法学の基礎基本とは何か…ということに悩み苦しんだ結果、たどり着いた答えを書き綴っていきたいと思います!難しい論点を解説しようとはしていません。法律の資格試験に合格するのに必要なことは法学の基礎基本を見極め、理解することだけです!

会社法改正! 条文を理解するためには、その背景を知る必要がある!~その3~

長かったので再度分割です。。。

 

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・第八回法制審議会

坂本関係官 それでは,8ページの株主提案権について御説明いたします。 「1 提案することができる議案の数につきましては当部会において株主が提案することができる議案の数を幾つまでとするかという論点役員等の選任又は解任に関する議案の数をどのように数えるかという論点相互に関連する問題でありに議論すべきでないという御指摘があったことから本中間試案のたたき台においては両論点に関して考えられる組合せとして,A案から案までの案を掲げております案は提案することができる議案の数をとした上で役員等の選任又は解任に関する議案については議案の数の制限の例外とするというものです案は提案することができる議案の数を10とした上で役員等の選任又は解任に関する議案については選任又は解任される役員等の人数にかかわらず選任議案をまとめて議案解任議案をまとめて議案として数えるというものです案は提案することができる議案の数を10とした上で役員等の選任又は解任に関する議案については提案することができる議案の数の制限の例外とするというものです

 また,1では定款変更議案の数え方について言及しております当部会においては株主が一つの議案として提出しようとする定款変更議案であってもその内容において関連する事項ごとに区分して数えるという方向性についてはおおむね御賛同いただいているものと理解しておりますもっともこれを明文の規定として定めるべきかどうかについてはその関連性の判断基準を具体的にどのように考えるかを整理した上で検討すべきであるという御指摘もあったことからこの点についてはなお検討するものとしております

「2内容による提案の制限につきましては当部会における議論等を踏まえ会社が株主提案を拒絶することができる事由を列挙したものでございますこちらは回会議で御提案した内容から変更はございません

続きまして,9ページの第の補足説明「2株主提案権の行使要件及び行使期限についてですが当部会においては株主提案権の行使要件について,300個以上の議決権という要件の廃止又は引上げを行うべきであるとの御意見がありまたこの点については昭和56年当時と現在との投資単位の異同や実際の提案株主が有していた議決権の状況等を確認した上で検討すべきであるという御指摘を頂きました

 そこで投資単位について比較をしてみたところ昭和56年当時の東京証券取引所市場第一部に置ける投資単位は当時の物価で約41万円でありこれは現在の貨幣価値に引き直した場合計算に用いる物価指数によって計算結果に一定の幅は生じるものの36万円から52万円となりますこれに対して平成28年の平均的な投資単位は約26万円であるとされておりますしたがって現在の貨幣価値に引き直して考えた場合投資単位は昭和56年当時と比べると減少はしているもののそれほど大幅な減少とまでは言えずまた平成28年時点においても,300個要件によって株主提案権を行使するためには7800万円の投資が必要ということになるため各個人株主にとってはなお高額であり現在において株主提案権を行使することができる株主の範囲が広くなり過ぎているという評価をすることは難しいものと考えます

 また平成24月から平成28月までに開催された株主総会における株主提案に係る提案株主の議決権割合について見てみると,1%未満つまり議決権300個以上の要件のみを満たす株主による株主提案の件数は株主提案全体の約割を占めているという調査結果がございますこのように仮に議決権300個以上という要件の廃止又は引上げを行う場合には最大で約割以上の株主提案が認められないこととなる可能性がございますしたがって300個以上の議決権という要件の廃止又は引上げを行うこととした場合には個人株主による株主提案権の行使を過度に制限してしまうことになるおそれがあるものと考えております

 また当部会においては株主提案権の行使期限についても,8週間前という現行の行使期限を前倒しすべきであるとの御指摘がございましたもっとも株主は株主提案権の行使時に株主総会の日を正確に知らないのが通常ですので現行の行使期限を更に前倒しした場合には株主提案権を行使する株主にとっては株主総会における会社提案の内容や行使期限の具体的な時点を予測すること会社の状況を見極めた上でその状況に応じて株主提案権を行使することが一層困難になるおそれがあるものと考えられます

 当部会においては仮に提案することができる議案の数や内容による提案の制限について規律を設けるものとする場合にはそれらに加えて行使要件及び行使期限を見直すまでの必要はないという御指摘もされておりますさらに平成28月から平成29月までの間の株主総会株主提案が提出された上場会社は51社程度にとどまっており依然としてその数は少ないことからしても株主提案権の行使要件及び行使期限の見直しについては慎重な検討が必要であると考えております

 御説明は以上となります

 

古本委員 ありがとうございます

 まず点目の提案することができる議案の数については以前から申し上げておりますように提案個数の上限を考えるに当たっては濫用か否かというところについてなかなか判断が難しいところもありますので株主総会で株主提案にどれぐらい時間を要することになっているのかといったことも考慮して検討するべきだと考えますその意味で経団連としては,1個ないし個を上限とすべきだということを申し上げてきたところであり部会資料の選択肢において,5,10,10となっているところを例えば,3,5,10というような案としていただければと思います

 それから役員選解任議案をゼロとするか,1とするかということは株主提案の上限数をここで御提示されているような10とすると余り差が出ないので上限の個数とこの役員の選解任議案をゼロとするかとするかという選択肢を組み合わせるか若しくは上限を10個とする場合に役員の選解任議案をとするかゼロとするかという選択肢ではなくて例えば上限を個とする選択肢についても役員の選解任議案をとするかゼロとするかという選択肢を入れることを検討していただければと思います

 次に,2番の内容による提案の制限についてはこれも前回の会合で議論になりましたが部会資料では専らの目的という文言となっておりますしかし目的という提案株主の主観的なものにつきましてこのからのそれぞれの要件に該当すると会社側が判断するのは難しいのではないかと思います現実的には本当は不当な目的の提案であっても正当な目的であるかのような外形を装って提案がなされるというのが実態ですので,「専らという要件が入ると当該株主提案が100%不適切な目的で提案されていると会社サイドで判断して拒絶するということは現実的には難しくなってくると思いますしたがいまして中間試案には,「主として何の目的でとする文言も選択肢に加えた上で国民の意見を聞いていただきたいと思います

 また株主提案は現実的には大半が定款変更議案の形でなされていますかつそのほとんどが業務執行に関する提案となっていますまたこうした議案はほぼ例外なく否決されておりまして賛成比率はほとんどの場合でとなっております株主総会当たり前ですけれども臨時株主総会を除くと年に回しか開催されませんので業務執行に関する決定を行うには適さない機関であるということは明らかです仮に日常的な業務執行に関する事項が定款に定められるようなことになると当然ながら機動的で柔軟な経営判断企業経営に支障が出てくることにもなりかねませんしたがいまして専ら業務執行の範囲に属する事項については定款に定めることを提案できないとすべきであり少なくとも中間試案にはこのことを記載した上で広く意見を聞くことにしていただきたいと思います

 それから資料の補足説明に記載されている株主提案権の行使要件についてはこれも何度も申し上げて恐縮ですけれども資料の10ページの下の方に要は議決権300個の要件を引き上げる又は廃止しますと株主数の多い大規模な会社においては個人株主による株主提案権の行使が過度に制限されてしまうしたがってこの要件を維持すべきであるとこういう趣旨のことが書かれておりますしかしながら,1%又は300個という今の行使要件が,300個というものがあるために極端に緩和されているということであれば,300個の要件は見直してしかるべきではないかと思います現状は会社の規模に照らして議決権保有比率が極端に小さい株主にも提案権の行使が認められておりこのことが会社ひいては株主全体の利益に合致しなくなっている実態もあるということを是非御理解いただきたいと思います

 回の部会で藤田委員から,300個要件と1%要件というのはどういう関係にあるのかどのぐらい乖離しているのかという御発言がありましたのでこれに関連して今日机上配布の形で資料をお配りさせていただいています

 資料と書いてあるA4横の表になっている資料は,1枚目のページ目,2ページ目に経団連の主要企業のうち近年株主提案がなされた会社についてヒアリングをした結果をまとめたものです。2枚目は資料版の商事法務からピックアップして作ったものですこれを御覧いただくと一番左から番目に提案株主の議決権比率が書いてありその隣に提案個数等が書いてありますその隣は提案内容を記載しております御覧いただくとほとんどの提案株主の議決権保有比率は1%どころか0.0といったレベルがほとんどであり,100分の1%にも満たないケースもかなりありますそれからもう一つの棒グラフの資料は,2017月総会において株主提案を受け

た企業にとって議決権の1%が株式何個に相当しているかというものを示したものであり,1%300個との間には著しい乖離が見られるということは明らかだと思います

 それから近年実際に可決された株主提案について見てみますと大株主が提案したケースがほとんどといいますか全てのようです昨年の実績を見ますと可決されたのは大株主からの提案件のみと認識しておりますそれ以外の株主提案についての賛成率は先ほどの表にも書いておりますが一部の例外を除きますとみんな%,多くても10%台となっていますまた先ほどの資料の一番右端に株主総会全体に占める株主提案に係る時間の割合というので実績がざっと書いていますけれども中には50%,半分ぐらいの時間が株主提案に費やされたと割かざるを得なかったという会社も見受けられましたこのようにおよそ実現困難な提案のために会社のマンパワーと時間的リソースが割かれているということは提案を受けた会社にとって多大な負担となっておりまして他の株主との対話の機会を損なうことにもなりかねない状況にあります

 したがいまして,300個以上の議決権という要件をやはり廃止するか又は引き上げることを更に検討いただきたいと思っておりまして少なくとも中間試案におきましてはこれを一つの選択肢として提示して広く意見を聞くべきであろうと思います

 それから最後に提案権の行使期限についてですけれどもこれも先ほどの補足説明の10ページ目の下の二つのパラグラフにありますけれども行使期限を早めると総会の日を正確に知ることができないために株主は提案権を行使することが一層困難になると指摘されておりますしかし,2週間ほど前倒しにしたとしても現行制度の下における状況と大きく変わるものではないのではないかと思っております仮にこれが非常に大きな懸念となって前倒しができないということであれば行使期限を例えば基準日から週間後までといったような決め方とすることも考えられるのではないかと思います

 この提案権の行使期限は先ほどの議論にもありましたが総会資料の早期提供を可能にするためにこれがネックになってくるということもありますので少なくとも中間試案におきましては一つの選択肢として提示されるべきであると思います

 

小林委員 ありがとうございます

 古本委員からの御発言と内容がほぼ重なりますがまず株主提案権の提案することができる議案の数は実際の株主提案制度の場合実質的な検討をするためのリソースあるいは株主そのものとコミュニケーションということを考えますと今提示されている内容では多いと感じております々3個から個ぐらいが限界ではないかという意見もさせていただきましたので私どもとしては,A案の数え方で個という選択肢をもう一つ増やしていただきたいというのが一つのお願いでございます

 それから内容の提案の制限につきましては,「専ら」,「著しくというような文言が入っておりますが権利内容として捉える射程がかなり狭くなっており現実にこれを会社側で立証せよと言われても非常に厳しく極めて制限的だということがございますので本来であれば,「専らとか著しくという言葉は削除した選択肢を示していただきたいと考えていますただそこまではということであれば,「専らについては主として」,「著しくについては特にというように置換した選択肢を示していただけるといいのではないかと考えております

 もう一つ株主提案権の行使要件行使期限についてですけれども株主総会の適正な運営について実証的なところは今御説明もありましたが提案の制度とか実際の議事との関係あるいは実際の可決可能性ということを十分に考えていただきたいということもございますので300個要件については廃止又は引上げということを中間試案の選択肢として考えていただきたいと思っております

 行使期限についてはやはり現在の株主総会実務でも提案が現実に出てきたときは非常にタイトな日程でございますので今の制度の中であっても行使期限の前倒しをしていただきたいと思っておりますが今回言われている電子提供措置の開始日とか招集通知の送付期限が現行の例えば総会週間前より早くすることについてそのような提案をする場合には株主提案の行使期限も前倒しすることも併せて検討するぐらいのことは少なくとも中間試案では示していただきたいと考えております

 

田中幹事 これまでの御意見と共通するところが多いのですけれどもまず提案個数に関しましては議案の数と役員の選解任議案の取扱いは論理的に分けて考えるべきだというのは前回申し上げたとおりなのですがそのように考えるのであれば10個のところで役員選解任議案は除くのと,1個の議案として数えるという選択肢があるのであれば,A案に関してもその二つの選択肢を示すという方が論理的にも筋が通っているのではないかと思います。A案についてだけ除くという選択肢しかないと何かやはりその個数とこの問題がリンクしているかのように思われてしまうように思いますそしてまた実際的に考えても役員選任議案を個と数えた上で,5個ということが過度に制限的であると私は思っておりませんそういう選択肢は十分考えられると思いますし十分パブリックコメントに付す価値があるのではないかと思います

 この問題に関してはやはり一提案株主の提案によって総会の検討時間が割かれるという観点からそれほどのコストをかけて決定を要求できる権利と考えるわけですのである程度そこは制限的にしてもいいのではないかそしてまた制限した結果として例えば会社支配権が交代するような事態で提案権が制限されているために交代が起こらないということがどの程度あるかと考えるとそれほどないのではないか少なくとも個あれば基本的には十分であるような気がしますしまたどうしても制限される場合は臨時総会を招集するという権利一定の大株主に対しては常に開かれていることから考えてももう少し積極的に制限を考えてもいいのではないか私は考えております

 それから株主提案権の行使要件及び行使期限のことなのですけれども私も部会の検討を踏まえてやはりパブリックコメントに付す少なくとも期限とか行使要件についてどう考えるかという形での提案はあっていいのではないかと部会でもそういった議論は有力になされていたわけですしそれから私個人としても少なくとも行使期限に関しては招集通知の早期発送などのボトルネックになっているという点もありますのでちょっと濫用の防止とは別に少しこの期限をもう少し長くするということにメリットがあると考えています株主が期限が分からなくなるという点については先ほど古本委員からも御提案がありましたけれども決算期あるいは決算期の何日か後と総会日の10あるいは12週前のいずれか遅いときを期限とするとかそういう形で考えると現在の実務を前提にすれば決算日と総会日の12週前ぐらいがどちらが遅いか微妙なぐらいの期限だと思うのですけれどもそれを一つの方向感にするとかこれは一案にすぎないですけれどもちょっとその点に関しても考えていただいてはどうかと

 それから行使要件個数に関しても現在の株主の提案権を一種の既得権のように考えれば今ある提案の割ぐらいが提案できなくなるのは問題だということになるかもしれませんけれども総会の審議の充実ということを考えたときに確かに両刃の剣的な部分はあるかもしれませんけれども審議事項をある程度絞った上で充実した検討ができるようにするという観点から現在の今ある株主の権利を既得とするのではなくもう少し白紙の状態で考えるということもあり得るかと思いますのでこの点に関してもパブリックコメントに付すという方向で是非検討していただければと思います

 

梅野幹事 発言の機会を頂戴してありがとうございます

 田中先生初めいろいろ御発言いただいたこと十分に理解しつつこの場において様な意見を出すこと自体も意義があると思いますので一言申し上げさせていただきますが私の方で回部会において株主提案権の提案することができる議案の数については株主提案権の行使という重要な権利について数を制限しなければいけないかどうか慎重に検討すべきであるということを申し上げましたその点については引き続き同じような問題意識を持っておりまして当部会においては必ずしもそういった意見は非常に少数だったというように理解はしておりますけれどもこのような問題制限すべきかどうかについてはパブリックコメントで広く一般の意見を募ることにも意義があるのかなというように考えております

 そういった意味でこの案として現行法の規律を見直さないものとするといったような選択肢を掲げていただくことができないのかということについてお願いしたいということを考えています御検討いただければ幸いです

 

藤田委員 飽くまでどの案を支持するかという観点ではなくパブリックコメントの付し方という観点から少しお話しさせていただきます実はこの資料を受け取って今日来るまでは提示された案でいいと思っていたのですけれども改めて本日配布された古本委員の資料を拝読しますとこの補足説明でパブリックコメントに付していいのだろうかという疑問が少し出てきました補足説明の書き方だと例えば,300株の持株要件の要件を廃止したり引き上げたりすると非常に多くの株主の権利を制約すると聞こえてしまうのですけれどもそういう要件に基づいてどのような提案がなされているかという資料を拝見するとちょっと考えた方がいいような気もしてきますまた,300個と1%の乖離が一番少ないところで分のぐらいで両者が逆転することはまずないとするとこういう要件の立て方に合理性があるかという疑問があると言えばあるこれらのデータも踏まえますと今の補足説明の書き方はちょっと幾ら何でも一方的な気がします古本委員提出のデータもどういうふうなサンプルをとられているかがよく分からないものですから精査する必要があるかもしれませんがちょっと書き方をやや中立的にした上でパブコメに付していただければと思います

 提案としてあえて入れる必要までとは思いませんが行使期限と提案の要件についても見直すべき必要があるかどうかについて検討する余地があるといった補注などでも付けるということぐらいはした方がいいかなと改めて今日の資料を拝読してから思いました

 

竹林幹事 梅野幹事に御質問なのですが先ほど現状を見直さないという御意見を数という点に着目して頂いていたと思うのですけれども現状を見直さないという御意見の背景にあるものは行使要件ですとか行使期限の見直しということについても基本的には見直すべきではないという御主張と理解してよろしいのでしょうか

 

梅野幹事 私が先ほど申し上げたのは飽くまでも議決権の数に関するものにとどまります

 

松井幹事 頂いた資料を拝見いたしますと議決権議決決議の趨勢に影響を及ぼすような提案がなされているとは確かに言い難いと思いましてそうすると,300個要件は分が悪いなという感じはいたしますけれども他方においてちょっとこの資料を見ますと提案の個数が多ければ株主提案に係る時間の割合が増えているかでありますとか提案株主の人数が多ければ提案個数が増えているかとかそういうことを見ますと必ずしもそういうわけではどうもないようで実態としては議事進行権の裁量をうまく使われてそれほど問題がない範囲に収まっているものというのもかなりあるかのように見受けられます

 あと例えば,C社のように確かに経営マターについて提案するのはいかがなものかという部分はありますけれども一つの案件について否決をされましてその次の年にまた同じ案件を更に多くの株主が出してきているというようなことがある場合にその審議にかける時間をより多く割くといったようなコミュニケーションの場として実際経営陣も使っているのではないかというふうな印象も抱きまして時間と資源を使って決定を要求できる権利と考えますと数という点では確かに300個というのは少ないと思いますけれども株主の属性というかどういう人がどういう連携を取ってこういった提案をしてくるのかといったことを考えてコミュニケーションを活性化するという点で使っているという実態がもしあるのであればそこまでもう絶対排斥と言わなくてもいいのかなちょっと別の視点から意見を述べてみました

 

沖委員 ありがとうございます

 梅野幹事の御指摘と全く問題意識は同じでありますけれども重要な問題についてはなるべく選択肢を示してパブリックコメントに付すことが望ましいと思いますそれにつきましては,2内容による提案の制限2「株主提案権の行使要件及び行使期限」,この二つの論点につきましてはやはり濫用的な株主提案の論点と関連はしておりますけれどもこの二つの問題はそれとは分けてそもそも株主提案権に会社がどのようにすれば適切に対応できるかという基本的な重要な問題ですのでこれについては見直しをするかしないかは選択肢を明記してパブリックコメントをすることが適切ではないかと思います

 ここに二つ問題がありまして行使要件の方ですと部会で藤田委員からこの300個という要件を持った株主が濫用的なものをどれだけ提案しているかということを精査する必要があるという御指摘がありまして今日も古本委員の方からそれに関する資料の提示がございましたこういった点はやはり今後も検討すべきだろうと思いますまた電子提供制度の採用に伴いまして招集通知の発送期限が前倒しになるということですとやはりその意味からも会社が株主提案権について判断をするその時間的制約はタイトになってきますのでやはり見直しの検討の必要性はあるかと思います

 こういった点も踏まえましてパブリックコメントの中間試案では選択肢を示していただくことを検討していただきたいと思います

 

齊藤幹事 ありがとうございます

 古本委員から御提案がございました業務執行に関わる定款変更議案を排除するという御提案ですが確かに取締役会設置会社株主総会権限あるいは定款自治の限界は真剣に議論しなければならないテーマですが改正提案に挙げるということはそれは一応実現可能で実際に賛成が多かったらそのとおりに改正されていくことが前提であると思います先ほどの点につきましては現在の会社法の体系に大きく関わることでありますが学界でも意見が分かれるところだと思いますしこの場でもその点に関する議論は十分なされていなかったように思いますので中間試案に上げるほど議論は熟していないのではないかと思いました

 

三瓶委員 すみません簡単に

 いろいろ皆さんの御意見を伺っているうちに私の考えが余りまとまらない部分もあったのでちゅうちょしたのですがこの選択肢A,B,Cの中で,5,10,10というところは先ほどからいろいろな意見がありますがやはり明確にどういうふうに考えるのかという選択肢を示すという意味では,3,5,10のようなはっきりと差があるというかそういったものを示すのが一ついいのかなと思いました

 あと議論が出てきた可決可能性のところなのですけれども二つちょっと見方がありまして今のところ出てきている株主提案のほとんどが内容に問題があるというようなことが多いですですから最終的に可決されていないかなり賛成比率が低いという状況ですがあまり可決可能性のところを今の段階で見てしまうと例えば今の株主保有構造を考えたときに持ち合い比率がそれなりにまだあるということからすると非常にいい内容のものが出てきたとしても可決されにくいということが現実に起こってくる可能性がありますなので可決可能性が一つの判断基準になるというのはちょっと注意しなければいけないなと思います

 300個と1%というところの話ですけれどもなかなかここは難しくて300個ということを例えば撤廃してしまうということになると非常に,1%のハードルが高い会社にとってみればなかなか株主提案ができないことになるのでこれは今のところは明確に300個というのを見直すというのが合理的かどうかは分からないというか慎重な方がいいだろうと思います

 ただ先ほど3,5,10という話をしたとおり一つ一つの提案の内容がもう少ししっかりしたものになって十分な検討に値するようなものに誘導していくためには上限は絞るけれども本当に通したければ内容をよくよく考えて提出するようにというような意味合いからもむしろ上限を提案できる議案の数として絞ることというのは十分に選択肢としてあるのではないかと思います

 

竹林幹事 今,300個要件の見直しと行使期限の前倒しについていろいろ御意見を頂いたところでございますそして今回提案することができる議案の数を制限するかどうかにつきましてはいろいろ御意見いただいているところこちらは確かに濫用的なものについては制限していくべきだろうという御意見を広く頂いている多く賛同いただいているところかと存じますまた内容の制限につきましても要件自体についてはいろいろ御意見がまだ残っているかと思いますが制限していくというような御意見が多いのかなと伺っているところでございますもちろん行使要件の引上げですとか行使期限の見直しの趣旨が違うというのは十分承知はしているのですけれども数の制限と内容の制限に加えて更に株主権が行使しにくくなるというのは国民の皆様に理解を得るという点でかなり難しい面が残るのではないかと考えておりましてまさしく中長期的にといいますか,300個要件それ自体がいいのかあるいは週間という期限そのものがいいのかということについては問題意識は持ってはいるのですけれども今回併せてやるということについては全体として難しい点があろうかと考えております

 本日頂いた御意見も踏まえましてどのように記載するのが適当かということについては引き続き検討させていただきたいとは思いますけれども特にこれらの要件につきましては私どもとしては慎重に考えた方がよいと考えていることを御理解いただければと思っております

 

・法制審議会第14

株主提案権につきましては定款変更議案の数の数え方について改めて御議論いただきたいと考えております

 先日の部会においては定款変更議案の数の数え方についての具体的な判断基準として例えばいずれか一方の提案が他方の提案を論理的に前提とする関係にあり分けて審議すべきでないと考えられる場合にのみ関連性が認められるものとして一つの議案として数えるものとする考え方やそのような場合のみならず株主が通知した提案の理由の内容も踏まえいずれか一方の提案が他方の提案と密接に関連すると合理的に認められる場合についても関連性があるものとして一の議案として数えるものとする考え方等についてどのように考えるかを御議論いただきました

 一つ目の考え方については二つ目の考え方に比べて解釈の余地が小さいため明確性という観点から一定の評価を示す意見もありましたが一方の提案が他方の提案を論理的な前提としている場合のみならず一方の提案が可決されかつ他方の提案が否決された場合において整合性を欠くこととなるようなときについても両提案の間に関連性を認めるべきであるという御指摘も頂きました他方で二つ目の考え方につきましては判断基準として不明確であり会社が関連性の有無を判断することが難しいことなどを指摘する御意見もございましたが一つ目のような考え方では関連性が認められる範囲が狭過ぎるとすると二つ目の考え方のように考えるほかないのではないかというような御意見もあったところでございます

 そこで以上のような具体的な判断基準についての御指摘等を踏まえ考えられる定款変更議案の数の数え方について,A案及び案として二つの考え方を掲げております案は複数の事項をその内容とする定款変更議案については当該複数の事項ごとに別個に可決又は否決されたとすれば整合性を欠くこととなるおそれがあるときはまとめて一の議案としてその数を数えるものとするという数え方でございますいずれか一方の提案が可決されかつ他方の提案が否決された場合において整合性を欠くこととなるおそれがあるときは両提案の間に関連性を認め両提案をまとめて一の議案として数えることを想定しておりますなお,A案の数え方には更に提案の内容のみに着目して整合性を欠くこととなるおそれがあるかどうかを判断するものとする考え方であるA-1案と提案の内容のみならず提案の理由の内容も踏まえて整合性を欠くこととなるおそれがあるかどうかを判断するものとする考え方であるA-2案とがあり得ると考えております

 案は定款変更議案についてはその内容において密接に関連する事項ごとに区分してその数を数えるものとするという数え方でございます株主が通知した提案の理由の内容も踏まえいずれか一方の提案が他方の提案とその内容において密接に関連すると合理的に認められる場合には両提案の間に関連性を認め両提案をまとめて一の議案として数えることを想定しております

 これらの考え方について御議論いただくに当たっては具体的な定款変更の事例を前提としてそれぞれの数え方による場合に各事例における帰結にどのような差異を生ずることになるのかという点を踏まえて御議論いただくことが有益であると考えられますので部会資料ページの補足説明では具体的な定款変更の事例を三つ掲げた上で各事例についてこれらの考え方によった場合のあり得る結論について記載しております

こちらも御参考にしていただきつつどのような数え方が適切であるかについて御議論いただければと考えております

 

古本委員 ありがとうございます

 「定款変更議案の数の数え方につきましてはこれまでの部会のときにも申し上げておりますが,A,B案ということでいいますと案では文言の解釈余地が広くなり過ぎて判断基準として適切に機能するかどうか疑問があると思います

 また,A案の中に今回はA-1,A-2案と案を提示していただいておりますが実際の株主提案におきましては提案理由が相当に不明確であったりして提案の趣旨を理解するのがなかなか難しいという場合も少なくないと会員企業から聞いておりますそうなりますと,A-2案であってもここに書いてあるようなクリアカットな例では分かりやすいかもしれませんが実際に株主からの提案があった場合には必ずしもうまく機能しない懸念があります

 そういうことからいたしますとやや消去法的な結論になりますが私どもとしては部会資料にある三つの案の中では,A-1案が一番クリアで望ましいと考えます

 ただ現実的には仮に,A-1案を採用したとしましても総会前の多忙な時期に提案された株主と議案の数について議論になるのではないかという懸念も残ります濫用的な株主提案権の行使を十分に抑止するという目的からはこういった議案の数え方ももちろん大事だというのは認識しておりますけれどもむしろ業務執行事項に関する定款変更は提案できないとすることの方がはるかに有効であると思います

 経団連といたしましては業務執行事項に関する定款変更議案の制限これに加えまして株主提案権の行使要件である,300個以上の議決権の撤廃ないし引上げこれを強く要望しているということを改めて申し上げたいと思います

 

小林委員 どうもありがとうございます

 株主提案権の数え方につきまして商工会議所内部でも検討いたしました実務的な立場からはできるだけ裁量の余地が小さい解釈の幅が小さい内容であることが望ましいと考えています

 結果的に株主との間での争いが起こりにくい基準にしていただきたいと思いますA-2案については濫用的な提案の懸念のほか今回の法務省提案の事例のように理路整然とした株主提案が行われるとはなかなか言えません理由は非常に曖昧となる場合がございますのでそのような理由で分けると争いの原因になりかねない懸念がございますしたがって,A-2案を除いて,B案とA-1案で比較すれば裁量の余地が少ないA-1案の方が望ましいと考えます

 数え方の議論の前提として数が幾つかという議論も当然あります々,事務当局からの10個という御提案に対しては商工会議所としてはせいぜい多くても個という意見を申し上げておりますそもそも株主提案の数が多過ぎれば数え方の基準があっても余りワークしないのではないかと考えております数そのものについても制限的に考えていただきたいと改めて申し上げます

 

沖委員 ありがとうございます

 A案と案ですがこれはそれぞれ理由はあると思いますただ解釈基準として考えた場合に,B案におきましてはやはり密接に関連するという密接性の判断のところで提案株主と会社の間で価値観の対立に発展するおそれがあると思いますまた裁判で適用する解釈基準ということから見ましても密接関連性というところがどうしてもやはり基準としてちょっと難しいのではないかと思いますのでここは案ということにならざるを得ないのではないかと考えております

 そこで,A-1案とA-2つまり提案の理由を踏まえるかどうかということですけれどもこれは複数の事項が整合性複数の事項について一方だけで可決又は否決された場合に整合性を欠くかという要件を判断するに当たってやはり理由を踏まえないと判断できない場合があると思われますのでそういう場合には提案の理由を踏まえる必要があるということでは,A-2案になるということではないかと思います

 ただその場合の整合性というのは提案で株主が主観的な位置付けをしたことによる整合性でなくて飽くまで論理としての整合性で判断するという意味で提案の理由を踏まえるということになると思います

 そこで,A案についてですが整合性を欠くおそれがあるという場合のこのおそれが必要かどうかというところが非常に問題だと思います実際の株主提案の行使事例を見ておりますと業務執行に様な規制をする株主提案が出されていますその中には役員の報酬であるとか人事であるとか実に様なものが含まれておりますそこでもし整合性を欠くおそれがあるというこの基準を採用しますと一旦業務執行への提案について何か一つのものを提案すればその整合性からいってほかのものも提案しないといけないということになることが十分考えられますそこでおそれという基準を適用しますと,1個の議案として見る範囲が広範になり過ぎるおそれがあるのだと思いますもう一つ,A案と案の違いが広い狭いあるいは解釈の明確性以外にもう一つ違いがありますのは,A案では整合性を要求するわけですけれども整合性がある場合は実は提案としては複数ではなくて,1個として出さないといけない議案としては一方だけでは整合性がないということであれば必ず両方出さなければならないというふうにも考えられるわけでありますけれどもそうすると整合性を欠くおそれがあるという要件を適用しますと提案する株主の側としても整合性を欠くおそれがあるものは必ず提案として出さないといけないし,1個として出さないといけないということにもなってくるかと思います

 そうしますとやはりおそれという要件は過度に広過ぎるおそれがあるということになるかと思いますのでこのおそれの部分は削除する方が適切ではないかと考えております

 

竹林幹事 沖委員から御指摘いただきましたおそれという文言について何と申し上げたらいいかなかなか難しいのですがここでは程度を問題としているわけではございませんで可能性といたしまして可決否決のパターンが可決・可決否決・否決可決・否決否決・可決になるときにどれか一つのパターンで整合性を欠くことになるほかのパターンだと整合性を欠かない可決・可決否決・否決だと欠かないのですけれどもそういう可能性がありますのでそういう組合せの中で欠くこととなるおそれがあるという使い方をしておりまして程度を問題としている趣旨ではございません

 

北村委員 ありがとうございます

 提案の数の制限との関連で複数の提案を一くくりにするという問題が出てきたのは,1人で多くの提案をするということが提案権の濫用であるあるいは濫用といわなくても不適切であるということが元の発想だったと理解しておりますそういう提案をする人たちが仮に,B案が採用されたときにどういう行動を採るかといいますと恐らくできるだけ複数の提案に関連性を持たせた提案理由を会社に通知してくるということになりそうです

 提案理由を株主総会参考書類に記載するのは株主提案に説得力を持たせるためなのですけれども提案議案数制限がある中で実質的に多くの提案をすることができるように提案理由を工夫するということが起こりますと規制の本来の趣旨とは違う使われ方がされることになります

 部会資料23ページにありますの例でこれは案によりますと一つの議案と数えるということですこういうことであれば,③以外にも幾らでもこのような例ができそうで法学部の学生にどういう提案であれば一つにくくれるかを考えさせても面白いかなと思いましたけれどもやはり案では広過ぎるという問題がありますし当然会社としては複数の議案に関連があるかどうか実質的に判断できないという問題が出てまいります

 そうすると,A案が適切だと思いますけれども先ほど沖委員が指摘されたことと私も認識は共通するわけでございますけれども,A-1案でありますと例えば,8ページののような提案理由を考慮すれば明らかにつの提案を両立させなければいけないような事案に対応しにくいということになります一方で先ほどから御指摘がありますように提案理由まで考慮して複数の提案の整合性を判断することにしますと,B案を採用するのと同じような問題が出てくると思います

 したがって私は最終的にA-2案に賛成ではございますけれども,A-2案にある提案の理由の内容も踏まえてというところは提案理由から見れば客観的に明確に整合性を欠く場合に限るべきだと思います主観ではなくて客観的に明確に提案理由から見れば二つを両立させないといけないという場合を一つと考えるこういう謙抑的なA-2案というのが私の考えでございます

 

田中幹事 今回の御提案でそれぞれの案がどのような関係にあるかが具体例によって明らかになったことで大変有り難く思っておりますその点に関しその上で申し上げれば今回の株主提案権の制限が余りに多くの株主提案あるいは名誉を毀損するような形の提案がなされることで真剣な議案の検討も妨げられるとそういう事例が散発的ながら起きているという中で株主総会の意思決定を適切に行えるようにするために提案権を制限するということであって株主提案権自体を少なくとも真剣な株主提案権自体を制限するものではないというふうに考えてきました

 そういう点からすると複数の定款条項であっても変更提案であってもそれが密接に関係していてある目的を達成するために複数の定款条項の変更が必要になるという場合には当然一緒に提案するということになるのではないかとこのような観点からしますと,B案でいいのではないかと考えております

 B案にしますと今まで50個ぐらい定款変更議案を出してきたものを全部個にまとめるという形で提案してくるだろうということはもちろんあるわけですけれどもやってくるということと最終的にそれが受け入れられるかどうかは別でありまして密接に関連しているがために一緒に提案することが合理的であるという制約によっておのずから制限が課されるであろうと考えております

 それから,B案ですとどうしても不明確なケースが出てくるのではないかということもそのとおりかと思いますがしかし今回の提案自体が濫用的な株主権行使を制限するということであって株主提案自体を使いにくくすることではないと理解しておりますので不明確な部分がある場合は裁判で争われるかあるいは会社としては法的な確実性の観点から不明確な場合はそのまま提案を認めるという対応にならざるを得ないこともまたやむを得ないのではないかと考えております

 最近の株主提案の事例を見ますと濫用的な提案があるということもさりながら近年株主提案についてかなりの賛成が集まるという事例が出てきているとそういう現象がありますそしてそのような提案の相当数は例えば役員の個別報酬開示のような定款変更議案でありますこのような状況にあって会社法が株主提案権を制限するような改正を提案するということが株主株式市場に対してどのように受け止められるかということも考える必要があると思っておりますこのタイミングはもしかすると最悪のタイミングになるおそれもあると考えております

 ここで今回の改正は一度に50個も100個も提案してほかの株主にとって迷惑を掛けるような提案を制約するのであって機関投資家その他の株主の相当数の賛成がなされて会社の経営に影響を与え得るとそういうような株主提案を制限する意図は全くないのであるということを明確にする必要があると考えておりますこのようなことも含めて私としては案に賛成したいと思います

 

三瓶委員 ありがとうございます

 結論から申し上げると私は,A案かなというふうに思っています

 まず多くの方もおっしゃっていましたけれども,B案については,「密接に関連というところについて本当に決議における必要かつ十分な条件ということを備えているかどうかこれを判断するのが難しいであろうということからまず落としています。A-1案とA-2案なんですけれども例えば株主として提案権を行使するときにしかも今議論されている上限を設けたときにどういうことをしたいのかというと手元にある提案のうちできるだけ多くの提案を上げたいというふうに思うわけですね同時にせっかく提案するからにはその決議は可決するように持って行きたいというふうに考えるのが通常だと思いますそこで両方を達成しようとしたときに提案の数が多ければ一つの議案に複数盛り込むようなことが起こり得るということだと思います

 ここで複数の提案内容がイコール的な理由でつながっているということが,A-2案であると思いますけれどもそれは提案する側からすると理由がつながっているのかもしれないんですけれども提案株主ではない株主が議決権行使をする場面で考えたときには必ずしも提案の理由の内容が整合的になっていないかもしれない

 例えば今回事例でからを挙げていただきましたけれどもその中のというのが,A-1案とA-2案の判断が異なるケースだと思いますけれどもここで内容だけでいうと事業目的に貸金業と不動産管理業を追加するというのが一つ内容ですねただそこに理由として,D社というのが出てきますこの社というのが正にそういうことをなりわいとしているんでしょうけれども提案する側からするとこの二つの業を加えることと社というのが密接に関わっているんだけれども議決権行使する側からするとこの貸金業と不動産管理業を追加するときに,D社にさせなくてもいい又は,D社に何らかの固有の問題がある場合にはここについては違うんだということでここは切り離して考えた方がいいかもしれませんなのでこの株主提案議案について議決権行使をする側にとってはそれは必ずしも必要かつ十分ということにならない可能性があるということです

 それからすると,A-1案では議案を二つ提出しなければいけないわけですけれどもそのときにその二つの議案についてどれだけ関連性があって両方とも可決してもらいたいかというのは議案説明で明確に記載してもらうということが多くの株主に諮って検討してもらうときの最も公平な手段ではないかと思います

 このような例が2018年にも件ありましたそれは会社提案の定款変更でしたけれども全く異なることが二つ同じ定款変更議案に入っていました一方は賛成したくて一方は反対であるときに反対の部分の理由が非常に強かったのでは反対しました

しかしこれは正直言ってある種のコンプロマイズをしたわけで本当はそれぞれについて賛否を明確に表明したいわけですですからそういったことが起こり得るような議案の提出で多くの株主に議決権行使の際に妥協させるというような要素を多く含むものは好ましくないというふうに考えます

 それとちょっとこれは脱線かもしれませんがそもそもそういう意味では今ここで議論しているのは相互に関連するものは一つにまとめるかまとめないかというような感じで議論されていますけれどもむしろ提案する側の方によくよく考えてもらうという意味では独立して矛盾なく成立し得る事項というのは一つにまとめるべきではないというそういった議決権行使をする側からしそれぞれについて明確な賛否を表明しやすいようにという一つの目的というか意義をどこかで伝えられるといいなと思っています

 

野村委員 まず結論的に申し上げますと,B案のくくり方も田中幹事がおっしゃられたような形で一定の合理性はあるとは思うんですけれどもやはりちょっと漠然とし過ぎている感もあるように思いますので,A案をベースにしながら前回の会議回だったでしょうか藤田委員の方から示された提案の可能性というものを考えますとやはり何らかの形で,A-2案のような形のくくり方が合理的なのではないかなというふうに感じている次第であります

 ただそのようになりますと提案理由というのは確かに先ほど来から出ていますように漠然としていて不明確でありどういうことなのかよく分からないという場合がありますのでこの場合についてはそのリスクを提案者の方の側に負っていただかなければいけないと思いますそこで,A-2案のくくり方を採用する場合には明確な理由が示されていない場合には複数の議案として扱われるような形にすることが必要なのではないかなとは思っております

 ただそれとの関係で少し疑問に思うというかちょっと私自身だけが分からないのかもしれないんですけれども恐らくこのくくり方の問題というので会社側の方が提案のくくり方が最初株主の側から示されたものが大き過ぎて数の中に収まらないのではないかと思って対応するときには一応株主提案者との間にコミュニケーションを取るんだとは思いますその結果会社がやはり多いというふうに考えてそのくくりを小さくし上限を超えていますという扱いをするという選択肢をした場合は当該提案者と会社との間のトラブルというものが生じてはいますけれども提案が扱われませんでしたので株主総会での決議はなされませんので株主総会の決議の効力には跳ねてこないという可能性があるのではないかなとは思います

 それに対して会社側の方がその交渉の過程の中でこのくくりでしようがないという形である程度理解を示した上で提案を採用し株主提案を数の中に収まっているという形で示しそれが株主総会で審議された結果極めて例外かもしれませんけれども可決されたということになった場合には他の株主の方の側からそれを不満とする株主が数え方がおかしいのではないかということで上限を超えているということから株主総会の決議を争ってくる可能性があるのではないかと思います

 この点で会社側が同意をした上で株主提案として招集通知に記載しているという行為がどう評価されるのかがちょっとよく分からないということとそれからそのような形の紛争を惹起することが合理的なのかどうかということもちょっとやや分かりにくいところがあるものですからその辺りのところを御教示いただければ有り難いなと思います

 

竹林幹事 野村委員から御指摘いただいた点ですけれども私どもは数を超えた場合に無効にするのは難しくて拒否事由にしていますと申し上げていますが今御指摘いただいたような点も考慮しまして超えていてもそれは拒否することができるものを拒否しなかったという扱いにするので総会の決議の無効等にはならないというような考え方を採っております

 ただ拒否することはできるけれどもこの人についてはたくさん採りこの人についてはぎりぎりしか採らないというような場合には株主間の平等をどう考えるかという別の問題はあり得ると考えております

 

前田委員 どうもありがとうございます

 既に議論がありますように,A案の基準が確かに明確性の点では優れているとは思うのですけれども,A案の基準には当たらないけれども提案内容を合理的に解釈すればまとめて一つと見るべき場合がやはり残るのだと思います

 具体的には事例のようなケースで先ほど北村委員の御指摘されたような単なる作文としてではなくて真剣に株主がこの提案理由を示してこういう提案をしてきたときにこれを議案個と数えてしまうのは個数上限を最終的に幾つに設定するのかにも関わるとは思いますけれども提案権行使を抑え過ぎることにならないかという懸念があります

 他方,B案は基準として不明確だという御指摘はそのとおりであり明文規定を置く意味も乏しくなってしまうと思いますそこで例えば折衷案としてもし明文規定を置くのであれば,B案をベースに,A案の場合をその例示として定めておくということも考えられるのではないかと思います

 一方だけ可決されると整合性を欠くこととなる場合その他の密接に関連する場合というような文言はまた詰めて考える必要がありますけれども,A案よりは柔軟に一つと解釈することができる場合を認める余地は残すような基準にしておいた方がいいのではないかというように思います

 

梅野幹事 ありがとうございます

 この点以前御発言があったかと思いますがこの提案権に関する議案の数のくくり方の論点というのは実際上は提案権の個数をどう考えるかという点とやはり密接に関連していると考えています

 日弁連としては役員選任議案を除いて,10を超えることはできないという中間試案のB-2案に賛成しておりますそういった観点からするとまた濫用的行使を制限するという今回の目的に鑑みると,A-1案というのは少し狭過ぎるかと思う一方,B案かA-2案かというのはなかなか悩ましい選択だといった議論をしてまいりました確かに案というのは判断基準として曖昧ではございますけれども密接関連性といった要件を使われている場面というのは他でもあると思いますし判例の集積等を待つという考え方もあり得ると思います

 逆に,A-2案であっても整合性という規範的概念が入りますので提案理由をどのような形で提示するかによってやはり幅があり得るものだろうと思いますそういった意味では,B案と比較すればより明確性があるように見えるものの実際にはなかなか難しい問題が生じるのではないかと考えております

 結局のところ提案権の個数をどうするかということも念頭に入れた上決めていくというアプローチを採らざるを得ないのかと考えている次第でございます

 

中東幹事 私は三瓶委員がおっしゃったことに賛成でしてその点から若干補足させていただければと思います

 最終的には梅野幹事がおっしゃいましたように数の問題といってしまえば数の問題なのでそう強い意見ではございませんがやはり議決権を行使する株主として意思決定をするのが株主総会ですのでそこではどう扱われるかという観点から考えるべきかと思います

 その点で,②の事例はよく考えていただいたとは思うのですが吸収合併そのものは株主提案という形ではなされませんので会社提案として扱い方を考えますと全部でつのものつまり吸収合併と,(a)貸金業追加と(b)の不動産管理業の追加これらはつのものということがはっきり分かると思いますもしも吸収合併が将来あることを予定して株主がこういう事業目的を追加しておきたいということになると合併そのものにイニシアチブを持てない株主が目的の二つの追加を提案するという話になりますそうなりますと議決権を行使する株主としては合併があるかどうか分からないけれどもその合併に備えて目的を二つ追加しようという話になりますので提案者の気持ちと議決権を行使する人の気持ちがずれてしまう可能性があると思います

 そういう意味で三瓶委員がおっしゃったように提案者が幾ら理由を言っても複数の受け取り方があってその提案者と総会で議決権行使する株主との間で違うということになるとやはりA-1案の方が明確であろうと考えています

 

藤田委員 ありがとうございます

 今回の提案の案というのは前回私が申し上げたことをかなり大幅に取り入れていただいておりますので基本的に案に賛成という立場での発言になりますまず案はさすがに余りにも曖昧で基準にならないというのが最大の問題点だと思いますコーポレート・ガバナンスの強化に関する提案だと称していろいろな定款変更議案を出してきたときに常にこれを一つとしてカウントしなければいけないかと言われるとちょっと行き過ぎで趣旨の違う提案を濫用的に一つの定款変更議案だと出してくることを防ぐための基準になっていないと思います

 次に,A案の中だと沖委員あるいは小林委員の言われたように理由を勘案しないと論理整合性を判断できないケースというのはあり得るからおよそ理由はカウントしてはいけないというふうなルールにはしにくいと思いますそして理由をカウントすると曖昧だという批判が少なからずあったことについてはどのくらいどういう形でカウントするかということ次第だと思いますまず株主側が議案ごとに区分して提案をしなければいけないというルールの下で株主があえて一つの提案だと言ってきた場合に理由を勘案すればばらばらに決議すれば明らかに論理的客観的に整合性を欠くといえない限り一つとはカウントしてもらえないという基準だと考えるとそこまで曖昧にならないような気もします株主の主観的な希望として是非とも複数のものを一体として賛成してほしいつまみ食い的に取り入れてもらっては困ると幾ら思っていてもそれだけだと一つではないという基準であればそれほど曖昧にならないように思います

 提案理由が曖昧で分かりませんそんな提案が多いのですというふうな御意見がありましたが提案理由が曖昧で分からなければ一体として扱う必要ないだけだと思います提案理由が論理的に独立に可決否決することができるのであれば別提案という発想なので曖昧な提案理由を幾ら書かれたって一つとして扱う必要はないというだけだと思います

 A案が厳し過ぎるかということは結局最終的にどのぐらいの制限数の制限になるかに依存することだと思います。A,B案の対立が利いてくるのは飽くまで定款変更議案として出されるものの範囲でそれでしかもそれが,3とかとかいう制限の中ですと相当深刻ですけれども比較的有力と思われている10という提案上限数で議論するのであれば,A案を採ることが,B案を採った場合に比べて証券市場に悪いインパクトを与える提案になっているとまでは思わないと思います

 最後ちょっと提案の数え方との関係でやや違った点で御質問させていただきたいと思います株主提案をする株主の側として幾つかの内容を含んだ提案を一つのものとして出す際にそれがばらばらに決議しても論理不整合とまではいえないしたがって複数としてカウントしてくれていいけれども一体として審議してほしい一括してイエスかノーを決めてほしいという議案の提出の仕方というのは許されるのでしょうかつまり今議論しているのは飽くまで提案上限数との関係での議案のカウントの仕方に関するルールなので今言ったような議案の提出を妨げるルールではないと理解しているのですけれどもこの点はいかがでしょうか

 

竹林幹事 今御質問いただいた点につきましては条件付けをするような形にしていただければより明確だとは思いますけれども否定されるものではないのではないかと考えております

 

パブリックコメント

株主提案権

株主が提案することができる議案の数の制限

 (1) 定款の変更に関する議案の数の数え方

 次のような規律を設けるものとすることについてどのように考えるか

 ① 定款の変更に関する議案の数については,[内容において関連する事項ごとに]区分して数えるものとする

 

(2) 株主が提案することができる議案の数

 上記(1)における提案を踏まえ試案第部第本文についてどのように考えるか

補足説明

定款の変更に関する議案の数の数え方

(1) 本文1(1)①について

 試案第部第(1の注についてパブリックコメントにおいては定款の変更に関する議案の数については内容において関連する事項ごとに区分して数える旨の明文の規定を設けるものとすることに賛成する意見が多数であった

 他方でパブリックコメントにおいてはこのような明文の規定を設けた場合であっても判断基準が不明確であるため実務上の運用が困難であるという意見やガイドライン等によって判断基準を明確にすべきであるという意見もあったこれらの意見は仮にこのような明文の規定を設けた場合であっても複数の事項がその内容において関連するか否かについての判断には一定の解釈の余地があり得ることから提案株主と株式会社との間で関連性の有無について意見が分かれる事態が想定されそのようなときは紛争に発展するおそれもあり株式会社としては紛争を避けるために関連性を保守的に判断せざるを得なくなるなど実務上の運用が難しいことを懸念するものと考えられる

 そこでパブリックコメントの結果を踏まえ定款の変更に関する議案の数については一定の関連性がある事項ごとに区分して数える旨の明文の規定を設けることが考えられるが他方で上記のような懸念を払拭するためには関連性の有無についての判断基準をより明確にすることも含めて具体的な判断基準についての考え方を改めて検討する必要があるものと考えられる

 具体的な判断基準についての考え方次第では規定の文言を調整する必要が生ずることとなる可能性もあるため本文1(1)①においてその旨を付記した上で本文1(1)①において定款の変更に関する議案の数の数え方について明文の規定を設けることについてどのように考えるかを論点として掲げている

 定款の変更に関する議案の数の数え方についての具体的な判断基準としては例えば,(ⅰ)いずれか一方の提案が他方の提案を論理的に前提とする関係にあり分けて審議すべきでないと考えられる場合にのみ関連性があるものとして一の議案として数えるものとする考え方,(ⅱ)上記(ⅰ)の場合のみならず株主が通知した提案の理由の内容も踏まえいずれか一方の提案が他方の提案と密接に関連すると合理的に認められる場合についても関連性があるものとして一の議案として数えるものとする考え方等が考えられる

 

(ⅰ)の考え方による場合には判断基準としては(ⅱ)の考え方に比べて明確であり株式会社として客観的に判断しやすいと思われるが他方で例えば仮に事業目的に目的を複数個追加する旨の定款の変更に関する議案が提出された場合に,(いずれかの目的が他の目的を論理的に前提とする関係にあるような場合を除き,)それらの目的ごとに区分して複数の議案として数えることとなるなど関連性があると判断される場合が限定され過ぎるのではないかという懸念があるものと考えられる。(ⅱ)の考え方による場合には仮に事業目的に目的を複数個追加する旨の定款の変更に関する議案が提出された場合であっても株主が通知した提案の理由の内容も踏まえるとそれぞれの目的が密接に関連していると合理的に認められるときは関連性があるものとして一の議案として数えることとなるもっとも,「密接に関連すると合理的に認められるか否かの判断は一定の評価を伴うものであるため,(ⅰ)の考え方と比べて株式会社として客観的に判断することが難しくなるという懸念があるものと考えられるこのように上記のいずれの考え方についても長短があると考えられることから株主提案権の行使の実態に即し上記の考え方以外の考え方も含めどのように考えることが適切かについて検討する必要がある

(2) 本文1(1)②について

 パブリックコメントにおいては後記1(2)のように株主が提案することができる議案の数の制限を設けるものとすることを前提とした場合において株主が提案しようとする定款の変更に関する議案に複数の事項が含まれていることが疑われるときは株式会社において当該議案の数を幾つと数えるべきかを判断することとなりその前提として提案株主の認識を知るために提案株主との間で何らかのコミュニケーションを取る必要が生じて手続が煩雑となるといった手続的な負担が生じ得る上その議案の数について提案株主との間で認識に齟齬が生じたときはどのように数えるべきかをめぐって紛争に発展するおそれもあるという懸念が示された

 このような懸念は定款の変更に関する議案の数について株式会社側が判断することが前提となっていることもその要因の一つであると考えられるそうであるとすれば定款の変更に関する議案について株式会社側ではなく提案株主側で自らの認識を前提として議案ごとに区分して提案しけなればならないものとし株式会社としては当該提案株主による区分に従って形式的に議案の数を数えることができるものとすることにより株式会社が当該提案株主の認識を改めて確認する手順を不要とすることができれば上記のような懸念は一定程度回避することができるものと考えられるこの場合には株式会社としては当該提案株主による区分に従ってそれぞれを一の議案として株主総会に諮り各議案について審議及び採決をすれば足りることとなるなお仮に提案株主が複数の事項を含む定款の変更に関する議案を提案しようとする場合において当該複数の事項について区分せずに提案したときは株式会社としては株主がそれらを一の議案として提案してきたものとして当該議案を一の議案として取り扱うこともできるし本文1(1)①のとおり一定の関連性がある事項ごとに区分して取り扱うこともできるものと考えられる

 そこで本文1(1)②においては取締役会設置会社において定款の変更に関する議案について会社法305条第項本文の請求を行う場合には株主は議案ごとに区分して当該請求をしなければならないことを明記することについてどのように考えるかを論点として掲げている

 なお株主が膨大な数の事項を一の定款の変更に関する議案として提案するような事態も生じ得るが株式会社としては本文1(1)①のとおり一定の関連性がある事項ごとに区分して取り扱うことができる場合にはそのように取り扱えば足りるし仮に,(本部会資料において提案している後記2②の内容の拒絶事由を設けるものとすることを前提とすれば,)それが濫用的な株主提案権の行使と評価されるような場合には後記2②の拒絶事由に該当するものとして株式会社は当該提案を拒絶することができるものと考えられる

そして関連性のない複数の事項を含む定款の変更に関する議案ではあるものの後記2②の内容の拒絶事由には該当しない場合であっても株式会社としては当該議案を一の議案として扱った上で一括して審議すれば足りること提案株主による説明が不必要に長くなるような場合には議長は議事整理権に基づいて提案株主による説明を制限することが可能であることなどを考慮すれば当該議案について割かれる株主総会における審議時間が許容できない程に長くなることは余り想定されないものと考えられる

 

株主が提案することができる議案の数本文1(2))

 試案第部第本文についてはパブリックコメントにおいて団体からの意見が分かれた提示した案の中においては,A1案に賛成する意見とB2案に賛成する意見が比較的多かったもっともそもそも株主が提案することができる議案の数の制限を設けること自体に反対する意見や提案することができる議案の数を未満(1ないし3)とすべきであるという意見もあったなお個人からの意見としては株主が提案することができる議案の数の制限を設けること自体に反対する意見が圧倒的多数であった

 提案することができる議案の数を未満(1ないし3)とすべきであるという意見やA1案に賛成する意見は株主総会における限られた審議時間が特定の株主による提案に関する議論のみに費やされるべきでないこと提案することができる議案の数を限定することにより提案の内容がより合理的なものとなると考えられること米国においては株主が提案することができる議案の数がとされていることなどを理由として挙げている

 他方でそもそも株主が提案することができる議案の数の制限を設けること自体に反対する意見やB2案に賛成する意見は株主提案権の濫用的な行使と評価される事例はごく例外的な事例であって提案することができる議案の数を制限する必要性を基礎付けるような立法事実が存在しないこと株主提案権の重要性に鑑みれば株主が提案することができる議案の数を制限するとしても必要最小限の制限とすべきであること機関設計の変更や報酬体系等の株式会社の事業に関する根本的事項を変更するための株主提案を行う場合には,5以上の議案を提案する必要があり得ることなどを理由として挙げている

そして前記のとおり本文1(1)においてパブリックコメントの結果を踏まえ定款の変更に関する議案の数の数え方について改めて問題提起するとともに定款の変更に関する議案について会社法305条第項本文の請求を行う場合には株主は議案ごとに区分して当該請求をしなければならないことを明記することを新たに論点として掲げているこれらについてどのように考えるかによっては株主が提案することができる議案の数の具体的な上限や役員等の選解任に関する議案の数の数え方についての考え方にも影響があり得る

 そこで本文1(2)においては本文1(1)に掲げた論点についての考え方及びパブリックコメントの結果を踏まえ株主が提案することができる議案の数についてどのように考えるかを論点として掲げている

 

株主が提案した議案の数が上限を超えている場合の取扱いについて

 パブリックコメントにおいては株主が提案した議案の数が上限を超えている場合の取扱いが不明確であるという意見があった

 これについては株主が提案した議案の数が上限を超えている場合には株式会社は当該上限を超える数に相当する数の議案を拒絶した上で当該上限までの数の議案についてのみ内容の適法性を検討しその中から適法な議案のみを採用すれば足りるものとし当該上限を超える数に相当する数の議案についてのみ拒絶することができるものとすることが考えられるこの考え方によったとしても株式会社としては当該上限までの数の議案についてのみ内容の適法性を検討すれば足りることとなるため現行法の下において株主が膨大な数の議案を提案した場合と比べて議案の内容の適法性について検討する時間やコストについて大幅に削減することができることとなる当該上限までの数の議案内容の適法性を検討する対象となる議案を選択する具体的な方法としては株式会社がその判断で決定するものとすることが考えられる株式会社による決定については例えば各議案についての賛否を記載する欄に記載がない議決権行使書面が提出された場合における各議案についての賛成反対又は棄権のいずれかの意思の表示があったものとする取扱いの内容会社法施行規則63条第号ニ66条第項第書面による議決権の行使又は電磁的方法による議決権の行使によって一の株主が同一の議案につき重複して議決権を行使した場合において当該同一の議案に対する議決権の行使の内容が異なるものであるときにおける当該株主の議決権の行使の取扱いに関する事項会社法施行規則63条第号ヘ同条第号ロのように合理的な方法であれば株式会社がその取扱いを決定することができるものとすることが考えられる実務上当該取扱いについては株式取扱規則等で定めておくものとすることが考えられる。)。

 この考え方に対してはパブリックコメントにおいて株主が提案した議案の数が上限を超えている場合において上限を超える数に相当する数の議案についてのみ株式会社が拒絶することができるものとするときは議案の選定作業は煩雑であること提案株主とコミュニケーションを取ることは実務上困難を伴うことが多いこと提案株主と株式会社との間に議案の選定方法をめぐって紛争が生ずる懸念もあることなどを理由として上限を超える数の議案が提案された場合には当該株主が提案した議案については全て不適法又は無効として拒絶することができるものとすべきであるという意見もあった

 もっとも上限を超える数の議案が提案された場合に当該上限を超える数に相当する数の議案についてのみならず当該株主が提案した議案全てについて不適法又は無効として拒絶することができるものとすることは株主提案権の重要性に鑑みれば適切でないものと考えられるまた記のように株式会社がその取扱いを決定することができるものとすれば議案の選定作業は煩雑とまではいえないと考えられる

 

内容による提案の制限

 会社法304条本文及び第305条第項から第項までの規定は次のいずれかに該当する場合には適用しないものとすることでどうか

 ① 会社法304条本文の規定による議案の提出又は同法第305条第項本文の規定による請求以下株主提案という。)が専ら人の名誉を侵害し人を侮辱し若しくは困惑させ又は当該株主若しくは第三者の不正な利益を図ることを目的とする場合

 ② 株主提案により株主総会の適切な運営が著しく妨げられ株主の共同の利益が害されるおそれがあると認められる場合

 

補足説明

本文2①について

 本文2①の内容は表現ぶりを若干変更したが試案第部第2①からまでと同様の内容である試案第部第2①からまでについてパブリックコメントにおいては明文の規定としてこれらの拒絶事由を設けることに賛成する意見が多数であった

 なお,「専らという要件については厳格で立証が困難であるため株式会社がこの拒絶事由を根拠に株主提案を拒絶するという判断にちゅうちょし拒絶事由の実効性が失われるとして削除し又は主としてという要件に変更すべきであるとする意見も寄せられたしかし株主提案権の重要性に鑑みれば拒絶事由の要件を緩めることについては慎重に考えるべきであるとも考えられまたパブリックコメントにおいて,「主としてという要件ではやや不明確であり濫用的でない株主提案権の行使をも制限してしまうおそれがあるという意見や株主提案権を過度に制限することにならないよう,「専らという厳格な要件を用いることは望ましいという意見もあった

 そこでパブリックコメントの結果も踏まえ本文2①のような規律を設けることを提案している

 

本文2②について

 試案第部第2④(「株主提案により株主総会の適切な運営が妨げられ株主の共同の利益が著しく害されるおそれがあるとき」)についてもパブリックコメントにおいては明文の規定としてこのような拒絶事由を設けることに賛成する意見が多数であった他方で具体的にどのような場合にこの拒絶事由に該当するかが不明確であり株式会社による恣意的な解釈によって過度に株主提案権が制限されてしまうおそれがあるという懸念を指摘する意見もあった

 試案第部第2④単に株主総会の適切な運営が妨げられるのみでは足りずその結果として株主の共同の利益が著しく害されるおそれがある場合にのみ株主提案を拒絶することができるものとしていたため株式会社による恣意的な解釈がされないように一定の限定が加えられていたものと考えられるもっとも,「株主総会の適切な運営が妨げられるか否かの方が株主の共同の利益が害されるか否かよりも客観的な判断に馴染むとも思われるため,「株主総会の適切な運営が妨げられるか否かに限定を加えた方が株式会社による恣意的な解釈の余地は狭くなると考えられる他方で株主提案によって株主の共同の利益が著しく害されるおそれまではない場合であっても株主総会の適切な運営が著しく妨げられその結果として株主の共同の利益が害されるおそれがあるときは株式会社は当該提案を拒絶することができるものとして差し支えないとも考えられるそして株主総会の適切な運営が著しく妨げられることに加えその結果として,「株主の共同の利益が害されるおそれがあることも要件として明示することにより単に株式会社側の都合上望ましくないような提案を拒絶することはできないことがより明確となり株式会社による恣意的な解釈がされる余地がより限定的となるものと考えられる

 そこで本文2②においては試案第部第2④の拒絶事由を株主提案により株主総会の適切な運営が著しく妨げられ株主の共同の利益が害されるおそれがあると認められる場合に変更して提案しているなお,「株主総会の適切な運営には株主総会の当日の運営のみならず株主総会の準備も含まれることを前提としているそして株主総会の準備には株式会社による株主総会の準備のみならず当該株式会社の株主による株主総会の準備議案の検討等も含まれるものと考えられるすなわちこの拒絶事由に該当し得ると思われる具体例としては不必要に多数又は長大な内容の条項を含む定款の変更に関する議案が提案されたことにより株主総会の当日において当該議案の検討に多大な時間が掛かり他の株主による株主総会の場における質問時間や他の議案の審議時間が大幅に削られるような場合のみならず株式会社に通常の株主総会の準備においては生じないような規模の膨大な時間的又は人的コストが生ずるような場合や提案株主以外の株主が当該定款の変更に関する議案を検討するために通常の株主総会の準備においては生じないような時間を割く必要等が生じ他の議案の検討時間が削られる可能性等があるような場合が考えられるこのような場合には株主総会の当日の運営や株式会社による株主総会の準備当該株式会社の株主による株主総会の準備議案の検討等が著しく妨げられると評価することができひいては株主全体に不利益が生ずると考えられるため,「株主の共同の利益が害されるおそれがあると評価されることとなると考えられる

 

株主提案権の行使要件

 (1) 持株要件の見直し

 300個以上の議決権という持株要件の見直しはしないものとすることでどうか

補足説明

試案第の後注の株主提案権の行使要件のうち300個以上の議決権という持株要件についてパブリックコメントにおいては削除又は引上げといった見直しはすべきでないという意見が多数であったこれらの意見は300個以上の議決権という持株要件の削除又は引上げは,300個以上の議決権という絶対的な基準が設けられた趣旨に反し個人株主による株主提案権の行使を過度に制限してしまうおそれがあること提案することができる議案の数の制限や内容による提案の制限の導入によって株主提案権の濫用的な行使は一定程度排除することができると考えられるため重ねて持株要件を見直す必要性は乏しいこと持株要件の見直しを基礎付けるだけの立法事実が存在しないことなどを理由として挙げている

なお,300個以上の議決権という持株要件の削除又は引上げをすべきであるという意見もあったこれらの意見は,300個の議決権と100分のの議決権の価値が著しくかい離していること,1%を大きく下回る議決権しか有しない株主からの提案に対する賛成割合は低いにもかかわらずそのような提案のために株主総会の審議時間の相当割合を占めることにより株主総会の適切な運営が妨げられていることなどを理由として挙げている

そこでパブリックコメントの結果を踏まえ本文3(1)においては,300個以上の議決権という持株要件の見直しはしないものとすることを提案している

 

(2) 行使期限の見直し

 行使期限の見直しはしないものとすることでどうか

 

補足説明

試案第の後注の株主提案権の行使期限についてパブリックコメントにおいては前倒しに反対する意見後ろ倒しすべきであるという意見も含む。)が相対的に多かったこれらの意見は現行法における株主提案権の行使期限を前提としても株式会社の準備期間が必ずしも短過ぎるとはいえず行使期限の見直しを基礎付けるような立法事実が認められないこと行使期限の前倒しによって株主が株主提案権を行使するか否か及びその内容の検討についての十分な検討期間を確保することができなくなることさらに今回の会社法改正により株主総会資料の電子提供制度が活用されれば印刷及び郵送の作業の時間が短縮されるため前倒しは不要であることなどを理由として挙げている

これに対し株主提案権の行使期限を前倒しすべきであるという意見は株主総会の招集通知の早期発送や発送前開示に取り組む上場企業が増加している中で現行法における行使期限を前提とすると提案株主が株主提案権の行使要件を満たしているか否かについての確認提案内容の検討及び取締役会としての意見の作成等の各種準備作業のための十分な期間を確保することができないこと株主提案権が行使期限直前に行使され得ることが株主総会の招集通知の早期発送を妨げる要因の一つとなっていることなどを理由として挙げている

また今回の会社法改正により株主総会資料の電子提供措置の開始時期や株主総会の招集通知の発送期限が前倒しされる場合にはその前倒しの期間に応じて株主提案権の行使期限も前倒しについての検討をすべきであるという意見もあったもっとも仮に株主総会資料の電子提供制度が導入され株主総会の招集通知の発送期限が週間ないし週間前倒しされた場合であってもそれは電子提供制度の導入によって実務上週間ないし週間掛かるとされている株主総会資料の印刷や郵送の期間が短縮されることを前提としたものであるこのように考えると仮に株主総会資料の電子提供制度が導入され株主総会の招集通知の発送期限が週間ないし週間前倒しされた場合であっても実際に株主提案がされた後株式会社において提案株主が株主提案権の行使要件を満たしているかについての確認提案内容の検討及び取締役会としての意見の作成等の各種準備作業を完了しなければならない時点までの準備期間は現在と実質的に変わらないものともいえるため株主総会資料の電子提供措置の開始時期や株主総会の招集通知の発送期限が前倒しされることと株主提案権の行使期限を前倒しすることとは論理必然の関係にないものと考えられる

そこでパブリックコメントの結果を踏まえ本文3(2)においては株主提案権の行使期限の見直しはしないものとすることを提案している

 

・要綱案

株主が提案することができる議案の数の制限

 取締役会設置会社の株主が第305条第項の規定による請求をする場合において当該株主が提出しようとする議案の数が10を超えるときは同項から第項までの規定は,10を超える数に相当することとなる数の議案については適用しないものとするこの場合において当該株主が提出しようとする次に掲げる議案の数については,①からまでに定めるところによるものとする

 

 ① 取締役会計参与監査役又は会計監査人以下において役員等という。)の選任に関する議案 当該議案の数にかかわらずこれを一の議案とみなす

 ② 役員等の解任に関する議案 当該議案の数にかかわらずこれを一の議案とみなす

 ③ 会計監査人を再任しないことに関する議案 当該議案の数にかかわらずこれを一の議案とみなす

 ④定款の変更に関する二以上の議案 当該二以上の議案について異なる議決がされたとすれば当該議決の内容が相互に矛盾する可能性がある場合にはこれらを一の議案とみなす

 (取締役会設置会社の株主が第305条第項の規定による請求をする場合において当該株主が提出しようとする議案の数が10を超えるときにおける10を超える数に相当することとなる数の議案は取締役がこれを定めるものとするただし当該株主が当該請求と併せて当該株主が提出しようとする二以上の議案の全部又は一部につき議案相互間の優先順位を定めている場合には取締役は当該優先順位に従いこれを定めるものとする

 

目的等による議案の提案の制限

 304条及び第305条第項から第項までの規定は次のいずれかに該当する場合には適用しないものとする

 ① 株主が専ら人の名誉を侵害し人を侮辱し若しくは困惑させ又は自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で304条の規定による議案の提出又は第305条第項の規定による請求をする場合

 ② 304条の規定による議案の提出又は第305条第項の規定による請求により株主総会の適切な運営が著しく妨げられ株主の共同の利益が害されるおそれがあると認められる場合

会社法改正! 株主提案権の濫用防止を目指して!~その2~

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・第六回法制審議会

坂本関係官 それでは,3ページの株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置について御説明いたします

 「1 株主が提案することができる議案の数の制限につきましては第一読会における議論等を踏まえ株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置として取締役会設置会社において株主が同一の株主総会に提案することができる議案の数を一定数に制限することを前提に役員等の選任又は解任に関する議案及び定款変更議案の数の数え方についてどのように考えるかを問うものです

 ここでは株主が設定された制限を超えた数の議案を提出した場合には会社法305条第項の請求に対する拒絶事由を構成するという考え方を前提にしておりますすなわち仮に提案することができる議案の数を10とした場合株主が10を超える議案を提案したときは会社は10の議案についてのみその内容の適法性を検討しその中で適法な議案を採用すれば足りそれ以外の議案については拒絶することができることになります。10の議案の選択方法としては会社と株主とのやり取りの中で当該株主に特定させる方法が考えられますが仮に株主が特定しない場合や株主による特定が不明確である場合には会社が任意に決定することも許されるものと考えております

 なお部会資料におきましては提案することができる議案の具体的な数を仮のものとして10とさせていただいておりますが議案の数を何個に設定するかという点については引き続き検討する必要があるものと考えております

 

 本文の(1)役員等の選任又は解任に関する議案の数の数え方についてどのように考えるかを問うものであり,A案と二つの考え方を記載しております

 案は第一読会でも御議論いただいたものですが役員等の選任又は解任に関する議案については株主が提案することができる議案の数の制限の例外とし議案の数として数えないものとするというものでございます

 案は役員等の選任又は解任に関する議案についても株主が提案することができる議案の数の制限の例外とはせず選任又は解任される役員等の人数にかかわらず,1議案として数えるというものでございます

 株主総会における審議の時間等が無駄に割かれ株主総会の意思決定機関としての機能が害されたり株式会社における検討や招集通知の印刷等に要するコストが増加したりするなどといった株主提案権の濫用事例において懸念される弊害は役員等の選任又は解任に関する議案であっても他の議案と同様に生じ得ることから役員等の選任又は解任に関する議案についても議案の数の制限の例外とはせず候補者の人数にかかわらず議案として数えるものとするという案でございますなお役員等の選任議案と解任議案とは別の議案として扱いそれぞれ議案として数えるものとすることを前提としております

 本文の(2)株主が関連性のない多数の条項を追加する定款変更議案を議案として提案した場合における当該定款変更議案の数え方についてその内容において関連する事項ごとに区分して数えるものとすることを御提案するものでございます

 定款変更議案の数え方につきましては現在の株主総会の実務を前提とすれば関連性のない多数の条項を追加する定款変更議案であっても株主が当該議案を分けて提案しない限りは形式的には議案として扱うことが多いものと思われますしかし株主が関連性のない多数の条項を追加する定款変更議案を議案として提案した場合にこれを議案として数えるものとすると先ほど申し上げたような株主提案権の濫用事例において懸念される弊害が生じることとなり株主が提案することができる議案の数を制限する趣旨に反する結果となるため内容において関連性のある事項ごとに複数の議案が存在すると捉えることで議案の数の制限を及ぼすべきであると考えております内容において関連性のある事項であるか否かについては個別の事情を考慮した上で総合的に判断することになるものと考えております典型的な具体例につきましては補足説明のに記載してございます

 なおこのような基準に基づいて定款変更議案を数えることとする場合には内容において関連性のある事項であるか否かの判断が難しい場合に会社としてどのように対応すべきかということが問題となり得ますが先ほど申し上げましたとおり議案の数の制限は拒絶事由であると考えておりますので判断が難しい場合には会社としては内容において関連性があるものとして扱うことが望ましいと考えられます仮に定款変更議案を含めて10の議案が株主より提案され会社が当該定款変更議案を議案として数えて10の議案全てを採用した場合に当該定款変更議案が内容において関連しない複数の事項を含んでいることが後に判明したときには会社は実質的には10を超える数の議案を採用したこととなりますがこの場合には会社が10を超える議案について拒絶せずに採用したと整理することができるため実質的に10を超える議案を採用したとしても特段の問題は生じないものと考えております

 補足説明のでは複数の株主による株主提案権の共同行使がされた場合の考え方について言及しております株主が株主提案権を単独で行使する場合であっても他の株主と共同して行使する場合であっても各株主が提案することができる議案の数は合計で10を超えることができないということを前提にしております

 続きまして本文「2不適切な内容の提案の制限についてですがこちらは第一読会における議論等を踏まえ株主が株主提案を行った場合において会社が当該株主提案を拒絶することができる事由を再度整理したものでございます

 ①及びの拒絶事由につきましては第一読会で御提案させていただいたものと同様の内容となっておりますなお第一読会において,「専らという要件は厳格過ぎるため,「主としてなどのより緩やかな要件にすることも考えられるとの御指摘を頂きましたしかし,「主としてという要件は不明確でありどのような場合に要件を充足することになるのかという判断が難しくまた株主提案権の重要性に鑑みれば拒絶事由の要件を緩めることについては慎重に考えるべきであることから,「専らという要件を維持する方向で考えております

 また,①の拒絶事由につきましては第一読会において株主により摘示された事実が真実である場合であっても会社は当該株主提案を拒絶することができるのかという点についても検討すべきであるとの御指摘を頂きましたこれにつきましては仮に株主より摘示された事実が真実である場合であっても,①の拒絶事由に該当するような株主提案を認めることは株主総会の活性化を図ることを目的とする株主提案権の制度趣旨に反するものと考えられるため仮に株主により摘示された事実が真実であっても,①の拒絶事由に該当する限り会社は当該株主提案を拒絶することができるものと整理しております

 ③の拒絶事由は第一読会において株主提案が権利の濫用に該当し得る場合をより広く規定すべきであるとの御指摘を頂いたことを受け今回新たに追加させていただいたもので株主が専ら当該株主又は第三者の不正な利益を図る目的で株主提案を行った場合には会社は当該株主提案を拒絶することができるものとすることを御提案するものでございます株主が専ら当該株主又は第三者の不正な利益を図る目的で株主提案を行った場合には正当な権利行使ということができず株主総会の活性化を図ることを目的とする株主提案権の制度趣旨に反するのみならず株主提案権の濫用事例において懸念される弊害を生じさせるおそれがあるためこのような対応の株主提案を制限することを御提案するものでございます

 なお,③についてはブラケットを付しておりますがこれは,③のような拒絶事由の要否につきましては事務当局内部でも様な意見があったところでございますので拒絶事由の内容のみならず要否も含めて御議論いただきたいという趣旨でございます

 ④の拒絶事由につきましては第一読会において主観的な要件と客観的な要件とを択一的に御提案させていただいたものですが第一読会における議論等を踏まえ株主提案により株主総会の適切な運営が妨げられ株主の共同の利益が著しく害されるおそれがある場合には当該株主提案を行うことができないものとするという客観的な要件とすることを御提案するものでございます

 

中東幹事 (1),B案については現在のところ案がよいと思っておりますその観点から,1点質問させていただきたいと思っております

 4ページのの直前の,「なおの段落でございますが議案の数え方について,B案を前提として例えばですが取締役監査役会計監査人それぞれについて臨時株主総会で解任した上で選任を提案するという場合には幾つの議案として数えるという御趣旨でしょうか

竹林幹事 案を前提といたしますと解任議案選任議案というくくりでそれぞれ議案と考えておりまして取締役監査役とかそういう役職ごとに一つずつ数えるということは念頭には置いておりません

中東幹事 ありがとうございました

 そうであれば,B案ですともしブラケットに入る数が10であれば,10になるという話でございますね他方で今お聞きした例では議案としてと数えようということですが議題としてはなのでそのような整理でよいのかとも思えます々,役員等の選解任については,1候補者で議案という理解が原則にあってそれをどうやって勘定し直していくかという話をしていたわけですその意味では余りに技巧的なことは避けて,A案にしたほうがすっきりするのではないかと思っております

 

古本委員 ありがとうございます

 1(1)の役員等の選任解任議案の数え方については私どもとしては,A案か案かと問われれば案が妥当と考えております

 それから,(2)の定款変更議案の数え方でございますけれども内容において関連する事項ごとに区分して数えるということですがやはり何が関連する事項かという判断はどこまでいっても難しいのではないかなという気もいたします経団連内部で議論した時に電力会社の方から話があったのですが例えば原子力発電というキーワードを使って本来は互いに独立した議案と言えるような複数の定款変更議案が出された場合に会社としてこのような提案をどう数えるのかという非常に微妙なケースが出てくるのではないかということです数え方に疑義が生じた場合には御説明にもありましたが実務としてはどうしても保守的に数えるということにならざるを得ないと思います

 今回提案個数の上限については議論の対象ではないようですが株主総会を会社と株主との間の意味のある対話促進のための場であると捉えるのであればやはり今暫定的に記載されている10個というのは前回も申し上げましたけれどもちょっと多過ぎると思いますアメリカと同様個とするかせいぜい個とすべきであるということを再度申し上げておきたいと思います

 それから株主が提案できる数の上限をどう設定するかということにつきましては提案の期限と行使要件つまり現行の総会週間前というのを繰り上げるのかそれから,1パーセント又は300個の議決権という要件のうちの300個の方の要件を削除するのかといったことも併せて考慮すべきだろうと思っております中間試案ではこうした点にも言及していただいて広くパブリックコメントを求めていただきたいと思います

 また上限個数について先ほどの御説明でも上限を超える部分については会社は拒絶できるとこういう構成になっておりますが実務といたしましては明確に上限個数を提案可能な上限の絶対値として仮にそれを超えるような提案があった場合には全て不適法一切取り合わなくてよいという分かりやすい形にしていただきたいと思います提案株主と話をして適法とすべきものを選ぶとか会社が任意に選択するということになりますと実務上はトラブルの元になりかねないのではないかと考えます

 それから,2の不適切な内容の提案の制限でございます拒絶事由を明文で設けることに賛成でありまして,③の不正な利益を図る目的での提案についても加えていただければと思います

 御説明にありました専らという言葉については改めて考えてみますと提案者の目的というのは提案者の主観にかかるものでありそれを専らつまり100パーセント不正なものであるということを要件とすると会社の側で100パーセントそういう不正な目的だと判断できる場合にのみ拒絶できるということになってしまうのではないかそうなると要件として厳格過ぎるのではないかと思いますしたがって,「専らという要件は削除ないし緩和してもよいのではないかと思います具体的には,①であれば名誉を侵害し侮辱する目的,②は人を困惑させる目的,③は不正な利益を図る目的と不当不正な目的での株主提案ですのでそれが100パーセントそういう目的であるというまでの判断が会社側でつかない場合でもそのような不正不当な目的が含まれている若しくはそれが大半であるというところまで会社が合理的に判断できるとなった場合にはそのような提案を拒絶できるという形にすべきではないかと考えますそれがもし難しいということになりますと,①からが本当に実務で拒絶事由として援用できるのかという懸念が生じてしいます

なお,④キャッチオールの規定なのか私もよく分からないのですが例えばこれはどのような提案を念頭に記載されているものなのかもし事務局の方で具体的な想定事例などがあれば御教示いただければと思います

 それから資料には記載がありませんが実務で問題となっている株主提案の大半が業務執行に係る事項を定款変更の形で提案されたというケースですのでこれをストレートに禁ずるということも併せて御検討いただきたいと思います

 

竹林幹事 でございますけれども,①,②,③では判断がなかなか難しいものが入ってくるということでございますそしてここで株主総会の適切な運営が妨げられ株主の共同の利益が著しく害されるというのは例えば定款変更議案で,1個の議案に不必要に多数の事項を盛り込んでいるような事例でそれら全てを審議していると時間的にも過大な負担がかかるというような場合を一応念頭には置いておりますけれどもほかにどういう事例があるかというのは具体的な事例が事例が発生したときに御判断いただいていくことになるかと思います

 

前田委員 役員等の選解任議案の数え方としては私も中東幹事がおっしゃいましたように案の方が考え方として明快なのではないかというように思いますつまり役員等の選解任は数の制限にはなじまないしまた制限の必要性も必ずしも高くないしたがってたとえ候補者が十数人いて議案が十数個あっても完全に数の規律の外に置くという考え方は分かりやすいと思います

 これに対して,B案は候補者が十数人あっても議案を個と数えるということですけれどもそのとき決議はやはり十数個存在するはずであってその決議の瑕疵などもそれぞれ十数個の決議ごとに考えることになるはずです決議が十数個あるのになぜ議案だけ個になるのか,B案は中途半端で説明しにくくないかと思います

 それから定款変更議案については内容において関連する事項ごとに数えるという考え方に賛成ですこういう数え方についてまで明文で書くのかそれともこういう解釈をここで確認した上で明文にはしないのかについては更に検討すべきことになると思いますけれども考え方に賛成です

 それから最後の不適切な内容の提案の制限として,③の場合は加えていただくのがよいと思います例えば会社から金品をせしめるというような不当な個人的目的の提案もこれで拒絶することできるようになって権利濫用のケースを広くカバーできるようになるのではないかと思います

 

北村委員 発言の機会を与えていただきありがとうございます

 まず役員選解任議案について先ほど中東幹事と前田委員は案がいいとおっしゃったのですが私は案の方がいいと思っています確かに前田委員の御指摘のように議案の数と提案議案制限の際の数え方を分けますと制度として複雑化するというのはそのとおりでありますが,1人の株主によって無駄に時間が割かれて実質的な株主総会運営ができないようになるのを防ごうという趣旨であれば選任議案解任議案が出されますとそれぞれについて議案説明と採決をする時間がかかりますのでそこは割り切って考えてはどうでしょうかつまり候補者が何人いても一つの議案と考えて提案の上限がたとえば10個であれば10の中のつに数えることに合理性があると思っております

 次に定款変更議案について関連性のあるものはつと数えるというところでございますけれども補足説明では論理必然的にこちらを立てればあちらが立たないというようなものが関連性の例として挙げられておりますただ個別の事情を考慮した上で総合的に判断するとも書かれておりますこの問題は関連性があるとしてつにくくる範囲が広いほど実質的な提案数が増えることになりますそして広い範囲をつにくくったとして結局それは関連性がなかったとしても拒絶できたかもしれないが拒絶しなかったというだけで問題はないという御説明だったと思います確かにそうだとは言えるのですけれどもその場合会社としてはある株主には広くくくってある株主には狭くくくったとかそういうことにならないようにしなければいけないそうするとかなり保守的に少しでも関連すればつにくくって実質的にたくさんの提案を認めることになりかねませんつまり会社としては関連性がないことを理由に提案を拒絶するのは自由だけれども株主を不平等に扱ってはいけないという別の縛りがあるので関連性を狭く解するのに消極的になるということが考えられるのではないかそうすると少しドラスティックですけれども論理必然的なものは一つとするけれどもそうではないものは別の議案と考えてもいいのではないかと思う次第でございます

 最後の不適切な内容の提案の制限ですけれども濫用的なものを全て書き尽くすことはできないわけでどこまで実効性があるか分からないですがこういう濫用防止規定を設けるということが一定のプレッシャーを提案者に与えるという点では意味がないことではないと思います

 

沖委員 ありがとうございます

 意見が二つと質問が二つございますよろしくお願いいたします

 まず意見の方ですけれども役員の選解任議案に関する議案の数え方ですがこれは私も北村委員と同じ意見でありまして案がいいと思いますその理由としまして平成2431日に高裁の決定があった事案ですけれども全部で63個の株主提案が出されてそのうち58議案が審理の対象になったという事件がありますそのうち,33議案が取締役の選任解任選任に対する反対議案などを複雑に組み合わせたものを出しているわけですですからこういった提案に対応するためにはやはり別枠ということでしょうけれども選解任に関する議案も一つの議案として数えて制限を加えることは必要だろうということです

 意見の二つ目は数の制限を超えた場合の議案の扱いです今回の部会資料でまず提案株主が議案を特定すると株主が特定しない場合や不明確な場合には会社が任意に決定するとありますこれは提案株主の提案権はなるべく尊重しようという趣旨は理解できるんですけれども実際限られた時間の中でこのやり取りをしていたときに紛争が起きる可能性もあるかと思うんですねですから第一読会では数の制限を超える株主提案については不適法で全体としては無効にするという提案がされておりましてこれらの提案のうちどちらがいいかは今後も継続して検討していく必要があるのではないかと思います

 以上が意見です

 質問ですけれどもまず点目は定款変更議案の数え方ですこちら内容において関連する事項ごとに区分して数えるということで定款変更議案でもこれが多数出された場合に数の制限を合理的にかけるということは必要だと思いますので今回の提案は大変意味があると思いますそこで内容において関連する事項ごとに区分して数えるとした場合に当然株主提案については別議案で認められたものは別議案で個別に採決をしていくということになるかと思いますが他方で会社提案の定款変更議案についてはこれはほとんどの会社で全体を個として扱っているんだと思うんですね分けているものは少数だと思いますそうしますとその会社提案の扱いについては特に先ほどのような定款変更議案の扱いはこれは株主提案の数を合理的に制限するための考え方にすぎないのであって会社提案を処理するときは一切影響を及ぼさないという理解でいいのかどうかというのが

 あともう一つの質問は数で制限をした場合にその数を超える株主提案が出た場合には会社の判断で任意に適法として上程することは認められるのかそれともそれは不適法なので基本的には認められないという理解でよいのかという点ですねよろしくお願いいたします

 

竹林幹事 まず一つ目の点ですけれどもここで御提案差し上げているのは飽くまで株主提案に数の制限を設けるという前提で株主の方が出す定款変更議案の数え方というのを直接的に念頭に置いての御提案ということになります仮にそういった法文が設けられた場合にそれが会社提案にどのような解釈上の影響を与えるかということはあり得るかもしれませんけれどもここで念頭に置いておりますのは先ほど申し上げましたように株主提案についての数え方ということでございます

 続きまして二つ目の点ですけれども拒絶事由と申し上げているのは仮に数を超えるものを扱うという結果的に超えていても違法の問題を生じさせないということを念頭に置いておりますので会社の方で判断が難しかったときに多めに採るということは可能という前提で御提案差し上げております

 

中東幹事 先ほどの数の数え方役員等の議案の数の数え方について北村委員沖委員から御批判を頂きましたので反論させていただきたいと思います

 両委員がおっしゃることも分かるのですが,1人がどれだけの時間をとるのかあるいは多くの議案が出されたときに一定の枠で個の単位にしようというその発想はいいと思うのですけれども最終的にブラケットの中に幾つという数字を入れるかの話になるのかもと思っています。B案で10と入れてもその中に役員等の選解任議案が多く入ってくれば,8として外に出すのと同じことになりそうですので結局のところ,A案を採ってブラケットの中を幾つにするかの話と似たようなことになるのかもと思います

 北村委員がおっしゃった内容において関連性がある事項についてこちらは賛成でございます論理必然的なものは個として数えるべきであるという点で古本委員の御懸念については共有するものがございますただ論理必然的にというとまだ抽象的ですので実際に効果的に運用できるかという疑問が残ります補足説明の例を読ませていただきましてももしこの議案をばらばらにしてしまって本来なら一括して可決または否決しないといけないのに一部の議案は可決残りの議案は否決という形になると違法な状態がつまり会社法が予定していないような状態が生じるということがこの内容において関連性がある事項だと理解いたしましたその意味でそういったものはセットとして議案とするということかと思っておりますので論理必然的とは切り離してしまうとするとおよそ会社法で許されないような定款の内容になるという場合であると思います立法技術的な問題もあろうかとは思いますけれどもそういう形で明確に書いていただくとより実務的には安心できるのではないかと思っております

 

小林委員 どうもありがとうございます

 株主が提案できる議案の数の制限でございますが数の制限について,10という数字は仮置きということでございますけれども第一読会では他の株主から賛同を得られないような精度の低い株主提案も多くなるのではないかという懸念を申し上げてせいぜい個から個ぐらいと申し上げていますが今回の提案についてすんなり読むと,B案の方がよさそうに見えますがよくよく考えてみると例えば,B案の役員選解任をそれぞれと数えるということだけで言えば案の方でまとめた場合,Bマイナス,A案の方はプラスというぐらいの違いしか実はなさそうですのであんまり本質的な差ではないのではないかなというように思います

 そうするとやはり数の問題そのものに帰着するような気がするのでそういう意味ではこれは,10個を前提とした議論としか見えないのでいかがなものかと私の個人的な印象としては思いましたのでそういう前提の議論ではないと考えたときにどちらが本当にいいのかは先ほど御意見がいろいろあった実際に役員選解任をどう考えるかというのは非常に難しい問題だと思いますのでもう少し議論を深めていただく必要があるのかなと思います

 もう一つ一定の議案数の制限を置いたとしてそれを超えた場合の選択方法についてはやはり株主に特定させるのが番目で会社側がその後は駄目だったら任意ということでございますが先ほどちょっとお話もありましたようにこういう議案が出されたときは株主とのコミュニケーションが非常になかなか取れなくてそのやり取り自体が今でも大変だということになりますとこういう規定になったときに非常に難しい運用を迫られるということははっきりしていますのでやはり先ほども御指摘がありましたように議案数数の基準で超えた場合にはやはり全部無効にできるという形にしておいていただかないと実際にはなかなか会社側としてはワークしにくいのではないかと思っております

 定款変更議案につきましては内容の関連性に着目して区分するという考え方には賛成でございますがやはりその判断基準については非常に難しいところもございますのでこれだけで確定させるということではなくもう少し議論を深めていただきたいと考えます

 それから不適切な内容の提案の制限につきましては部会資料では,「専らとか著しくという文言が維持されていますが項目がからまであるということは結構だと思いますが商工会議所でもう一度検討したところこれらの文言によって,「専ら」,「著しくという制限はやはり権利内容的に見て捉える射程が少し狭くて厳しいのではないかという意見が大勢でしたできればやはり専らとか著しくという文言を削除するなどの扱いを検討していただきたいというのが要望でございます内心の専らということについてはやはり会社側としてはなかなか立証するのは難しいのでこれで拒絶するというのは実質的にはできづらいのではないかということが一番懸念としてあるということです

 会員企業が個別の事例として挙げられておりましたけれども株主提案に関する招集通知の記載のところで通常その提案の内容とか理由をそのまま記載することが求められているわけですがその内容が実は名誉毀損に現実に当たりそうな場合に招集通知に結果的に記載せざるを得ない状況となると会社そのものが共同被告で名誉毀損で訴えられる可能性があるのではないかということで深刻に検討された会社があったそうでそういう場合にどうすればよいのかという話がございましたそういう意味では,「専らをとっていただくと大分話が軽くなるのかもしれませんけれどもこういうときに名誉毀損のリスクを負わないあるいは制度的な担保を考えてほしいというような要望がございましたので紹介しておきます

 部会資料にはございませんが第一読会で申し上げましたとおり古本委員からも御指摘ございましたが議決権の300個以上の行使要件についてはやはり見直していただきたいということと株主提案権の行使の前倒しについてもこれは検討の俎上には上げていただきたいということは重ねてこれはお願いでございます

 

野村委員 最初にまず役員の選解任の件について申し上げようと思ったことは今小林委員の方から最初にお話がありまして余り違いがないのではないかなとちょっと思っておりましたのでこの辺は結局のところ数が多くもし提案できるんであれば数えても数えなくてもいいよねという話になると思いますけれども数がもっとかなり厳格に個とかってなってきますとかなりクルーシャルな問題になりますのでこはちょっと前提を踏まえた上で議論したほうがいいかなと思います

 もう一つは同一性のある例えば定款変更などにおいて内容において関連性のある事項という立法の御提案でありますけれどもやはり先ほど北村委員の方からもお話がありましたように論理的にもこれは関連性があるとこっちを削るならこれも絶対削らなければいけないといったものは明確なんですけれどもやはりつながっているようでつながっていないというものが圧倒的多数を占めると思うんですねそこの部分はきっと恐らく今の立法とそれから今日の御解説だとコンサバティブになるべく決議取消しにならない方向でたくさんの御提案の方を受け入れるという方向になっていくというように思いますのでもう一段何かそこで数を定款変更の中でたくさん出せるということを少し制限できるような工夫というのももう一段考えられないものかなということをちょっとアイデアはまた追って御提案させていただければと思いますけれどもやはりちょっとこのままではこの説明ではほとんど骨抜きになりかねないのではないかなというような気がちょっといたしております

 それで一番伺いたかったのは実はこの最後の内容の提案の制限のところなんですけれどもこれについても先ほどちょっと北村委員とのやり取りの中で例の株主総会参考書類のところに株主提案に係る理由の記載に関連する93条の問題があってこの中に例えば権利侵害であるとか名誉毀損とかそういったようなものが出ているとこれ同じものではないかと言われたんですがちょっと私の理解が違っているのかどうか分かりませんけれども,6ページにあります不適切な内容の提案というのはこの提案内容から見てそういった目的が推断される場合を指すのではないかなと理解していまして単に動機において何か困らせてやろうとかこれに絡めて名誉毀損の道具にしてやろうとかという目的を持っているものをここで提案内容として排除しようとしているわけではないと思いますのでそうだとしますとやはり提案理由の方で今度は傷つけてやろうという利用するのとは違った利用の場面が想定されているのではないかなというような感じがしますそのことを前提とした上でここでお話ししたかったことは飽くまでもここは内容の制限というそういうくくりで理解してよいものなのかどうかつまり提案内容からそういった目的が推断される場合ということを想定しているのかそれとも提案をきっかけとしてそういった動機を実現しようとしていることを防止しようとしているのかという点についてだけちょっと御確認をさせていただければと思います

 

竹林幹事 今野村委員から御指摘いただいた例につきましては飽くまで提案そのものの内容といったらよろしいんでしょうかその提案そのものの内容が専ら人の名誉を侵害するものであるということであって提案の内容自体は別に名誉侵害になっていないけれどもそれをきっかけとした何かを防止するということを想定しているものではございません

 

野村委員 そうなりますとよく考えてみるとここは逆に会社法施行規則の方の理由のところが必ずしも十分ではなかったのではないかなということがうかがわれまして逆に困惑するような理由をかけてくることも拒まなければいけなかったのではないかなと思いますのでそこは改めて御検討いただければと思います

 

藤田委員 何点か申し上げたいと思いますまず,B案の選択ですが私の前のお二人の委員が言われたこととほとんど同じです何人かの委員の方が案は不自然だと言われたのですが自然さという点ではどちらも余り差はないような気がします確かに議案の数と提案の数が違うのは不自然といえば不自然かもしれませんが提案していても提案していないとみなすというのも同じぐらい不自然だと思いますですから理論的には別にどちらでなくてはならないというような話ではないと思います選任議案は普通は選任される人ごとに議案を数えていますけれどもそれをそのまま適用すると非常におかしな結果になるのでそれを何とかしたいというわけでその手法としてはどちらの案も十分あり得ると思います

 むしろ実質的により影響があるのは提案数の上限をどう考えるかこれも小林委員や野村委員も言われたようにたとえば提案の上限がというときに,B案をとるのはさすがに抵抗がありますそういう話だとすると,A,B案のどっちが正しいという議論を抽象的な形でしてそれから提案数を決めるという手順で議論することはやめたほうがいいと思います両者は同時に考えないといけないと思います

 次に,2番目の議案の数え方ですがそもそもここで書かれている提案の意味が十分分からなかった点がありますつまりこういうふうな文言の条文を書くという御趣旨なのかそれとも条文を作るわけではないが提案の上限数を設けるというときにはこういう発想を前提としていますという説明なのかちょっとよく分からなかったのです考え方としては関連性があるのはまとめて考えるという発想――それをどのぐらい厳格に考えるかはともかく――動かしようがないと思いますもしそうしないのであれば提案議案数の制限は実質的に無意味になるので古本委員がおっしゃられたように定款に書ける事項を限定していくしかないと思います逆に定款には何でも書けるという前提を採る限りは定款変更議案としてまとめれば一議案というふうな数え方をするとすればこの規制は全く意味がなくなりますですから何らかのくくりで議案数を数えるしかないのは確かだと思います

 論理必然的に両立し得ないようなものは異なる議案と数えるという基準だけでいいかと言われるとやはりそこまで限定してしまうと提案数の上限の限定の趣旨が余りにも没却されるような気がします柔軟にすると曖昧になりリスクを会社に負わせることになる結果保守的に運用されることになるかもしれませんがしかし会社がリスクを負いたくないから保守的にする可能性があるからといって論理的に両立し得ない場合だけしか別のものとは数えないとまで限定する必要もないような気がしています議案の数え方については幾つか異なった考え方がありそうですが基本的にこういうくくりを設けること自体には賛成でそこから先の考え方の整理を今後もう少し考えたいと思います条文にするかどうかも今決められることではなくて整理がある程度つくようになってから条文化できる内容かどうかを考えればいいような気がしています

 なお提案株主によってくくりの大きさを会社が違えて扱ったりするという不公平なやり方も生じ得るという指摘がありました確かにそういうことが生じる可能性はあると思いますがしかし根本的に考えますとそれは提案の上限数を提案拒絶事由としてしまっている以上は避けられない問題ですつまりある人の提案については上限数以上のものを拒絶し別の人については上限数以上でも提案を認めるとする扱いを会社がする可能性は常にあってそれと比べると議案の数え方を提案者によって変えるという話はどちらかというと小さい問題です恣意的な拒絶の仕方をした場合に不公正な手続による取消事由になり得るという一般的な規制の問題にするにとどめざるを得ないと思います

 3番目に不適切な内容の提案の制限のについてはこれを入れるなというつもりはありませんがこの条項は役に立たないだろうなという感触を持っていますそもそもこれを満たす場合のイメージがわかないのですねあえていえば例えば誰かからお金をもらって提案をするというのがこれに当たるのでしょうがそれ以外は何があるのだろうかという気がします売名的な動機がある場合ですら専ら不正な利益を得る目的とまで言えるかどうかも分からないそうなるとこの条項を入れることで拒絶できる場合がどれだけ増えるかはよく分かりませんしまたこの拒絶事由を加えることで拒絶できる場合についての基本的な考え方が明らかになるというものではありませんですから積極的にこれを入れたいと思うわけでもないですが何か弊害があるわけでもないので反対もしないというそういうスタンスです

 むしろ,④が一番重要な考え方を示すものではないかと思いますけれども前回も確認したことですけれども,④にいう,「総会の適切な運営というのは準備段階も含めたものであるということとこれは提案が採択された場合に会社に損害が発生するという意味において提案の内容が不適切であるということを問題にしているのではなくて飽くまでそのような議案を検討することが運営との関係での弊害があるかどうかを考慮しているという趣旨の拒絶事由だということが重要です

 最後にどなたがおっしゃったかちょっと正確に覚えていませんが,300個という少数株主権の基準です最新の部会資料に書かれていないということは検討事項から落ちているこの要件を見直すことはしないという提案になっているように読めます最終的に見直しについて賛成するか反対するかは留保しておきたいと思いますがアジェンダから落としてしまう前にもう少し情報が欲しいと思います情報が欲しいのはまず第典型的に濫用的な提案と言われているもののうちどのぐらいこの300個という要件に依存して提案されているかということです。1パーセント要件を満たしている人によって相当数の提案がなされているのであればこの要件を削除することはそれほど意味がないということになりますし逆に濫用的提案のほとんど全てが300個の要件で提案してきているというのであればこれを削除することの意味は大きく変わってきます

 確認したいことの第点は昭和56年改正のときにこれが導入された時点におけるこの300個の意味は経済的な価値の点で現在も同じようなものと考えてよいかそれとも根本的に違ってきているのかということです。3番目に,1パーセントという要件と300個の間には平均してどのぐらい隔たりがあるのかということですこういうふうに並列的な要件が規定されているのは片方を満たすことがあれば片方を満たすこともある場合にどちらか満たせばよろしいとするケースが多いと思いますこれに対して1%の要件が300個の要件よりもほぼ例外なくはるかに厳しいというならこういう要件の書き方としてはかなり異例なことなのでその辺りも確認すべきかと思いますそういったデータを踏まえて慎重に判断すべきではないかと思っています

 

竹林幹事 必ずしも御質問を頂いたというわけではなかったのかなとも思いますけれどもまず私どもで御提案差し上げました内容において関連するということにつきましては余りこれまで定款変更議案の数の数え方というものが表に出てきていなかったのかなと思いましてどういった形で御議論いただけるのかという今現在の考え方といいますかそういったものを確認させていただきたかったという趣旨もございますここに書いてあるくらいがある程度皆様共通の認識でいらっしゃるということであればあえて明文化するということは必要ないかもしれませんしここでの議論等も踏まえましてまた条文化の要否等について検討させていただきたいと考えております

 また不適切な内容の提案のにつきましては前回もお答えさせていただいたとおり藤田委員から本日も御指摘いただいたとおりの考え方に立っております最後,300個要件のところでございますが実際にどういう形で300個とパーセンテージの関係を把握するのか難しいと思っておりまして引き続き検討させていただきたいとは思っておりますが第一読会で席上配布させていただきました資料の中に個数等については書いてございまして場合によってはその個数とそれが何パーセントかというのも書いてございます少なくてもそういったものを見ていますと,300個で利用されているということがあるとは認識しているのですけれどももう少し何か調べられることがあるかどうかを含めまして検討させていただきたいと思います

 

田中幹事

 まず先ほど来議論されている選任・解任議案の数の数え方についてですが多くの方がおっしゃるように現実には議案の数そのものをどう決めるかが重要なのでそれに沿って調整されていくものですから本質的には余り重要ではないかと思いますがしかし理論的に申しますと例えば,1回で提案できる議案の個数の上限をとしたとしますと仮に株主が既に個定款変更議案を出しているとしますそのときにもう個定款変更議案を出すのは違法なわけですねこれに対して株主がもう一つ今度は役員選任議案を出してきた場合には,B役員選任議案は全体で個と数えるであればそれも違法であるわけです定款変更議案であろうが役員選任議案だろうが合計で個を超えれば違法になるところが,A役員選任議案は提案数に含めないだと違法でなくなるわけですねですから役員選任議案何人の候補者を出そうがあるいは取締役と監査役と会計監査人の選任議案を出して更に解任議案を出そうが全然ウエイトが置かれないということになるわけでしてこれが筋が通っているのかということが問題だと思います

 役員の選解任議案は候補者の数だけ議案がありますので定款変更議案とかほかの議案と同じようなウエイトの置き方はできないということは争いないわけですけれども問題は同じようなウエイトは置けないとしても一切ウエイトは置かないのかそれとも実際に役員選任議案でも株主のための検討時間を取るわけですからウエイトゼロというのはおかしいではないかというところが議論の中心ですこれはブラケットの数をどうしようがつまり提案個数の上限をどう設定しようが起きる問題であります私自身はウエイトゼロはおかしいと思いますから案に賛成ということでございます

 それから実際にはブラケットの中の数をどうするかの方が皆さん御関心があると思いましてそれについては引き続き審議ということで今回は具体的な提案はないというお話しのようですが具体的な提案がやがてなされるであろうことを予期して申し上げておけば私も,10は少し多いのではないかと思います真剣な株主提案をしようとする提案株主にとっては提案する議案が10もないといけないというのはちょっと状況として考えられない多くてもというのが私は適当ではないかと思っていますそれから定款変更議案の個数の数え方については確かに現在の御提案ですと中身が不明確なので会社は保守的な対応にならざるを得ないのではないかというのはそのとおりかと思いますが仮にそうであってもこれまで何十個という数の定款変更議案として提案してきたものを全部一つの定款変更議案に押し込めた場合は会社はこの条項に基づいて拒絶ができるということになるかと思いますので意味のないものではないと思いますさらにこの条項を明確にする努力は必要かもしれませんが現在提案されている条項であってもこれを会社法に入れることには一定の意味があるのではないかと思います

 それから不適切な内容の提案の制限についてですが私はこの提案の中では特にを入れるということが非常に重要だと思っております。④客観的要件の下で不適切な提案として拒絶できるということを規定しておりましてこれは現在の権利濫用の法理ですと権利濫用について主観的目的を重視するような判例となっていることから,④に規定されているような事情があっても現行法のもとでこれが権利濫用に当たるのか必ずしも明確でないと思いますそれについて,④のような条項があれば株主提案を拒絶できるということでここに意味があると思いますそして先ほどの御解答にもありましたがこの提案は一つの定款変更議案の中で定款条項という形で延と株主の主義主張を述べるような提案が過去にありましたのでこのような議案を念頭に置くとこのの条項によって拒絶できるということになりますからこれを入れることに意味があると思いますこのが入るのであれば例えばに関しては現在の提案のような限定的なものでもいいのではないかと思います

 他の委員幹事の方から提案目的に付された主としてという限定が不明確なのでいっそ限定句は全部とったほうがいいのではないかという御意見もありましたけれども特に個人株主が株主提案する場合は何らかの形で経営陣に対して悪感情を持っていることがむしろ普通でありましてそういうエネルギーがないと個人株主は株主提案をしないと思いますので何の限定句もなくとにかく会社を困らせる目的があれば駄目というのはちょっと私には支持し難いです。「主要な目的というのは例えば不公正発行についての判例法理でも使われているわけですから条文に主要なという限定句を入れることも必ずしもおかしくないと思いますただもし,「主要なとか主としてという表現を条文に書くのが難しいのであれば私は,「専らと限定してもよいのではないかと考えております

 

加藤幹事 不適切な内容の提案の制限について質問いたします御提案は株主提案の個の提案についてそれぞれについてこの要件が満たされるかどうかということを判断するという前提で作られているのかそれとも東京高判の平成2719日のように一括して全て濫用であると評価する余地もあるのでしょうか

 

竹林幹事 私どもは基本的にはやはり個に見ていくんだろうと考えておりましたただその数が多かった場合とかについてそれがどういうような意味合いを持っていて全体として専ら困惑させる目的の提案になっているというような解釈の余地がないのかと言われるとちょっとよく検討しないといけないのかなとは思っておりますただ先ほども申し上げましたように,④などはまた違った観点から一つの定款変更議案の中にたくさんのものが盛り込まれているというようなこともあったりしますのでそれは全体的に見てどうかというようなこともあるのかと思いますもしまたこの辺りにつきましてお考え等あれば教えていただければと思います

 

三瓶委員 ありがとうございます

 私は定款変更議案の内容について申し上げたいと思います先ほど古本委員が最後におっしゃった業務執行に関わる事項について定款に定めることについてはある程度の制限を考えてほしいこれは正にそうだと思っています実際に議決権行使をする立場でガバナンス改革の中で取締役会に監督責任をより強く感じて持ってもらうという一連の流れの中で株主提案で個の細かいことについてどんどん制限を加えていくというのは全体からすると相矛盾することだと思っています

 実際に定款変更議案がたくさん出てきていますけれどもそれ同じ株主から出ている提案でもから見て相矛盾するというようなものがありますなのでそういう点からするとまず業務執行に関わる定款変更議案についてはどうにかうまく言い方が難しいんですけれどももう少し内容として提案しにくいというかそれは提案すべき内容ではないというようなことをどうにか盛り込めないかなということと同時に定款変更するときにはやはり一株主からは一つにするとそうすることで一つの定款変更議案の中で相矛盾していないものをよくよく考えてみて出さなければいけなくなるわけですねそうしないと通りにくいわけですねそういうことを考えた上で株主提案する

 そういうことを考えると上限についても10は要らなくてもう少し絞って辺りかなと思いますけれどもよくよく考えられた練り上げた定款変更議案でそこに必要なことは複数入っているかもしれませんけれどもそれを含めてぐらいにするということがトータルで見たときにきちんと精査すべき株主提案になると思います是非そういう方向になっていって今の一連のガバナンス改革というのが意味あるものになっていったらと思います

 

齊藤幹事 ありがとうございます

 最後の不適切な内容の提案のにつきましてまだ私自身がよく理解しきれていないところがあるかもしれないのですがこの読み方についてコメントをさせていただく次第です適切な運営が妨げられることによって株主の共同の利益が著しく害されると読むということとそれから提案の内容には踏み込まないということこれがこれまでに確認されてきたように思うのですけれども,「適切な著しくという評価を含む言葉が入っているのでこのようなものに該当するものは不適切だろうということについては余り議論の余地がないのかもしれないのですが実際にそれを判断できるのかというところがまだ整理がつかないところがありますというのは既に問題視されている先例があるような場合には同様の事案がこれに該当するだろうという点については多くの方の意見が一致するように思いますしかしそれは実際には内容まで見ているので濫用的であるという結論を導くことに躊躇を覚えないですむという側面があるように思いますので全く内容に踏み込まずに適切な運営が妨げられるのかを判断するとすればその要素は単に時間が掛かるとか手間が掛かるというところに尽きていくことになるそうすると例えば,「時間が掛かりますのでという理由で時間というのは株主それぞれにとって大事なものでもありますからその御提案は御遠慮くださいということになりかねないのではないかと実際には上場会社であれば保守的に運用されるだろうという期待の下にこういう提案が取り上げられているのかもしれないのですがそのような前提がない場合も想定して制度は作る必要があるのではないかと感じました

 

松井幹事 これ大したことではないという話なのですが先ほどの,B案について一言だけ

 A案をとっている方というのは決議の瑕疵に関する議案というものについての学説があるのでここで議案という言葉を使ってしまうといろいろと解釈論上難しいという話だと思います。B案の方は議事進行において議案ごとに説明と討議をするといったような議事進行であるとかいったようなことを念頭にどちらがきちんとした手続でいけるかといったようなことをお考えなのだと思うのでちょっとここで議案という概念を使って条文を書くのかどうかということを考えていただければ多分案についての懸念の部分というのは大部分解消するのかなということであります

 あと先ほど矛盾したような株主提案についてという話がありましたけれどもそういう行き当たりばったり的な議案をどんどん出してくるというのであれば,④のような話に引っ掛けることができるのではないかというそういう感想を持ったということと業務執行制限なんですけれどもこれ業務執行を制限する議案が出てくるのが困るのは非常によく分かるのですがそうすると多分究極的には定款に株主が書くことができる事項というところに踏み込んで多分議論をするのだろうなと思って株主提案権のところで整理し切るのはちょっと難しいのかなと考えたということです

 

 

続きはあした!!

会社法改正!! 法制審議会の議事録読んでみた・・・。

株主提案権の濫用防止が主な目的でした・・・

 

ABprojectは、ココナラというサイトを中心に法律学習系のサービスを提供しています。

今回掲載する法制審議会の議事録(株主提案権の議論に関するものを抜粋)もサービス提供のご依頼をきっかけに読んでみたというものです(そのご依頼は、頓挫してしまいましたが・・・。ドタキャンは本当にやめてください!!)。

 

株主提案権の濫用を防止するために旧会社法303条~305条の内容が議論されています。

改正の経緯を知ると、単に文面を知っているだけよりも深く条文の意味を理解できます。

個人的な感覚としては「立体的に」見えるようになる気がします。

 

これは、大事なポイントです。

例えば、論証を張り付けているだけ(論点主義)の答案と問題の個別事情に合わせた具体的な検討ができている答案かは、「立体的に」見えているかどうかの差だと感じます。

「多角的に」見えているという表現もできるかもしれません。

いずれにしても、一度読んでみてください。

条文の一字一句に「こだわり」があることがわかると思います!!

 

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・第一回法制審議会

 

(P1)

また近年株主提案権が濫用的に行使される事例が見られるようになったことを受けて株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備を検討すべきではないかという指摘もあります

 

(P5)

「2 株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備では株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置を整備することを検討してはどうかとさせていただいております

 近年一人の株主により膨大な数の議案が提案されるなど株主提案権が濫用的に行使されこれにより株主総会における審議の時間等が無駄に割かれ株主総会の意思決定機関としての機能が害されたり株式会社における検討や招集通知の印刷等に要するコストが増加することが弊害として指摘されているところでございますこのような濫用的な行使に対しては一般条項である権利濫用の禁止では対処することが難しいという指摘もあるところです株主が提案することができる議案の数を制限することや株主による不適切な内容の議案の提案を制限することを検討するのがよいのではないかと思われます

 

(P9:小林委員

株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置ということでございますがこちらについては基本的には賛成でございますがいろいろな現実的な株主総会等での運営上言わば他の一般的な株主から見ましてむしろ建設的な対話が阻害されるような提案については一定の制限が必要であると考えさせていただいておりますそのほか濫用的な場面とは必ずしも言えないかもしれませんけれども単元株の考え方が大分変わってきているということもありますので株主提案権の行使要件についてあるいは株主提案を行った方とのいわゆるコミュニケーションの問題というようなこともございますのでこの行使期限の考え方等についても併せて検討していただけると大変有り難いと考えているところでございます行使期限の話は濫用のケースと区別する

 

(P16:古本委員

点目の株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備でございますけれども株主提案権が濫用的に行使されますと先ほど御紹介があったとおり本来株主総会で議論するのにふさわしくないような議案につきましても会社の負担で総会資料に掲載せざるを得なくなるという問題がございますまた総会の場でもそのための時間を確保しなければならなくなりますし提案が多数なされた場合はほかの株主との対話の機会が阻害されるということにもなりかねません以上のことから株主提案権の濫用的な行使を制限するということに賛成でございます

 資料には提案個数の制限と不適切な内容の提案の制限について書かれておりますが提案権の行使要件と行使期限の前倒しについても御検討いただきたいと思っております行使要件のうち,300個の議決権という絶対数基準が現行法ではございますけれどもこれは会社の規模発行株式数と関連しない基準でありましてこれを維持することには疑問を感じているということでございます

 

(P23:柳澤委員

点目ですが,「株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置の整備ということについて簡単にコメントさせていただきますこちらに関しましては権利濫用になるのか否か判断するのに容易でない面があるというように捉えております基本的に提案できる議案の数ですとか内容について制限を導入することが望ましいと考えております近年の行使事例におきましては些末な内容を含む議案や一人の株主が膨大な数の議案を提案するような状況が見受けられますけれども実務上会社側で株主提案権の濫用的な行使になるのか否か判断するのは難しいのではないかと認識していますそのためこうした状況に何らかの歯止めがかからない限り株主総会参考書類等の印刷や発送費用の増大といったコスト面での負荷はもとよりほかの株主の実質的な議論の時間が少なくなるといった意思決定機能上の弊害というリスクも生じ得る可能性があると思います

 仮に制限措置を検討するとした場合ですが実現可能性が高いと考えられるものとしては部会資料にも記載がありますとおり提案できる議案の数を制限することや不適切な内容の提案を制限することが挙げられるかと思います今後の個別議論に際しましては具体的に議案数の制限を幾つまでとするのがよいのかまた不適切な内容に対応するために株主提案の拒絶事由を設けるべきか否か設けるとした場合にどのような文言となるのかこういった点も課題だと認識しております

 

・第二回法制審議会

まず株主提案権の濫用的な行使の制限の要否におきましては株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置を整備するものとすることでどうかとしております株主提案権の制度の趣旨は株主の疎外感を払拭し経営者と株主とのコミュニケーションを良くしようとするものですが近時株式会社を困惑させる目的で議案が提案されたり一人の株主により膨大な数の議案が提案されるなど株主提案権が濫用的に行使される事例が見られます株主提案権が濫用的に行使されることにより株主総会における審議の時間等が無駄に割かれ株主総会の意思決定機関としての機能が害されることや株式会社における検討や招集通知の印刷等に要するコストが増加することが弊害として指摘されております

 判例では一定の場合には株主提案権の行使が権利濫用に該当することが認められておりますが実務上株主提案権が行使された場合に株式会社がその株主提案権の行使が権利濫用に該当すると判断することは難しいと指摘されております

 そこで株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置といたしましてで御議論いただきますように株主が提案することができる議案の数を制限することや株主による不適切な内容の議案の提案を制限することを提案しております

 まず株主が提案することができる議案の数の制限におきまして,「取締役会設置会社においては会社法305条第項の議案役員及び会計監査人の選任又は解任に関する議案を除く。)の数は,[10]を超えることはできないものとすることでどうか。」としております。10にブラケットを付けている趣旨といたしましては制限される議案の数につきましては仮のものとして現段階では提案させていただくものでございます

 本文では役員等の選任又は解任に関する議案については議案要領通知請求権に基づき株主が同一の株主総会に提案することができる議案の数の制限の例外にすることを提案しております役員等の選解任議案は候補議案と解されていることから役員等の員数に応じて株主が提案することができるようにしておくことが合理的であり議案の数の制限の例外とする必要があるのではないかと考えております

 また本文では株主が同一の株主総会に提案することができる議案の数は10を超えることができないことを提案しておりますこの提案は近時提案数が多いとされている電力会社に対する運動型株主の提案に係る議案の数も多くて10程度にとどまっていることや株主が同一の株主総会に議案を何十も提案する必要があることがまれであることなどを踏まえたものでございます

 本文の1)株主が提案することができる議案の数を制限する場合におきましても株主が関連性のない多数の条項を追加する定款変更議案を一つの議案として提案したときにおける定款変更議案の数え方についてどのように考えるかを問うものでございます

 定款変更議案の数え方につきましては現在の株主総会の実務を前提といたしますと関連性のない多数の条項を追加する定款変更議案であっても株主が当該議案を分けて提案しなければ形式的には議案の数は一つであると考えられるように思われますしかし株主がこのような定款変更議案を提案した場合には定款変更の内容の固まりごとに複数の議案が存在すると考えることもできそのように考える場合におきましては定款変更の内容の固まりごとに複数の議案に数の制限が及ぶとも考えられます

 ただしそのような取扱いが会社提案に係る定款変更議案に及ぼす影響など現在の株主総会の実務に与える影響を踏まえまして定款変更議案の数の考え方につきましては御議論いただければと考えております

 続きまして不適切な内容の提案の制限では,「会社法304条及び第305条の規定は次のいずれかに該当する場合には適用しないものとすることでどうかとしております

 ①といたしまして,「株主が専ら人の名誉を侵害し又は人を侮辱する目的で同法第304条の規定による議案の提出及び同法第305条の規定による請求以下第において株主提案という。)を行ったとき。」,②といたしまして,「株主が専ら人を困惑させる目的で株主提案を行ったとき。」,③といたしましてここでは二つの案を提案させていただいておりますが,「[株主が株主総会の適切な運営を妨げ株主の共同の利益を害する目的で株主提案を行ったとき。/株主提案により株主総会の適切な運営が妨げられ株主の共同の利益が著しく害されるおそれがあるとき。]」としております

 なお補足説明で記載いたしましたとおり議案の数の制限と同様の理由によりまして議題提案権については不適切な内容の制限をしないこととしております

 続きまして本文のからまでの事由についてそれぞれ御説明させていただきます本文の株主が専ら人の名誉を侵害し又は人を侮辱する目的で株主提案を行った場合に当該株主提案を行うことができないものとすることを提案しております株主が専ら人の名誉を侵害し又は人を侮辱する目的で株主提案を行った場合には正当な権利行使とは言えませんのでこのような株主提案を制限することが考えられます

 また本文専ら人を困惑させる目的で株主提案を行った場合に当該株主提案を行うことはできないものとすることを提案しております人の名誉侵害や侮辱に至らない場合でありましても株主が人を専ら困惑させる目的で株主提案を行ったときは株主総会の活性化を図ることを目的とする株主提案権の制度の趣旨に反するのみならずで申し上げましたように株主総会における審議の時間等が無駄に割かれることになることなどもありますので嫌がらせ的に株主提案権制度を利用することを防止するためにこのような株主提案を制限することが考えられます

 最後の本文,(に記載いたしましたとおり株主が株主総会の適切な運営を妨げ株主の共同の利益を害する目的で株主提案を行った場合に当該株主提案を行うことができないものとすること又は株主提案により株主総会の適切な運営が妨げられ株主の共同の利益が著しく害されるおそれがある場合に当該株主提案を行うことはできないものとすることのいずれかを択一的に提案するものでございます

 株主提案権は株主総会において行使されるものとして株主総会の適切な運営との関係において制約を受けると考えられますことから株主が株主総会の適切な運営を妨げる目的で株主提案を行った場合や株主提案により株主総会の適切な運営が妨げられるおそれがある場合などにつきましては先ほど申し上げた株主提案権の制度の趣旨に反するだけではなく株主総会の審議時間が無駄に割かれるなどの弊害も生ずることとなり結果として株主の共同の利益が害されることになりますのでこのような株主提案を制限することが考えられます

 本文におきまして株主の共同の利益を害する目的を要求する場合と当該目的を要求しない場合というように二つの案を提案させていただいている趣旨でございますが株主が株主総会の適切な運営を妨げ株主の共同の利益を害する目的で株主提案を行ったときという要件とした場合につきましては株式会社側において株主の主観的意図の有無を判断し立証することが困難であるという御指摘等も考えられることも踏まえまして株主提案により株主総会の適切な運営が妨げられ株主の共同の利益が著しく害されるおそれがあるという要件も併せて提案するものでございます

 

古本委員

 まず点目の株主提案権の濫用的な行使の制限の要否でございますけれども前回も申し上げましたがこれを制限するための措置を整備することに賛成でございますこういった権利が濫用的に行使されますと会社においては提案についての対応の検討それから招集通知の印刷郵送こういったところで無用の手間とコスト負担を余儀なくされますまた総会当日におきましては株主提案に関する趣旨の説明会社からの反対の意思表明など必要以上に時間を取られましてほかの株主の発言の機会を制約することになってしまいます会社と株主との建設的な対話の場の一つとしての株主総会の運営に悪影響を及ぼすことにもなりますので株主提案権の濫用的な行使これは制限すべきであると考えてございます

 株主提案権の濫用的な行使を制限するための措置のうちの議案の数の制限でございます部会資料では役員選任議案等を除いて10個までとすることが提案されておりますまずこの数としての10個についてですけれどもやはり実務の感覚からはいかにも多いということを申し上げざるを得ないと思います

 数の面のみで濫用か否かを判断するということは非常に難しいと考えてございまして判例上も10個を超えれば濫用であるというふうになっているわけではないと理解してございますつまり10という数字が必ずしも濫用か否かのメルクマールになるというわけではないということからいたしますと,10という数字が座りが良いのかもしれませんがほかの数字を考えてもおかしくはないのではないかと思う次第でございます

 後で出てまいりますけれども行使要件が現行法では非常に緩く設定されていると考えておるわけでございますこれとの絡みでやはり一人10個までとなりますと同じ株主グループでも二人三人とこの要件を満たせばの主張という形をとって20,30個といった数の提案が可能になってしまうという問題がございます取締役会という株主から信任を受けた機関これが提案する議案の数が役員選任議案を除きますと通常は一つか二つということになっておりますのでこれとの比較で見ましても株主に必ず10個まで保障するというところまで本当に必要なのだろうかという思いがございます

 今申し上げましたように濫用という観点からだけでは数において上限設定をするのは難しいと思いますので一人の株主が総会の時間を独占するそういうことによる弊害の防止という視点も加味してこの上限の数を検討いただいてもよろしいのではないかと思います

 仮に10個の提案がなされたといたしまして,1議案当たり趣旨説明が会社の反対意見表明質疑で10分といたしますと全部で150分掛かるということになります総会実務では総会の場ではできるだけ多くの株主に発言の機会を確保するという趣旨から質問につきましても一人問ですとか,3問までといったような制限を設ける会社が多いのではないかと思いますこれと同じような考え方から株主提案の上限個数につきましても一人につき個ないし個というような数にすることで十分ではないかと考えます

 次に役員選任議案を除いてという部分ですけれども部会資料に記載のとおりにいたしますと仮に役員選任議案で10個提案したといたしましてもそれは個というふうにカウントされるということであと10結局,20個提案できるということになってしまいます役員選任議案については全くカウントしないというのはやはり妙な気がいたします先ほど申し上げた総会時間の独占の回避という視点から見ますと役員選任議案もほかの議案と同じことになりますので合理的な制限が設けられてしかるべきではないかと思います

 それから,(1)の記載になりますが株主が関連性のない多数の条項を追加する定款変更議案を一つの議案として提案したときこの定款変更議案の数え方でございますけれども資料のページ目の補足説明にありますように内容の固まりごとに判断するということにつきましては異論はございませんただ会社側が定款変更を提案するといったときの議案の数え方との関連もございますのでこの定款変更議案につきましては業務執行の範囲に属する事項については提案できないとすることも併せて御検討いただきたいと考えてございます

 それからのうちのもう一つの不適切な内容の提案の制限でございますけれどもこれは記載されている御提案に賛成でございます。③につきましては先ほど御説明いただいたとおりやはり株主の主観に属する提案の目的を立証するということは困難を伴うと思われますので後の方の文言の,「株主提案により株主総会の適切な運営が妨げられ株主の共同の利益が著しく害されるおそれがあるときとする方が望ましいと考えます

梅野幹事 少し違う観点からと申しますかむしろ反対の方向からまずは論点等を明確にするために発言させていただきます

 濫用的と言えるような事例をどう評価するか株主提案権の行使を制限する立法事実として十分なのかというところについてはいろいろな意見があり得るだろうと思います部会資料ページにございますとおり平成27月から28月総会において3,500社と言われる上場会社のうち,50の会社で提案権行使がされたというように理解しておりますそれにつきましては今日配布された資料版商事法務の資料においても同様の記載がされているところかと思います

 このうち何社かについては支配権争いに伴う株主からの提案権の行使であり何社かについては電力会社における運動型株主によるものでありあるいはこれらの中には定款変更等で不適切な内容と思われるものも含まれていると思いますこのような事実をどう評価するかという問題だと思います

 特に数・議案数の観点から制限すべきかについてはより慎重に検討する必要があるのではないかと思います私が何か事実を見落としているのがあれば御教示いただきたいと思いますが,2013年以降の商事法務の株主総会白書というのを見てきたのですけれども提案数は会社ごとに数個あるいは10個以内にとどまっているというのが多いというように認識しています部会資料ページにも電力会社に関する運動型株主の提案に係る議案の数であっても多くても10個程度にとどまっているという指摘がございますもちろん過去に一人の株主から極めて多くの株主提案がなされたことがあったということは認識しておりますそういった提案に対しては会社側が真摯に努力をされ交渉されて議案数を減らすといったような試みもされてきたところだと思いますけれどもそういうある意味ごく一部というか少数の例をもってして株主提案権の行使という重要な権利について数を制限しなければいけないのかどうかという点については慎重に検討する必要があるのではないかというように考えています

 また提案権の行使によってどれだけ総会が長時間化しているのかということは必ずしも明らかではないように思います総会の適正な時間をどれぐらいに想定するかということにもよるかと思いますけれども提案権が行使された場合当然先ほど御指摘があったようにある程度時間は掛かることになりますただしその会社が置かれている状況あるいはその総会における審議の必要性とか株主の利益といった観点から本当に許容できないほどの長時間を要しているのかという点については個別の事案ごとに見ていく必要があるのではないかと思います仮に提案権行使がない場合であっても例えば事業報告に対する質問とか役員選任議案に対する質問ということで同程度の時間を要するような場合もあるのではないかと考えています

 私は株主総会の運営の実務に携わっておりますが最近の総会は相当運営が洗練されてきていて提案権の行使に伴い当然時間は取られますけれどもそれでも株主からの発言は広くお受けしてなるべく対話型の総会を試みているという努力もされているというように認識しております

 また本当に数の制限でうまくいくのかという点も若干疑問があると思っています部会資料ページには定款変更の内容の固まりごとに複数の議案が存在すると考えることができるとありますがその議案の固まりをどう分類するかというのは大変難しい問題のように思えそう簡単に結論を出せないのではないかなというのが点目次に株主ごとに10個なり何個なりと制限したところで何人かの株主が提案されると結局同じような事態になってしまうのではないかというような懸念もあるのではないかと思いますそういった意味で議案の数による制限については慎重に御検討いただければと思う次第です

 定款変更議案等で不適切と思われる議案があるのは確かであると思います個人的にはこれに対応するために法律上何らかの定めを設けることはあり得るだろうと思いますただし今回提案されている工夫されている三つの案部会資料頁に記載されているからまでの案そのうちの番目の案については二通りの提案がされていますが実際これが採用されたとしても株主提案がなされた段階でいずれにせよ会社としてはこれらの要件に該当するか否かという非常に難しい判断を要求されることになるだろうと思います

通常の会社としては取消事由にはならないとしても損害賠償義務を負うということ自体避けたいという感覚だと思いますがそういった状況において非常に難しい判断を強いられるそうであったとしても御提案いただいているような単なる一般条項ではない何らかの形で具体化した条文があればそれは実務上役に立つ面がある取っ掛かりにできるというようにも思います

 

沖委員 ありがとうございます

 株主提案権の濫用的な行使の制限のための措置ですがその必要性や要件の設定について立法事実の慎重な評価が必要なことは事実だと思いますそのための資料ですけれども先ほど御指摘がありました公益社団法人商事法務研究会の刊行する資料版商事法務』,この毎年月号に前年の月から当年の月総会までの具体的な株主提案権の事例が整理して毎年掲載されておりますこれを過去に遡って見ますと正直やはりその提案の中身は問題があるのではないかというものが多数見られますそういったものをどのように評価するかということになってくると思います

 これを株主総会の実質的な機能という観点から見てみますとこの企業法務の分野でも総会の運営というのはここ二三十年で大きく変化した分野でありまして私が弁護士登録した当時は株主の対応とか質問への回答というのは一種の有事対応であるかのような扱いでしたが今では様変わりで会社が株主の質問に対して丁寧に答えると時間の許す限り答えるとそういった対応はされておりますので本当に対話ということを考えるようになっているかと思います

 ただそうは言いましても株主総会の審議時間というのはおのずから合理的な制約はあるかと思うのですね例えば10時に始めますと正午までが一つの勝負なわけですそういった限られた中で公平に株主の質問を受けたり株主総会の機能を全うするという観点も重要だと思いますのでそういった機能から問題になっている株主提案権の制限の必要性の有無というのを考える必要があるということであると理解しております

 この制限をする場合に要件の設定については部会資料では目的の観点と内容の観点からそれぞれ提案がされていると思いますそこで株主名簿の閲覧請求等ですとこれは基本的に行為としては同じでありまして目的の点から評価するほかはないわけですただ株主提案権というのは正に提案の内容があるわけでしてその内容面からのやはり制限措置というのは検討する必要があると思います

 その際にまず総会の適切な運営を妨げ株主共同の利益を著しく害するという要件が提案されていますがこの前半の総会の適切な運営を妨げるかどうかこれは株主総会の会議体としての目的との関係でどうかということだと思いますこれと後半の株主共同の利益を著しく害するというのはこれは言わば議案の内容そのものが問題になってくるもし仮にその議案が可決されたときに会社にどういう影響を及ぼすかということだと思いますのでそれぞれこの二つの要件は分けて独自の要件として設定することが妥当ではないかと考えます

 あとは,『商事法務の具体例を見ましても問題と思われる議案のほとんど全てが定款を変更することによって代表取締役に特定の行為を義務付けるというそういう形態のものとなっておりますのでそういったものに問題が多いことは事実だと思いますですからこの要件の設定に当たってはそういった定款変更議案の濫用に対応できるものでないといけませんのでその意味でも株主共同の利益を著しく害するという要件は検討する必要があるのではないかと考えます

 

大竹委員

 いろいろ議論を興味深く拝聴しておりましたが裁判所の立場から少し観点を変えまして株主提案権で苦労しているとすれば株主提案権に基づく保全処分ということになりますので少し私の部で担当させていただいた保全処分の実例を御紹介させていただきます

 事案は株主である債権者が同社の代表執行役である債務者らに対して株主提案権に基づいて招集通知及び参考書類に議題議案の要領及び提案の理由の記載を求める仮処分の申立てであります当初は20個の議題議案の要領及び理由の記載等これは反対提案とか修正提案も含んでいたようですがその20個の提案とそれから個の理由の記載の補充を求めて申立てがされました

 申立ては30日でありました株主総会の予定日は日以降とされておりましたこういう保全処分の申立てを受けますと裁判官としては現行法の下では審理の終期は印刷に付す日だなとそうすると会社の方にいつ印刷に付しますかというのをお聞きしてそれまでにできるだけ裁判所の方で判断をするようにしたいと考えるというのが多くの裁判官のマインドかと思います

 その事件でも保全の決定は日にされ一部認容でしたので保全異議の決定は15日にし保全抗告がされまして,527日にこれはもう印刷に付された後ですけれども高裁の方で抗告審の決定が出たということになります一般論としてはこの保全の審理特に当初の審理では掲載を求める議案が明らかに理由がないあるいは違法であるといったものはもう取り下げたらどうですかという勧告をするそれから表現ぶりが不穏当ではあるが少し直せば掲載が認められそうなものは申立人には少し直したらどうですかと言い会社の方にはそう直すと言ってるから載せたらどうですかというような和解のようなことをして取下げをしてもらうというようなことをして残ったものについては保全裁判所として判断をすることになりますが時間との闘いということになり裁判所としてはなかなか厳しい類型の事件ということになります

 その観点からは提案できる議案の数に数の上で制限を設けていただくというのは基本的には方向としては賛成でありますそれが,10個がいいのかどうかというのはよくいろいろな御議論をいただいたらよろしいかと思います

 その点から裁判所からの質問ないし要望といたしましてはもう出ているところでありますけれども個の数の数え方ということになります特に実際問題としては株主が個の議題あるいは議案の要領提案理由の中に内容的に複数のものを盛り込んで個の株主提案権の行使だと主張するというのは容易に推察されるということになりますのでその点はよくこの場でいろいろ御議論いただいて裁判所も勉強させていただきたいと思います

 それから部会資料頁に①,②,③と挙がっていることに関連して二つほど質問ないし要望がございます

 一つ目はこのページの株主が専ら人の名誉を侵害しというこの類型においてはそういう目的で株主提案権を行使するという,①はそういう表記になっていますが他方で,6ページの補足説明の第段落の終わりのところは,「客観的にみて人の名誉を侵害し又は人を侮辱する事実があるかどうかが考慮要素になるという書き方になっていますこの客観的にみて考慮要素になるというのがどういう御趣旨なのか特に名誉毀損訴訟を担当している裁判官からはこれは真実性の証明を許すのか真実だという主張が出てきたときにどう扱うことになるのかというのは疑問に感じるところですので少し御議論をいただけましたら有り難いと存じます

 二つ目は同じくページのの類型に関連して実際には取締役の解任事案などでこの手の取締役の不行状というのが出てきてその中にいろいろ真実かどうか分からないけれどもその取締役の社会的評価を低下せしめるような事実が摘示されるということはままあるところかと思いますその場合のまとめ方はそうであるので取締役の適格性には疑問がある。」という提案の理由になるわけなのでしょうけれどもそういう提案の理由になったときのこの種の取扱いと言いますかそれを専ら人の名誉を侵害する目的で株主提案権を行使したのか否かの中で判断するというのもなかなか厳しい感じがします実際に審理を担当する者からはそのような疑問を持ちますのでまたおいおい御議論いただけたらと存じます

 

前田委員 この濫用的な行使を制限するための措置として二つ挙がっているうち重要なのは後者の不適切な内容の提案の制限の方だと思いますここは表現が非常に難しいところだとは思うのですけれども今回せっかく明文規定を設けるのであればできることならもう権利濫用の一般規定に頼らずに会社法だけで完結できるように濫用的な行使を全てカバーできるような形にするのが一番望ましいのではないかと思います株主名簿の閲覧請求会計帳簿の閲覧請求あるいは説明義務の規定などは全てそのような自足的な規定になっているのだと思います

 今回の案は,③が広く使えそうな書き方になっておりこれらからで権利濫用と考えられる場合を全てカバーできるのかもしれませんけれどもあるいはより一般的な包括規定になり得るようなもの例えば,「株主であることと関連しない利益のために株主提案を行ったときというぐらいのもう少し一般的抽象的な場合を定めておくことも考えられるのではないかと思います

 

小林委員 どうもありがとうございます

 まず株主が提案することができる議案の数の制限というところなのですが先ほど実務的な感覚については古本委員の方からいろいろお話がありましたのでそちらと概ね同じなのですがやはり株主総会の運営上株主との対話特に質疑等を一般的な意味で充実させるという意味では余り議案の数が多過ぎるとその他の言わば説明に時間が取りにくいということがあるのともう一つ質疑はよろしいのですが議案ということを考えますと株主全体の利益に関わる熟度の高い提案であることが必要だと考えるとしますと一般的に可決されるところまでいくかどうかは別としてもかなり多数の賛同が得られるような議案でないとおかしいのではないかなとそういう感覚がございます

 そうすると一人の株主からそういう議案がたくさん幾つも出されるのかというとちょっとそういうレベルのものが10個も出てくるというのはどう考えてもそこまではいかないのではないかとやはりそういう意味での熟度のレベルからいくとよくて二三個ぐらいではないかなという感じがしますので先ほど古本委員から個あるいはということなのですけれども私どもの検討としては個ぐらいが限界なのではないのだろうかという感覚を持っております

 それから不適切な内容の提案の制限についてはこういう文言を考えていただいて大変有り難いところでございますが特にの方はやはり客観的要素が盛り込まれている方がいいと思いますので後段部分の方がいいのかなと思うのですが

 一つ,①,②につきまして人の名誉を侵害し人を侮辱すると書いてあるのですけれどももう一つ人を困惑させるというところで,「専らという文言が付いているのですこれだと非常に厳しい基準かなとそこをどういうふうに実際認定するのかということはあるのですけれどもやはり主としてくらいの感じで,「専らではなくてもう少しレベル感を下げていただいてもいいのではないか。「主として人の名誉を侮辱しとかあるいは主として人を困惑させるというぐらいでもいいのではないかこの辺はちょっと技術的な問題はもちろんおありかもしれませんが私どもの印象としてはそういう感じです

 もう一つ,③につきましても株主の共同の利益が著しく害されるおそれがあるというふうになっているのですけれどもこれにつきましても著しくとまで言う必要があるのかどうかちょっとこの辺については検討いただきたい私どもとしてはむしろ著しくはない方がいいと考えておりますが御検討いただけると有り難いなというところでございます

 

加藤幹事 ありがとうございます

 2点意見を述べさせていただきます

 1点目は株主が提案することができる議案の数の制限についてですな御意見を伺

っておりまして議案の数を制限する根拠を濫用の抑止という観点だけに求めるのかそれ

とも株主総会を通じて株主と会社の間で意味のある対話が行われることを確保及び促進する

という観点も考慮すべきとの立場が存在するように思います

 数の制限をむしろ濫用というよりは後者の言わば株主総会で意味のある対話が行われることの確保及び促進という観点から位置付けるのであれば,10よりも少し下げてもいいかなという気がいたします

 それに対しまして濫用のメルクマールとしての数ということになりますと実は10個では少な過ぎるのではないかと思います数のみに着目して株主提案権が濫用されているという状態はもっと数が多い場合を指すように思います

 繰り返しになりますが提案の数を制限する意味には二つあって制度設計をする際に両者をどのように考慮するかによって結論が異なる気がしております

 2点目は不適切な内容の提案の制限に関してなのですが具体的な提案として人の名誉であるとか人を困惑させるとかと非常に一般的な規定の仕方がなされていますこれは会社を困惑させるとか役員とかを困惑させるとかということだけでなくてより一般的に会社とは一見関係がないような人を困惑させるような提案も拒否できるとかそういう趣旨を含んでいるのかどうか確認させていただければと思います

 

竹林幹事 ここで専ら念頭に置いているのは会社その関係者を困惑させるというようなことでございまして具体的な提案が一般的に人を困惑させるようなものは会社も困惑させるのかどうかちょっとその辺り具体的なものをどのように念頭に置かれているのかにもよりますけれどもここでは人と書いておりますが会社その関係者を困惑させるというようなことを念頭に置いて考えております

 

松井幹事 手短になのですけれどものところでたくさんの株主が共同して提案をしてきたことが判別できないと結局減らないのではないかというお話があったのですけれども会社の側から複数の株主に対してあなたたちの議案は共同していますのでこの点についてはまとめていただけないかという働きを行った上でこれをあえて拒否する場合には第の権利がないという方に持っていくというやり方というのもあるのかなと思いました

 それとの関係なのですが複数の株主が10個が10個重複しているわけではなくて一部分が重複しているけれどもほかの部分は独自であるというようなそういう提案の仕方をしてきたときに併せて10個と数えるというこの数え方はどうするのだろうというのがちょっとよく分からなかったのでこの点がもし御意見想定があるようであれば伺いたいということであります

 

竹林幹事 松井幹事の今の御質問なのですが一部重複というのは内容の一部重複でなくて人の一部重複をおっしゃっているのでしょうか

松井幹事 内容ですね

竹林幹事 内容の一部重複の問題は恐らくそれはどこまでが独立した議案なのかということに関わってくるのだろうと思っておりますどこまでが一つの議案かということを判断した上で重複があるということになってきた場合については今でも同じ議案が重複しているようなときにどのように取り扱うのかということとの関係もありますがその重複した議案を取り下げていただければ残りの議案の数で数えるということになってくるのだと思います

関連ある議案についてどこまでを一つと見ていくのかということ自体に難しい問題があるのだろうとは思っております

 

藤田委員 私からは一つ目の提案と二つ目の提案各について簡単に申し上げたいと思います

 一つ目の提案で議案の数の制限については具体的な数字について今日は意見は控えさせていただきたいと思いますただ具体的な数字はいくつにするにせよ御指摘のありましたとおり議案の数え方をある程度確立していかないと議案数の制限はおよそ機能しないルールになります数え方を全部裁判所に丸投げするのもちょっと無責任かなという気もしますのでもし可能なら何らかの形で議案の数え方に関する基本的な考え方を最後条文になるかどうかはともかく議論はしておいた方がいいとは思います

 余りいい例を思い付かないので突飛なことを言って申し訳ないのですが国会法では憲法改正の発議の仕方について規定されていて国会法68条のでは,「憲法改正原案の発議に当たつては内容において関連する事項ごとに区分して行うものとするとありますバラバラに全部条ずつ国民投票にかけたりしますとおよそ両立しないような条文が残ってしまったりしかねない例えば両院制廃止する憲法改正をしたのに両院制を前提とした特定の条文が残ったりすると困るだから関連する事項ごとに区分して賛否を問うということでしょう論理的に関係があって切り離して判断することが望ましくないようなものは少なくとも一つと考えなければいけないという発想が表れている条文だと思います今の国会法と同じ条文で規定しただけで裁判所にとって有益な指針になるかどうかは分からないのですが何もない白紙で委ねるのもどうかと思いますので少なくとも一定の関連性のある議案を一つと数えるという発想を示すための何らかの規定を置くことができないかを議論することが望ましいと思います

 2番目の内容の制限の方ですけれどもこの三つでおよそ足りるかという前田委員の言われた問題もあるのですがそれとは別にの内容について確認させていただければと思います先ほど沖委員からの御意見もあった点です私はこの条文――前の方でも後の方でもいいのですが――の読み方として株主提案により株主総会の適切な運営が妨げられその結果株主の共同の利益が著しく害されるつまり運営が妨げられることによって共同の利益が害される場合を規定しているものと読みましたしたがってとんでもない内容の提案で万一これが可決されたら会社が大変なことになるから共同の利益に反するとして株主提案を取り上げないという扱いは少なくともこの条項によってはできないと読みました内容が悪い提案を否決するのは総会において株主が行うべきことで万一このような内容が可決されたら困るという理由で提案それ自体を拒絶することはできないしかしそのような提案を取り上げること自身が株主総会の運営にとって望ましくないと言えるような場合愉快犯的な提案でほかの議案に使うことができたはずの株主総会の時間を割いて議論するのが時間の無駄としかいいようがなく株主共同の利益に反するから取り上げないというような扱いを認めるものだと読ませていただきましたそれが正しいのかというのが確認したい点です

 もう点は,「株主総会の適切な運営という言葉で表現されている内容ですが総会当日における議場での議事の進行のみならず株主総会の準備も含め適切な運営と書かれていると私は読んだのですけれどもそれでよろしいでしょうか例えば膨大な提案を直前になって送りつけて会社側としておよそ対処もできず株主総会の準備に支障を来すということはやはり適切な運営が妨げられるという文言の中に含まれていると理解したのですがそれで正しいでしょうか最後の点は事務局への質問です

 

竹林幹事 記載の趣旨はいずれも藤田委員から御指摘いただいたとおりでございまして株主共同の利益と書かせていただいておりますのは株主総会の運営に関わるような利益であると考えておりますまた株主総会の適切な運営でございますがこれは議事そのもののみではなく会社側の事前の準備等のコストといったものも株主の共同の利益に当たってくるということを念頭に置いて考えております

 

・第三回法制審議会

まず「1株主提案権の行使要件の見直しの要否では取締役会設置会社における株主の株主提案権の行使要件のうち,300個以上の議決権という要件を引き上げるべきかどうかについてどのように考えるかとしております

 近時の株主提案権の濫用的な行使事例や株主提案権が導入された昭和56年当時と比較して投資単位が減少していることを踏まえ株主提案権を行使することができる株主の範囲が広くなり得ることが懸念されており株主提案権の行使要件のうち300個以上の議決権という要件を引き上げるべきであるという指摘がされております

 しかし300個以上の議決権という要件を引き上げることは株主が多数存在する大規模な会社における個人株主による株主提案権の行使を過度に制限してしまうことになるおそれがあると考えられます

 また300個以上の議決権という要件が近時の株主提案権の濫用的な行使事例を生じさせた原因であるかは明らかでないことから当該要件を引き上げるべきか否かについて株主提案権の濫用的な行使を制限する観点から検討することは相当でないとも考えられます

 さらに株主提案の数や内容についての措置を整備することとした場合には近時の株主提案権の濫用的な行使事例の問題は相当程度解消するとも考えられます

 そもそも我が国においては株主提案権の行使を受けた上場会社の数は50社程度にとどまっており依然としてその数は少ないという指摘もございます

 したがってこれらの事情も踏まえて取締役会設置会社における株主の株主提案権の行使要件のうち,300個以上の議決権という要件を引き上げることが適切か否かについては慎重に御議論いただければと存じます

 「2株主提案権の行使期限の前倒しの要否では株主総会の日の週間前までという株主提案権の行使期限を前倒しすべきかどうかについてどのように考えるかとしております

 招集通知を法定の期限より早期に発送している上場会社等においては招集通知を印刷し封入することなどに要する期間のみならず株主提案権の行使を受けた後にその適法性を検討し議案を作成することなどに要する期間も考慮すると株主提案権の行使の期限である株主総会の日の週間前から招集通知の発送までの期間が短くなるので株主提案権の行使の期限を前倒しすべきであるという指摘がされております

 しかし例えば定時株主総会月より後に開催する場合には計算書類等の作成や監査に必要な期間に時間的な余裕が生ずる結果として株主提案権の行使の適法性の検討等に要する期間にも時間的な余裕が生ずることとなると考えられます

 また株主提案の数や内容についての措置を整備することとした場合には株主が提案することができる議案の数が制限されることなどから株主提案権の行使の適法性の検討等に要する期間も短縮することができることとなると考えられます

 さらに株主は株主提案権の行使時に株主総会の日を正確には知らないのが通常であるので,8週間前を更に前倒しした場合には株主側に及ぶことになる不利益にも配慮する必要があると考えられます

 したがってこれらの事情も踏まえて株主総会の日の週間前までという株主提案権の行使期限を前倒しすることが適切か否かについては慎重に御議論いただければと存じます事務当局からの説明は以上です

 

古本委員 まず,1番目の株主提案権の行使要件の見直しの要否なのですけれどもこの行使要件のうちの300個以上の議決権慎重な検討を要するということになっておりますけれどもやはり現実的に考えますとこれは株主提案権の濫用を抑止するという意味ではかなり大きな影響のある部分ではないかと思いますので廃止又は引上げですね基準の引上げを御検討いただきたいなと思います

 規模の大きな会社について考えますと議決権300個といいますと恐らく1%の更に100分のにも満たないというようなレベルの数字になることもあると思います金額的にも時価で言いましてせいぜい数千万円程度というところではないかと思います数千万円といいましても株式を保有していなければいけないのは基準日だけでありますので実務の感覚からしますとこれは現実的なハードルは相当に低い状態になっているのではないかと思います

 の問題意識といたしましては株主提案権に基づいて提案をする株主は提案の内容について何の責任も問われないということですそういうものが出てきても会社としてはコストを掛けて検討しそれを書類の中に入れていかないといけないとこういう問題がありましてそういうことが許されるのはやはりある程度コストが自分の痛みとしても返ってくるとちょっと考え方はそれで正しいかどうか分かりませんけれども,1%というのであれば何となく理解できるような気がするのですけれども,300個というのが一体どこから出てきたのだろうかとそれが今現実に妥当なのかどうかということはもう一度前向きに御検討いただきたいなということであります

 回目にも申し上げたと思いますけれどもこの300個というこういう数字の規定の仕方というのはここだけだと思いますのでこの在り方が妥当なのかどうなのかというところにやはり疑問を感じているということでございます

 それからもう一つの行使期限の前倒しの要否のところでありますけれどもここについても是非前向きに御検討いただきたいなと思います現実問題といたしまして期限の直前この週間前直前になって提案権を行使されますと会社といたしましては総会の準備これはスケジュール的に大変厳しいものになりますですのでこれが前倒しされますと招集通知の早期開示にも対応しやすくなるという利点もございますのでこの点もよろしく御検討いただきたいということでございます

 部会資料最後のページの中ほどといいますか,「しかしのところにありますけれども,6月より遅く総会を開催すれば対応に支障がないのではないかといった趣旨の記載がございますけれども,7月とか月とかに総会を開催するということにいたしますと年度が始まってからか月,5か月たっても役員の選任が行われないと実務の執行体制が固まらないという問題が生じてしまいますので,7月総会といったものを前提にした議論は現実に合っていないのではないかというふうに思います

 それから部会資料でその次に株主は総会期日を知り得ないので提案権の行使が一層困難になるこれは期間が延びれば延びるほど困難になるという趣旨だと思いますけれども現実には週間前であるのと10週間前ないし12週間前であるのとどれほどの差があるのかなという気がいたします

 ということでこの提案権の行使期限の前倒しにつきましてもこれは総会資料の電子化における書面送付の期限の設定とも絡みますのでそうした関連でも御検討いただけないかと思います

 

野村委員 今の御発言の中で300個の話がございましたが私は今回の改正の趣旨は濫用的な株主の提案権を防止することであって現在提案されていることの中で濫用的ではないものについてその提案自体を抑制するということが立法の目的ではないと思いますので濫用的な事柄が数と内容によって十分確保できるのであれば現在極めて少額な出資者の人たちがある一定数集まって合理的な提案をされていることを妨げるようなことはしない方がいいんではないかなと思います

 

小林委員 小林でございます

 先ほどの古本委員の議論とほぼ理由というか実態は同じところでございますがやはりこの300個要件については廃止ないし引上げを求めるものでございます

 濫用的な問題というところをもちろん前提にした議論に近いところではあるのですけれども現実株主総会の実務というところで見ますとやはり非常に限られた時間でたくさんの株主からの質疑を受けたりあるいは現実の合理的な提案についてはもちろん審議するということはあるわけなのですが先ほどの古本委員からの御指摘もありましたように非常に低い議決権の比率の方が提案するということになりますと実際に私どもとして重要なのはこれが一定数相当数の賛成票を集められるかどうかというところが事前に全くスクリーニングなしに出てくるのは本当に良いのかというところがございますそういう意味では1%というのは一つの目安ではないかなと思います

 例えにはなりませんけれども別に国会でもやはり例えば衆議院20人とか参議院10人とかいう法案の提案権の縛りがあってこれってよくよく考えても5%くらいですし余り例えにはならないかもしれませんけれどもマンションの管理組合みたいにこういう全体の合同の話をするときでも標準規約では議決権の割とかそういうふうな,5分のとかいうふうな基準が付けられておりますどちらかというともう率だけで切っていただかないとやはり非常にいろいろな規模の会社があるということを考えると定型的な処理にとってやはり支障が出ることも現実にはあるというふうな認識からいいますとそういう意味での基準があって本来しかるべきなのではないかなという気がしております

 もう一つの提案権の行使については基準日からか月というところで考えたときに株主提案がされて実際最後の総会というよりはそれより前に議案を決める取締役会というのは招集通知の発送スケジュールとか考えるとしてか月半ぐらいまでに普通やらなければいけないこれは決算とか何とか全然関係なくて早くに株主総会をやろうとすればそれを前倒しするということになると実際には提案を受けてから取締役会までは検討してそれを決めるまでの日程はほとんどないという現実がございますそうすると内容がかなり熟度の高い内容であれば別ですけれども非常に熟度の低いものないしは数が多いものというような現実があるとそこのコミュニケーションを提案された株主とさせていただく必要があるという観点から見ればやはり一定の時間が必要だということと先ほど申し上げた現実に議案として取り上げるかどうかという取締役会までのスケジュールを考えるとやはり今の全体のか月という範囲の中では週前というのは非常に短いという感じでございましてやはり10週なり12週というようなところまでという期限を入れていただきたいなと思います

 これと直接関係ないですけれども実際にそれに当たる事務局の苦労というのは大変なものだというのはもう現実に提案された会社の方皆さんおっしゃっていますので働き方改革ではございませんが一定のやはり時間が欲しいというところは実務的な要請としてはございますのでそういう意味での丁寧な対応をさせていただくという意味でお時間を頂戴できるような検討をしていただきたいというところでございます

 

沖委員 ありがとうございます

 株主提案権の行使期限の前倒しですけれども私も1,2週間程度の行使期限の前倒しを検討する必要があるのではないかと考えておりますまず総会準備のスケジュールの観点から申しますと招集通知が会日の週間前という発送期限がありますがこれが週間程度以上早期発送されこの期間は拡大している現状にあると思いますほかに通知等の決定印刷に必要な時間を考慮しますと株主提案権の対応のための時間というのは相当に限られてくると思いますこの間に提案の適法性の法律的検討取締役の対応さらに提案に問題がある場合の提案者との間での交渉等をこなすというのは非常に厳しいと考えます

 もし会社が株主提案を不適法として拒絶した場合には提案株主としては議案要領記載の仮処分命令等の申立てで対応することになりますが過去の判例を見ますと抗告審の判断が出る段階では招集通知の印刷が終了してしまっているとそういう事例もありますので司法審査の期間を十分に確保するという観点からも可能であれば行使期限を前倒しすることが望ましいと考えます

 なお部会資料の中で指摘されております月総会の可能性ですがこれが実務上行われるようになったとしましても監査法人の監査やこれに対応する社内の経理担当者の負担を軽減する効果はあるとは思いますが総会担当者や役員の負担を果たしてどこまで軽減するのかという疑問は残ります総会当月と前月の担当者の負担というのは相当のものですのでその中で株主提案に対し適切に対応するということはかなり厳しいのでその環境整備の必要性は高いと思います

 なお株主総会資料の電子提供制度を採用した場合アクセス通知としての招集通知の発送期限は1,2週間前倒しするということが検討されていると思いますこれを実現する場合にはこれに応じて株主総会の株主提案権の行使期限も1,2週間程度前倒しする必要があるのではないかと思います

 他方提案株主の側から見ますと定時総会の開催日というのは期末に固定された基準日や前年の総会日からある程度その時期の予測は可能ですので,1,2週間これが前倒しされたとしても対応は可能ではないかと思いますしたがいまして,1,2週間程度の前倒しの方向で前向きに検討する必要があると思います

 

三瓶委員 議決権行使の実務の面から行使する側からちょっとお話をします

 まずこの資料の中で年間50社程度にとどまっておりというのがあるのですが確かに全体からすると数は少ないかもしれませんただ当該社について議決権行使をするときに時間配分的には株主提案の方に割ぐらいの時間を掛けることになりますというのは会社提案というのはある種毎年の繰り返しのものもあるし大体予想の付く範囲なのでどういう方針で向き合うかというのは大体の方針がありますただ株主提案についてはどんなものが来るか分からないということと根拠が余り定かではないというようなこともありますのでこれは一つ一つかなりチェックするのに時間が掛かりますそういう意味でたかが50件といってもその50件に割く時間配分を皆さんが予想しているとすれば実際のところは意外に思われるところがあるのではないかなということ

です

 そしてそのとき何が起こるかというと特に今平均で外国人株主が30%ぐらいいるようですけれども基本的に日本語ではなく英語で議決権行使をすることになります発行会社側が英語で発信してくれていればまだいいのですけれどもそうではない場合に議決権行使助言会社等の英訳を待って議決権行使の手続に入りますそうするとスタートが週間ぐらい遅れますそこでただその議決権行使助言会社も大変ですから株主提案について全訳はしません非常に簡潔にエッセンスだけを訳します

 そうすると真っ当な議決権行使助言会社が真っ当な英語でさらっとエッセンスだけ述べるととてもそれらしくなりますそうするとそれだけを見て判断するとなるほどなと株主提案に納得するのですけれども原点に返ってどういう理由で提案しているのかを見るとここは判断が随分変わることがありますというのはそもそもほかの議案との関係で矛盾しているとか又はその会社の機関設計上矛盾があるとかいうことがだんだん見えてきますなので現状では多くの株主提案を受けた会社に関しては議決権行使は非常に危なっかしい状態で行われている可能性が否めないというのがあります

 だからといってその制限をどういうふうにしたらいいかというのは非常に難しいのですけれども結果的に十分に考慮していないような提案をしていることもよくあるのでそうした株主提案が300個という低いハードルでできてしまうのは適正なのだろうかとは思います

 あと株主提案には定款変更議案というのが多いのですけれども定款変更議案についてその中身が本来取締役会決議事項であるものとか又は業務執行に関わる内容ではないかというような具体的で細かいことが随分ありますこれを定款に全部入れるのかとそうすると経営判断が随分制限を加えられるのでここについてはそもそも議案として適正かどうかという判断の根拠として取締役会決定事項であるとか業務執行に関わることとかいうことは考慮する余地があるのではないかと思います

 

青委員 まず提案権の行使要件の方でございますけれどもそちらに関しましては濫用防止という観点から別途数や内容の制限についての検討が進んでいるということからいけば行使要件のところで個人の株主が建設的な提案を行う機会を減らすような方向性に進むことになってしまうというのは基本的には避ける方が望ましいのではないかと思われます

 加えて行使期限の前倒しという観点につきましてもこちらも濫用防止のための数の制限等を考えていくということでいけば現状との比較という意味でいけば行使期限の前倒しというのは必ずしも行う必要はないのではないかと考える次第ではございます

 ただ一方で招集通知あるいはアクセス通知をより早期に発送するということを求めていくということにして招集通知の準備期間が必要だということであればむしろその情報を早く提供するというそういうプラスの意味があるわけでございますのでそうしたことをセットでということであれば一定の提案権の行使期限の前倒しは致し方ないというかあり得る話かなというふうに思う次第であります

 

松井幹事 すみません今の点ちょっと私前回の資料を手元に持っておらずどんなふうになっているのかちょっと事実関係の確認ができないのですけれども,Notice&Accessの制度を取り入れた場合に招集通知が前倒しになるというところまでの御指摘は頂いたのですけれどもそれと連動して取締役会における議案の確定の日程というのも週間程度早まってその検討の時間が週間程度短縮されるということであれば確かに大変かなと思うのですけれどもその点がどうだったのかということがちょっと確認できなくてすみません

 

沖委員 当然アクセス通知を発送するためには少なくとも議題を決めないといけないのですけれどもその際株主提案が出されていればそれを採用するかどうかで議題が追加になるわけですからそのアクセス通知発送までには少なくとも当該株主提案の議題を受けるかどうかですねこれを決めないといけないということですのでその検討の期間がやはり1,2週間前倒し余分に取る必要があるのではないかとそういう意味で申し上げました

 

松井幹事 すみません役会の日程は変わらずそこからの事務作業が短縮された結果招集通知発送が早まるということであれば恐らく議案確定までの時間のリードタイムというのは余り変わらないのかなというふうに思ったということです

 

 続きはあした!!

 

 

【注目】AB projectのご利用をご検討の皆様へ 効果的なサービス利用のご提案

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司法試験の民法短答で71点(75点満点)とる人のリアル知りたい? 少ない知識で得点するスキル満載!!

「この程度の予備試験合格者もいるんだな・・・」と安心してもらえたら幸いです。

令和元年の司法試験民法短答の問題に対する解答を再現したものです。

試験直後の自己採点がかなり手ごたえのあるものだったので、形に残していた次第です。

予備試験の短答自体は、4回不合格になりました。

そんな自分がまさかこんな点数を取れる日が来るとは・・・。

一人でも多くの方に希望を与えられたらと思います。

 

「逆にどこを間違えたの?」というご質問に最初にお答えしておきます。

問4と問17です。

「予備試験ルートの受験生」が、短答式試験中どんなことを考えているのか、参考になれば幸いです。

 

以下法令名を省略している部分は民法ですまた説明上挙げている条数は全て記憶しているわけではありませんがその内容はある程度記憶しています

1

ア・誤 未成年者の法律行為の取消しは、5123項の話日常生活に関するものであるか否かは条文上何も書かれていないから取り消せない(∵取消の法的根拠なし)。成年被後見人に関する9条ただし書きのひっかけだ

イ・正 成年被後見人の行為能力は、9条の話同意の有無については条文上何も書かれていないから取消しの可否には影響しない(∵同意の有無は条文上取消しの要件になっていない)。

ウ・正 条文の問題だと察するがあまり自信がない制限行為能力者を保護するという観点からすれば保佐人の同意がある限り取消しを認める必要がないと考える同意があるにもかかわらずそれを認めることはかえって取引の安全を害する同意があるのに取り消せるという成年被後見人の話は取引の安全より制限行為能力者の保護を優先するという例外だと考えるよって上記のように結論づける趣旨から考える)。

エ・正 これも条文上の根拠に自信がないしかし制限行為能力者保護という制度趣旨から考えれば同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可がない法律行為を取り消せると考えるのは自然であるよって上記の通り結論付ける

オ・誤 取消権の消滅時効166167条とは別個に規定されていることは知っているがこの問題の正解については自信がないもっとも上記アイの肢は根拠をもって答えられているので本肢を考える必要はない

 

2

ア・正 財産管理人の権限は保存行為と目的物の性質を変えない範囲の利用改良行為に限られそれを超える時は家庭裁判所の許可が必要と覚えている(28条前段103)。本肢は権限の範囲を超えると考えられるから家庭裁判所の許可が必要

イ・正 肢アの知識から結論を出せる

ウ・正 弁済が上記の権限の範囲に入っているのか自信がない保留

エ・誤 遺産分割協議が上記の権限の範囲に入っているか自信がない保留

オ・誤 贈与は上記の権限に入っていないと考えられるから裁判所の許可が必要だろうと判断もっとも上記アイの肢から答えを出しているので一応検討した程度

 

3

ア・誤 顕名の要件を満たさない代理行為の効力の問題と理解。100条本文とただし書きの内容は記憶しているのでただし書きの規定から誤りと判断

イ・正 双方代理の話だと理解し条文を思い出そうと試みるうろ覚えだったが双方の許諾がある以上双方代理により当事者に不当な不利益が生じるおそれは低いと考え上記の通り結論づける

ウ・誤 条文はうろ覚え本人の指名に従う以上代理人の復代理人選任に対する責任は軽減されると考えるもっとも選任時に復代理人が不適任であることを知っていた場合その責任を負わせるのが公平と考える公平の原理から考える)。よって上記の通り結論付ける。→条文改正があったので注意!!

エ・正 法定代理人任意代理人よりも容易に復代理人を選任できることを思い出す任意代理人が法定条件によらず当事者の合意によって初めて選任されるのと対比してその根拠を理解しているもっとも法定代理人の責任の範囲については自信がないため保留

オ・誤 無権代理人の履行又は損害賠償責任の話と理解改正前1171)。もっとも条文の定めに素直にあてはめられないあてはまらないと気づくそもそも無権代理人が追認を得られなかった場合それにより取引の安全が害されること(=相手方保護に配慮しなければならない趣旨からの検討)。とすれば代理人の主観を考慮する本肢はまるで見当違いの話と判断上記の通り結論付ける

 

4誤答(∵ウエオはわかったもののアイで正答にたどり着けず

ア・誤 自信がないので保留

イ・正 自信がないもっとも条件未成就の間も目的物を処分することは可能であったという記憶から正解と判断

ウ・誤 条文を読んだ気がするものの自信がないもっとも不能解除条件条件成就の可能性ゼロ無条件とおなじと考えて結論を出す

エ・正 1301項を知っていたため即答

オ・誤 随意条件(134の話と理解もっともその効果がどうなるかについて確信がない条件成就が債務者の意思に委ねられているとすると法律行為に伴う法的拘束力が実質的に認められないことになると考えるとすれば法律行為が無効であることと同じと判断

 

5

ア・正 自信はないため保留もっともイエの肢から容易に解答を導くことができたので問題なかった

イ・誤 時効取得と時効完成後の第三者という有名論点を思い出す

ウ・正 共同相続人の時効援用権の範囲について自信がないため保留。 

エ・誤 自己の所有物でも時効取得を認めた判例1621他人の物という文言とともに思い出す

オ・正 1871項の定めを思い出すとともに占有の善意無過失について判断時期の定めがないことも思い出す判例は最初の占有者の占有開始時と判断していたことを記憶していたとともに善意無過失の判断時期は基本的に占有開始時点という印象もあった

 

6

ア・正 177条の話。A→B→Cと物権変動が生じた場合、ACは対抗関係に立たないと即座に判断

イ・誤 177条の話。DBとの関係で177条の三者にあたるか否かを考える。Dは遺贈の当事者(A)でなくまたその包括承継(C)でもないからこれにあたると判断

ウ・正 遺言をしないで死亡という文言に反応法定相続の話だと理解またこれも177条の第三者の話と理解。DCとの関係で三者にあたるか。B相続放棄したという問題設定からその法的効果を思い出す(939)。そこからBが相続開始時点に遡り甲土地について無権利であったと考えるとすれば、Bの持分相当を差し押さえたとするDも無権利になるから、D三者にあたらない(∵登記の欠缺を主張する正当な利益をもたない)。よって上記の通り結論

エ・正 解除後の第三者の論点と理解し慎重に解答

オ・誤 177条の第三者の話と理解し即答

 

7

ア・誤 どこかで見たことがあると思いつつも自信を持って解答できない道路運送車両法上の登録を抹消されている以上普通の動産と同じと考えて上記の通り結論結果的にエオがわかったことにより事なきを得る

イ・誤 192条に基づく即時取得の要件を冷静に思い出す。「宝石だから・・・などと余計な迷いを生まないように気を付ける。「取引行為・・・という条文上の文言及び取引の安全という条文の趣旨から相続を通じた即時取得はあり得ないと判断

ウ・正 贈与が取引行為に含まれるかどうか悩む保留

エ・正 競売は取引行為に含まれると判断また194条が競売による即時取得を前提とする規定を定めていることも根拠とした

オ・正 質権を即時取得できるのかが問題と判断この点は、192条がその動産について行使する権利と規定している旨を普段から意識していたため所有権以外の物権も即時取得可能と判断

 

8

ア・正 収益権限のない者が勝手に苗を生育した場合の土地所有者と苗を生育した者との公平から考える条文上土地とその定着物は一体のもの不動産として扱われることそして苗がその土地に生育していることから考えてその苗の所有権が土地の所有者に属すると考えるもっともウオから解答を導いている

イ・誤 事前知識なし保留

ウ・誤 立木に関するAC間の対抗問題と考えて結論付ける

エ・誤 甲土地についての登記の効力がいかなる範囲に及ぶか考える不動産は土地及びその定着物であるとの規定(861から考え甲土地の登記がその土地上の立木にも及んでいるとして結論付ける

オ・正 2461項ただし書きを思い出して解答

 

9

ア・誤 条文うろ覚え保留アウ又はウエのいずれの解答にするか迷った末消去法によりアウを誤りと判断

イ・正 条文知識なしもっとも土地所有権保護という観点からすれば本肢のような権利を認めない理由がないと考え結論付ける

ウ・誤 233。「枝は切れぬが根は切れると覚えていたため即答

エ・正 条文知識なししかしおそらくそうなのだろうと考える境界線上にありどちらのものとも判別しがたいからである

オ・正 条文知識なししかしこのような規定があっても不都合がないと考えた

 

10

ア・誤 「持分の処分は自由であるという理解に基づいて解答

イ・正 当該請求ができるという知識ありまた当該請求によるBCに対する特段の不利益が認められないため問題ないとも考えた

ウ・誤 「持分の処分は自由である

エ・誤 自信なく保留

オ・正 254条よりまた管理に関する債務を持分権者が負担するのはごく自然だとも考えたただしアウが誤りと気づいた時点で解答可能であったためそれほど長く考えていない

 

11

ア・誤 2982項より

イ・正 条文うろ覚えもっともこの肢のように定めても特段不都合がないと考え正答とする

ウ・正 条文うろ覚え自信がないため保留

エ・正 不動産質権者は質物を使用収益できるため原則として利息請求権がない(356358ことまではわかっていたがそれ以外の点は無知(359条については無知)。保留

オ・誤 条文知識なし全く分からなかったイオのいずれが誤か迷ったもののイが確からしいと判断した

 

12

ア・正 302条よりまた留置権は留置的効力を生じさせるものである点からも目的物の占有喪失による権利消滅の効果が生じることを覚えていた

イ・誤 留置権の成立要件から考えた(2951項ただし書き)。

ウ・正 301条より条文を知っていたし留置権担保物権であること担保権者の保護と担保権設定者債務者の保護との調和という観点から本肢は相当と判断対立利益から考える)。

エ・誤 本肢の話は過去問で何度も出題されていたので即答条文数はうろ覚えだったものの条文民執法195の存在も既知

オ・誤 判例の存在について既知留置権を行使することによる留置権者の利益と非債務者の不利益との調和の観点も意識対立利益から考える)。

 

13

ア・誤 自信がなく保留

イ・正 350条より留置権の規定(2971が準用されていることから考えた

ウ・誤 転質に質権設定者の承諾という要件はなかったと記憶していたそのため上記のように判断した

エ・誤 おそらく誤であろうと思ったものの自信を持って答えられずもっともイウの肢について自信があったため問題なし

オ・正 債権質の話と考え即答

 

14

ア・正 372条より304条が準用されている点から考えたまた抵当権は目的物の交換価値を把握するものであるという基本知識を意識して目的物滅失に伴う損害賠償請求権にも物上代位が可能と判断した

イ・正 自信がないため保留もっとも、244動産の付合と同様に考えるのではないかと推測

ウ・誤 370条の不可一体物と言えるか検討過去問からこの論点の知識は既知

エ・誤 自信がないため保留もっともアウについて知識があったため問題なし

オ・正 将来債権について抵当権を設定することも可能という判例知識あり

 

15

ア・誤 371条よりまた不履行がないにもかかわらず抵当権の効力を第三者に対する賃料債権に及ばせることは抵当権者を過度に利するとともに第三者に対する過度な負担にもなりうると考え誤りと判断

イ・正 370条よりまた不動産とは861

ウ・誤 370条より

エ・誤 370条より判例について不知だが条文の文言に照らして考えた

オ・正 370条より不可一体物とは何かという定義を意識して考えた

 

16

ア・正 過去問で出題された論点ではと考えたもっとも正確な理論的根拠をもって答えられず保留

イ・誤 受戻権の放棄を認めることは譲渡担保権に基づく履行強制の実効性を減ずることになるから許されないと理解していた

ウ・誤 自信がないため保留もっともアオの知識があったため問題なし

エ・正 自信がないため保留もっとも弁済期後の目的物譲渡・差押には受戻しを主張できなかったのではないかとの記憶がうっすらあった

オ・正 集合物譲渡担保権の話と理解し解答

 

17誤答(∵ウオのいずれも正確に答えられなかったため

ア・正 44623項より

イ・誤 保証人の要件(4501については知っていたものの債権者による指名の場合同条3の規定については自信を持って答えられなかった保留

ウ・誤 自信がないため保留

エ・誤 保証債務の付従性から検討。448条から保証債務が主たる債務より重くなることはない点は意識していた

オ・正 不知のため保留。 

 

18

ア・正 債権譲渡の予約と債権譲渡そのものとは別個の存在であると理解していたそのため債権譲渡の予約に対する債務者の承諾があっても予約完結による債権譲渡の効力にはその効力が及ばないと判断

イ・誤 自信がないものの契約締結時において目的債権の発生が確実に期待されるものとまでは言われていなかったのではないかと考えた問題文に惑わされず将来債権に関する債権譲渡も有効という基本知識を意識

ウ・正 判例知識より

エ・誤 自信がなく保留もっとも他の肢から解答可能だったため問題なし

オ・誤 債権譲渡の対抗要件についての判例知識より

 

19

ア・誤 問題文に惑わされそうになるものの免除の要件(519は債権者の意思表示のみで足りたと考えた

イ・正 債務者の意思に反する保証契約を前提とした規定(4622があるため即答また第三者弁済(4742の存在も思い出しひっかけかと推測する

ウ・誤 4742項より解答

エ・正 条文(514)はうろ覚えもっとも債務を免れることをよしとしない債務者意思の尊重という視点から解答他の論点でも共通する基本原理から考える)。

オ・誤 自信がないものの代物弁済の要件(482から考えて可能と判断

 

20

ア・誤 4841債権者の現住所との文言から判断

イ・正 持参債務と取立債務の履行方法の違いを意識しつつ取立債務の履行要件を思い出しながら解答特定物であるため取り立てて分離の必要はないと判断

ウ・正 492493条を意識。「賃料の受領を拒絶」「口頭の提供をしても賃料の弁済を受領しない意思が明確といった問題文に反応して解答

エ・誤 不知のため保留もっともアウから解答できたので問題なし

オ・正 不知のため保留。「債務の本旨に従って」(493という文言は意識して考えた

 

21

ア・誤 更改の定義から判断

イ・正 更改の対抗要件について不知のため保留

ウ・正 自信を持って解答できなかったため保留

エ・誤 条文(518に関しては不知もっとも契約当事者が変更されるという更改の性質から考え三者の承諾なく当該抵当権を更改後の債務に移転させることは当事者意思に反すると考え判断当事者意思から考える基本的な視点から考える))。

オ・正 所有権をめぐる対抗関係と賃借権をめぐる法律関係とをそれぞれ意識して判断また判例に関してはうろ覚えだったが所有権の移転とともに貸主の地位も移転するという理解を頼りに解答

 

22

ア・誤 5336482項より有償の委任契約というワードから委任契約は特約がない限り無報酬が原則であることも思い出す

イ・正 5335451項より売買契約を解除した場合の法律関係はもはや双務契約の・・・」(533とは言い難いから、533条準用のケースと考える

ウ・誤 造作買取代金債権に留置権が成立しないとする判例は知っていたが同時履行の抗弁権については自信がなかったので保留

エ・正 取消しに伴う原状回復義務は同時履行の関係にあると記憶していたなお令和元年司法試験当時は判例知識の問題だったものの現在は改正民法121条ので対応

オ・誤 明文はないものの敷金は賃料債権等貸主の債権の担保に供されるものであることから建物明渡義務が先履行の関係にあると記憶していた

 

23

ア・誤 自信がなく保留

イ・誤 588条より(「約したとき・・・」)。

ウ・誤 書面ですることが要件とされているのは保証契約のみと記憶していた

エ・誤 寄託契約には有償無償があると記憶していた(659条参照)。

オ・正 6672項より

 

24

ア・正 債務者有責の後発的履行不能(=債務不履行として判断なお改正民法では削除されているので注意

イ・正 瑕疵担保責任改正前566570よりなお改正民法の規定に注意

ウ・誤 解除前の第三者の問題かと思いつつもアイから正答は5(ウオが誤りということを結論づけられたので深入りせず

エ・正 533条より

オ・誤 期日・期間の問題はケアレスミスもしやすいので基本的に深入りしないようにします今回は上記の通りアイから正答が分かったので問題なし

 

25

ア・誤 賃貸借契約の成立要件に書面によることは含まれていないなお問題文の導入部分で建物所有を目的としない土地の賃貸借とされている点から借地借家法の適用はなく民法のみを考えればいいのかと一安心

イ・正 改正前民法6041ここで上記の導入部分が意味を持っていることに気付くなお改正後6041項に注意

ウ・正 自信がないので保留

エ・正 6191項より推定だったか擬制だったか・・・と戸惑うもののとりあえず結論を出す

オ・誤 自信がないので保留もっとも本問はアイを読んだところで正答を選べたので問題なし

 

26

ア・正 改正前6341項ただし書きよりなお改正民法の規定には注意

イ・正 改正前6342項より

ウ・誤 改正前636条ただし書きより

エ・誤 改正前6371項より

オ・正 改正前640条よりなお改正民法では削除

 

27

ア・正 708条には不法な原因のために給付されたと定められている点を意識教皇法規違反が当該要件に該当しない可能性は認められると考えた判例も一応既知

イ・誤 既登記建物についての給付」(708の成否の問題と理解判例はうろ覚えだったため保留

ウ・正 自信がなく保留もっともアエの正誤を判断できたため問題なし

エ・誤 判例を意識して解答

オ・誤 判例はうろ覚えだったが本肢が誤りであることは判断できた

28

ア・正 7173項より

イ・誤 樹木は土地工作物(7171にあたると判断するところからスタート(7172項は覚えておらず)。所有者は無過失責任同ただし書きとの理解から解答

ウ・正 自信がないため一旦保留オも不明だったためアウ(1)かアオ(5)かのいずれを選択するかで迷うもっとも土地工作物責任の趣旨は危険責任にあるところ瑕疵が生じている甲建物を現在管理しているのがAがその賠償責任を負うと考えても趣旨に反しないと考え結論を下す

エ・誤 「占有者」(7171には間接占有者も含むと理解していた

オ・誤 占有者が無資力の場合について条文の定めがないことから悩むウオのいずれがより正しいと言いうるか考えた末オは誤りと選択

 

29

ア・誤 過失相殺の前提となる被害者の能力について判例知識あり

イ・誤 被害者側の過失の論点の問題と理解し解答内縁の夫という点で多少迷ったが被害者側の過失の定義に従って考え結論を出した

ウ・正 共同不法行為(719連帯という文言の意義を意識不真正連帯債務を意味すると理解していた

エ・正 疾患が過失」(7222にあたらないことを前提にその類推適用の可能性を認めた判例を意識

オ・誤 判例を意識生命保険契約に基づく給付金はあくまで当該契約に基づくものであって不法行為自体から得られた利益ではないと理解していた

 

30

ア・正 738条より成年被後見人の意思尊重

イ・正 7421号で婚姻意思が必要なことを意識しつつその内容について判例の記憶をたどる

ウ・誤 自信がなく保留アオより正答を選べたので問題なし

エ・正 女性が解体していなかった場合の定めに自信がなく保留

オ・誤 出生した子の嫡出推定が認められるかという問題と理解婚姻中の懐胎が嫡出子の要件(7721であること強迫を理由とする婚姻取消は将来効であると考えられること(7481)(この定めには自信がなかったから嫡出性が認められると判断

 

31

ア・正 自信がなかったため保留

イ・正 825条より共同親権という原則を前提としつつも相手方保護も考慮すると理解対立利益から考える)。

ウ・誤 本肢のような条文の定めはないと記憶していたため誤りと判断条文に定めがないものは原則として認められないと考えることにしている

エ・正 7701項より同条は裁判上の離婚を認めることができる事由を列挙したに過ぎないと理解していた(∵「・・・離婚の訴えを提起することができる。」)。

オ・誤 761条ただし書きは覚えていなかったが、761条の趣旨から考え本肢は誤りであると判断した

 

32

ア・誤 自信がないため保留

イ・誤 7663項よりそもそも一切の変更が許されないとすることは不都合な場合が生じるため妥当でないと判断

ウ・正 791条より子の氏と親の氏が異なる場合の氏の変更は原則裁判所の許可とその旨の届け出が必要婚姻中だけ例外と記憶していた

エ・正 8193項より

オ・誤 そのように定めた条文はなかったと思いつつ自信がないため保留

33

ア・正 自信がないため保留イが分かったため問題なし

イ・誤 特別養子縁組は配偶者のある者が夫婦共同縁組をしなければならない(817条の3)と記憶していた

ウ・正 自信がなかったが養子の利益という視点から正しいと判断

エ・正 特別養子縁組により実方との親族関係が終了する(817条の9)。

オ・正 自信がなかったが実方との関係が終了する特別養子縁組の法効果から考えれば養親による離縁請求は養子の利益を著しく害する恐れがあり認められないのではないかと考えた制度趣旨から考える)。

 

34

ア・正 自信がないため保留もっともイエの正誤判断から正答を選ぶことができた

イ・誤 条文にそのような定めはなかったと記憶していたためアイのいずれが誤りか悩んだ末こちらを誤と選択した

ウ・誤 898899条より金銭債務は可分債務になると記憶していた

エ・正 判例知識あり。896条の一切の権利義務」(同本文)「一身に専属した」(ただし書きという文言は意識した

オ・誤 911条より

 

35

ア・正 自信はなかったが相続回復請求権が認められた趣旨及びその消滅時効が認められている趣旨に遡って判断した

イ・誤 遺言による遺産分割方法の指定に関する判例知識より

ウ・誤 5年を超えない範囲で遺産分割を禁ずることができると記憶していた(908)。

エ・誤 相続開始後から遺産分割までの間に相続不動産から生ずる賃料債権は相続財産に含まれないから遺産分割の影響を受けないと自分なりに考えて記憶していた

オ・正 910条より

 

36

ア・誤 11112号より代理関係委任関係当事者間の信頼関係という理解を前提にして同法律関係の当事者死亡は代理権の消滅自由と覚えていた

イ・誤 返還時期がある場合の寄託契約の帰趨の問題として条文知識を思い出した返還時期がある場合原則として期限前の返還はできない(6632ことから結論を出した

ウ・正 改正前599改正民法5973より

エ・正 6791号よりあまり自信がなかったがイオの肢を迷わず切れたため問題なし

オ・誤 9941項より

 

37

ア・誤 受領遅滞の効力について検討改正民法では413条により遅滞責任の内容が明文化

イ・正 自信がないため保留アエの肢より正答を選べたので問題なし

ウ・誤 400条より検討改正民法によりより内容が明確になった

エ・正 9181項より

オ・誤 自信がないため保留

 

感想

 ほぼ全問過去問を通じて得た知識から何とか正答を選ぶことができる問題だったと思う本試験前の過去問演習中も過去問の知識のみから正答を導くに足りる肢の正誤判断が可能だと感じていたやはり過去問を通じた知識の蓄積・条文を正確に理解しておくことが大事だと思った初見の問題で目先を変えられたりしても過去問で得た知識を信じて解答していければ大幅な失点はあり得ないと思う間違えた問題もよくよく考えれば正答にたどり着けそうな気もするのでその点は少もったいないと思う

 

少ない知識で効率よく点数を取るためには、「法学基礎力」を身につけることが不可欠です。

↓↓↓

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【予備試験受験生向け】また短答で落ちた 短答4回不合格からの逆転

過去問では点数が取れるのに本番で合格点を超えない

予備試験で不合格になって悲しい思いをしたことはありますか?

1回2回の不合格は、まだまだ序の口です。

下記の結果を見てください。

 

2013年(大学4年時)→不合格(短答落ち)

2014年(社会人1年目)→不合格(論文落ち)

2015年(社会人2年目)→不合格(短答落ち)

2016年(社会人3年目)→不合格(短答落ち)

2017年(社会人4年目)→不合格(短答落ち)

2018年(社会人5年目)→予備試験最終合格

 

筆者の戦績です。

散々でしたね。

危なかったですね。

よく諦めずに頑張りましたね。

才能ないですね。

当時の自分に行ってあげたいと思います。

 

短答の不合格は計4回です。

もう目も当てられない状況です。

 

もちろん勉強は頑張ってしていましたし、過去問演習もしていました。

過去問を解いていれば、コンスタントに80%以上の正答率になっていました。

「今年こそは大丈夫・・・」

と自分に言い聞かせて受験してまた不合格になる辛さ。

 

出口は一向に見えてきませんでした。

「過去問さえやっておけば短答は受かる」

という合格者の助言に従っていましたが、どうしても結果が付いてこない。

 

私はほぼほぼ諦めモードに入っていました。

 

「最後の悪あがき」として取り組んだこと

予備試験という最終合格率約3%の難関試験に挑んでいた私は、自分が大事なことを忘れていることに気付いてませんでした。

それは・・・。

 

「周りと比べて地頭がよくない」

 

ことです。

ご存じの通り、予備試験や司法試験を受験する人たちは、試験強者ばかりです。

「基礎さえ身につけば合格」とか、「計画的に勉強すれば合格」とか、言われることもありますが、私からすれば埋めようのない「才能の差」がありました。

 

そんな当たり前のことを忘れてしまっていたのですね。

それに気づいてしまった私は、いよいよ諦めモード全開です。

ほんの少しだけ「あと一回だけチャレンジしてみようかな・・・」という気持ちを残しつつ。

 

なぜあと一回だけチャレンジしてみようと思ったのかはわかりません。

短答すら受かっていないわけですから、論文に合格するという自信もさらさらありませんでした。

ただ、何となく「あと一回だけ」と思っていました。

 

その最後の1回にかけるにあたって自分の中で決めたことがありました。

「基礎基本にこだわる」ということです。

予備試験合格に向けてそれが大事だと強く思っていたわけではありません。

その大事さを認識するのは、のちの話です。

 

そんな決意を持ったのは、自分にできることはこれくらいだろうと思ったからです。

もはや「悪あがき」だと思っているので、落ちてもともとです。

出来ることをやって落ちるなら仕方がない、と腹をくくって、最後の望みをかけたわけです。

 

逆転劇、始まる。

「基礎基本にこだわる」という決意の下、参加したゼミがありました。

そこで学んだことは、ただ一つ「条文を大切にする」ということです。

当たり前すぎて笑われるかもしれませんが、自分にできることはこの程度です。

たくさんの判例を覚えることや難しい法律論を理解することは、無理です(と思っていました)。

 

ゼミを終えたのが、秋頃です。

そこから、自分なりに過去問を解きなおしてみたのですが。

日々理解が深まっていくのを感じました。

 

教科書の記述、問題集の解説が「読み込める」ようになりました。

「わからない」を自分で解消していけるようになりました。

自分で考えられるようになったので法律学習が「楽しく」なりました。

 

全ては「条文」という重要なピースに気付いたからです。

法律学において「条文」は基本中の基本です。

そんなことはわかっていたつもりだったのですが、それが「つもり」だったことは、短答4回不合格の成績が物語っています。

 

予備試験でつまづいている人は、ぜひ参考にして頂ければと思います。

同じ目に遭わせないように、私自身も努力していきたいと思います。

 

(逆転劇の立役者となった「法学の基礎基本」を詰め込みました)

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ご存じとは思いますが・・・ 行政書士試験、3か月では受かりませんよ

行政書士試験の合格率はなぜこんなに低いのか?

 

平成21年度 9.1%

平成22年度 6.6%

平成23年度 8.1%

平成24年度 9.2%

平成25年度 10.1%

平成26年度 8.3%

平成27年度 13.1%

平成28年度 10.0%

平成29年度 15.7%

平成30年度 12.7%

令和元年度  11.5%

 

行政書士試験の合格率です。

間違いなく難関試験です。

 

これを「120日」「3ヶ月」で合格を目指す云々という広告を見かけますが。

 

まさか「自分でも行けるかも・・・」とか思ったりしていませんよね?

 

ある条件を満たしていない限り、「絶対に」無理です。

合格可能性ゼロ%です。

 

一定期間の講座を受ければ、行政書士試験の合格に必要な知識に「触れる」ことはできますが、それと「合格」という結果とは全く結びつきません。

知識を得て合格にたどり着くためには、ある程度の「理解」が不可欠だからです。

 

3ヶ月合格の実例

行政書士試験の短期合格は不可能だというのは、上記の通りです。

しかし、一定の条件を満たしていれば、別です。

 

1つはシンプルに「頭がいい人」です。

教科書を読めば暗記も理解も同時に出来てしまう人いますよね?

同じ時間を費やしてても、成果がまるで違う人いますよね?

 

「勉強の仕方」による差は、確かにあると思います。

しかし、「勉強の仕方」が合否の差に与える影響は、短期合格という観点で言うと微々たるものでしょう。

本当に「頭のいい人」はいます。

皆さんご存じの通りです。

 

もう1つの条件は、「法学の基礎基本」が身についているです(ある程度)。

もっと具体的に言えば、「条文を意識して考えることが出来る」かどうかがポイントです。

 

「講座を受けてもそれが頭に残らない」

 

というお悩みはよく聞きます。

その原因は、知識を整理するための骨組みを意識していないからです。

法律論は、全て条文に起源があります。

つまり、全ての法律論は、条文を基に整理することが出来ます。

 

「条文から考えることが出来る」人は、学んだ知識を整理して暗記・理解することが出来ます。

これが出来るなら、3ヶ月後の試験までに必要な知識を頭の中に詰め込むことが出来る可能性が出てきます。

 

可能性なので絶対とは言えません。

でも、私自身は、法学部4年時、試験日の約3か月前(受験申込期間中)に受験を思い立ち、その年に合格までたどり着けました。

 

その時の点数は「182点」。

ギリギリ合格です。

本当に十分な準備が出来ないまま受験してしまったことが分かると思います。

でも、そんなリアルな体験からやっぱり初学者が3ヶ月は絶対無理だろうと改めて思うわけです。

 

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