司法試験の民法短答で71点(75点満点)とる人のリアル知りたい? 少ない知識で得点するスキル満載!!
「この程度の予備試験合格者もいるんだな・・・」と安心してもらえたら幸いです。
令和元年の司法試験民法短答の問題に対する解答を再現したものです。
試験直後の自己採点がかなり手ごたえのあるものだったので、形に残していた次第です。
予備試験の短答自体は、4回不合格になりました。
そんな自分がまさかこんな点数を取れる日が来るとは・・・。
一人でも多くの方に希望を与えられたらと思います。
「逆にどこを間違えたの?」というご質問に最初にお答えしておきます。
問4と問17です。
「予備試験ルートの受験生」が、短答式試験中どんなことを考えているのか、参考になれば幸いです。
以下、法令名を省略している部分は民法です。また説明上挙げている条数は全て記憶しているわけではありませんが、その内容はある程度記憶しています。
第1問
ア・誤 未成年者の法律行為の取消しは、5条1項2項3項の話。日常生活に関するものであるか否かは条文上何も書かれていないから取り消せない(∵取消の法的根拠なし)。成年被後見人に関する9条ただし書きのひっかけだ。
イ・正 成年被後見人の行為能力は、9条の話。同意の有無については条文上何も書かれていないから取消しの可否には影響しない(∵同意の有無は条文上取消しの要件になっていない)。
ウ・正 条文の問題だと察するがあまり自信がない。制限行為能力者を保護するという観点からすれば、保佐人の同意がある限り、取消しを認める必要がないと考える。同意があるにもかかわらずそれを認めることはかえって取引の安全を害する。同意があるのに取り消せるという成年被後見人の話は、取引の安全より制限行為能力者の保護を優先するという例外だと考える。よって上記のように結論づける(趣旨から考える)。
エ・正 これも条文上の根拠に自信がない。しかし、制限行為能力者保護という制度趣旨から考えれば、同意又はこれに代わる家庭裁判所の許可がない法律行為を取り消せると考えるのは自然である。よって、上記の通り結論付ける。
オ・誤 取消権の消滅時効が166条167条とは別個に規定されていることは知っているが、この問題の正解については自信がない。もっとも、上記アイの肢は根拠をもって答えられているので、本肢を考える必要はない。
第2問
ア・正 財産管理人の権限は保存行為と目的物の性質を変えない範囲の利用改良行為に限られそれを超える時は家庭裁判所の許可が必要と覚えている(28条前段103条)。本肢は権限の範囲を超えると考えられるから、家庭裁判所の許可が必要。
イ・正 肢アの知識から結論を出せる。
ウ・正 弁済が上記の権限の範囲に入っているのか、自信がない。保留。
エ・誤 遺産分割協議が上記の権限の範囲に入っているか、自信がない。保留。
オ・誤 贈与は上記の権限に入っていないと考えられるから、裁判所の許可が必要だろうと判断。もっとも、上記アイの肢から答えを出しているので一応検討した程度。
第3問
ア・誤 顕名の要件を満たさない代理行為の効力の問題と理解。100条本文とただし書きの内容は記憶しているのでただし書きの規定から誤りと判断。
イ・正 双方代理の話だと理解し、条文を思い出そうと試みる。うろ覚えだったが、双方の許諾がある以上、双方代理により当事者に不当な不利益が生じるおそれは低いと考え、上記の通り結論づける。
ウ・誤 条文はうろ覚え。本人の指名に従う以上、代理人の復代理人選任に対する責任は軽減されると考える。もっとも、選任時に復代理人が不適任であることを知っていた場合、その責任を負わせるのが公平と考える(公平の原理から考える)。よって上記の通り結論付ける。→条文改正があったので注意!!
エ・正 法定代理人は任意代理人よりも容易に復代理人を選任できることを思い出す。任意代理人が法定条件によらず当事者の合意によって初めて選任されるのと対比してその根拠を理解している。もっとも、法定代理人の責任の範囲については自信がないため、保留。
オ・誤 無権代理人の履行又は損害賠償責任の話と理解(改正前117条1項)。もっとも、条文の定めに素直にあてはめられない(あてはまらない)と気づく。そもそも、無権代理人が追認を得られなかった場合、それにより取引の安全が害されること(=相手方保護)に配慮しなければならない(趣旨からの検討)。とすれば、代理人の主観を考慮する本肢はまるで見当違いの話と判断。上記の通り、結論付ける。
第4問→誤答(∵ウエオはわかったものの、アイで正答にたどり着けず)
ア・誤 自信がないので保留。
イ・正 自信がない。もっとも、条件未成就の間も目的物を処分することは可能であったという記憶から、正解と判断。
ウ・誤 条文を読んだ気がするものの自信がない。もっとも、不能の解除条件=条件成就の可能性ゼロ=無条件とおなじ、と考えて結論を出す。
エ・正 130条1項を知っていたため、即答。
オ・誤 随意条件(134条)の話と理解。もっとも、その効果がどうなるかについて、確信がない。条件成就が債務者の意思に委ねられているとすると、法律行為に伴う法的拘束力が実質的に認められないことになると考える。とすれば、法律行為が無効であることと同じと判断。
第5問
ア・正 自信はないため、保留。もっとも、イエの肢から容易に解答を導くことができたので問題なかった。
イ・誤 時効取得と時効完成後の第三者という有名論点を思い出す。
ウ・正 共同相続人の時効援用権の範囲について、自信がないため保留。
エ・誤 自己の所有物でも時効取得を認めた判例を162条1項「他人の物」という文言とともに思い出す。
オ・正 187条1項の定めを思い出すとともに占有の善意無過失について判断時期の定めがないことも思い出す。判例は最初の占有者の占有開始時と判断していたことを記憶していたとともに、善意無過失の判断時期は基本的に占有開始時点という印象もあった。
第6問
ア・正 177条の話。A→B→Cと物権変動が生じた場合、AとCは対抗関係に立たないと即座に判断。
イ・誤 177条の話。DがBとの関係で177条の「第三者」にあたるか否かを考える。Dは遺贈の当事者(A)でなく、またその包括承継人(C)でもないから、これにあたると判断。
ウ・正 遺言をしないで死亡という文言に反応、法定相続の話だと理解。またこれも177条の第三者の話と理解。DはCとの関係で「第三者」にあたるか。Bが相続放棄したという問題設定から、その法的効果を思い出す(939条)。そこからBが相続開始時点に遡り甲土地について無権利であったと考える。とすれば、Bの持分相当を差し押さえたとするDも無権利になるから、Dは「第三者」にあたらない(∵登記の欠缺を主張する正当な利益をもたない)。よって上記の通り結論。
エ・正 解除後の第三者の論点と理解し、慎重に解答。
オ・誤 177条の第三者の話と理解し、即答。
第7問
ア・誤 どこかで見たことがあると思いつつも、自信を持って解答できない。道路運送車両法上の登録を抹消されている以上、普通の動産と同じと考えて上記の通り結論。結果的にエオがわかったことにより事なきを得る。
イ・誤 192条に基づく即時取得の要件を冷静に思い出す。「宝石だから・・・」などと余計な迷いを生まないように気を付ける。「取引行為・・・」という条文上の文言及び取引の安全という条文の趣旨から相続を通じた即時取得はあり得ないと判断。
ウ・正 贈与が「取引行為」に含まれるかどうか悩む。保留。
エ・正 競売は「取引行為」に含まれると判断。また194条が競売による即時取得を前提とする規定を定めていることも根拠とした。
オ・正 質権を即時取得できるのかが問題と判断。この点は、192条が「その動産について行使する権利」と規定している旨を普段から意識していたため、所有権以外の物権も即時取得可能と判断。
第8問
ア・正 収益権限のない者が勝手に苗を生育した場合の土地所有者と苗を生育した者との公平から考える。条文上土地とその定着物は一体のもの(不動産)として扱われること、そして苗がその土地に生育していることから考えて、その苗の所有権が土地の所有者に属すると考える。もっとも、ウオから解答を導いている。
イ・誤 事前知識なし。保留。
ウ・誤 立木に関するAC間の対抗問題と考えて結論付ける。
エ・誤 甲土地についての登記の効力がいかなる範囲に及ぶか考える。不動産は土地及びその定着物であるとの規定(86条1項)から考え、甲土地の登記がその土地上の立木にも及んでいるとして結論付ける。
オ・正 246条1項ただし書きを思い出して解答。
第9問
ア・誤 条文うろ覚え。保留。アウ又はウエのいずれの解答にするか迷った末、消去法によりアウを誤りと判断。
イ・正 条文知識なし。もっとも、土地所有権保護という観点からすれば本肢のような権利を認めない理由がないと考え結論付ける。
ウ・誤 233条。「枝は切れぬが根は切れる」と覚えていたため、即答。
エ・正 条文知識なし。しかし、おそらくそうなのだろうと考える。境界線上にあり、どちらのものとも判別しがたいからである。
オ・正 条文知識なし。しかし、このような規定があっても不都合がないと考えた。
第10問
ア・誤 「持分の処分は自由である」という理解に基づいて解答。
イ・正 当該請求ができるという知識あり。また当該請求によるBCに対する特段の不利益が認められないため、問題ないとも考えた。
ウ・誤 「持分の処分は自由である」
エ・誤 自信なく保留。
オ・正 254条より。また管理に関する債務を持分権者が負担するのはごく自然だとも考えた。ただし、アウが誤りと気づいた時点で解答可能であったためそれほど長く考えていない。
第11問
ア・誤 298条2項より。
イ・正 条文うろ覚え。もっとも、この肢のように定めても特段不都合がないと考え、正答とする。
ウ・正 条文うろ覚え。自信がないため保留。
エ・正 不動産質権者は質物を使用収益できるため、原則として利息請求権がない(356条358条)ことまではわかっていたが、それ以外の点は無知(359条については無知)。保留。
オ・誤 条文知識なし。全く分からなかった。イオのいずれが誤か迷ったものの、イが確からしいと判断した。
第12問
ア・正 302条より。また留置権は留置的効力を生じさせるものである点からも目的物の占有喪失による権利消滅の効果が生じることを覚えていた。
イ・誤 留置権の成立要件から考えた(295条1項ただし書き)。
ウ・正 301条より。条文を知っていたし、留置権が担保物権であること、担保権者の保護と担保権設定者(債務者)の保護との調和という観点から本肢は相当と判断(対立利益から考える)。
エ・誤 本肢の話は過去問で何度も出題されていたので即答。条文数はうろ覚えだったものの、条文(民執法195条)の存在も既知。
オ・誤 判例の存在について既知。留置権を行使することによる留置権者の利益と非債務者の不利益との調和の観点も意識(対立利益から考える)。
第13問
ア・誤 自信がなく保留。
イ・正 350条より留置権の規定(297条1項)が準用されていることから考えた。
ウ・誤 転質に質権設定者の承諾という要件はなかったと記憶していた。そのため、上記のように判断した。
エ・誤 おそらく誤であろうと思ったものの、自信を持って答えられず。もっとも、イウの肢について自信があったため問題なし。
オ・正 債権質の話と考え、即答。
第14問
ア・正 372条より304条が準用されている点から考えた。また抵当権は目的物の交換価値を把握するものであるという基本知識を意識して、目的物滅失に伴う損害賠償請求権にも物上代位が可能と判断した。
イ・正 自信がないため保留。もっとも、244条(動産の付合)と同様に考えるのではないかと推測。
ウ・誤 370条の不可一体物と言えるか検討。過去問からこの論点の知識は既知。
エ・誤 自信がないため保留。もっとも、アウについて知識があったため問題なし。
オ・正 将来債権について抵当権を設定することも可能という判例知識あり。
第15問
ア・誤 371条より。また不履行がないにもかかわらず抵当権の効力を第三者に対する賃料債権に及ばせることは、抵当権者を過度に利するとともに第三者に対する過度な負担にもなりうると考え、誤りと判断。
イ・正 370条より。また不動産とは86条1項。
ウ・誤 370条より。
エ・誤 370条より。判例について不知だが、条文の文言に照らして考えた。
オ・正 370条より。不可一体物とは何か、という定義を意識して考えた。
第16問
ア・正 過去問で出題された論点ではと考えた。もっとも正確な理論的根拠をもって答えられず、保留。
イ・誤 受戻権の放棄を認めることは譲渡担保権に基づく履行強制の実効性を減ずることになるから許されないと理解していた。
ウ・誤 自信がないため保留。もっともアオの知識があったため問題なし。
エ・正 自信がないため保留。もっとも弁済期後の目的物譲渡・差押には受戻しを主張できなかったのではないかとの記憶がうっすらあった。
オ・正 集合物譲渡担保権の話と理解し、解答。
第17問→誤答(∵ウオのいずれも正確に答えられなかったため)
ア・正 446条2項3項より。
イ・誤 保証人の要件(450条1項)については知っていたものの、債権者による指名の場合(同条3項)の規定については自信を持って答えられなかった。保留。
ウ・誤 自信がないため保留。
エ・誤 保証債務の付従性から検討。448条から保証債務が主たる債務より重くなることはない点は意識していた。
オ・正 不知のため保留。
第18問
ア・正 債権譲渡の予約と債権譲渡そのものとは別個の存在であると理解していた。そのため、債権譲渡の予約に対する債務者の承諾があっても予約完結による債権譲渡の効力にはその効力が及ばないと判断。
イ・誤 自信がないものの、契約締結時において目的債権の発生が確実に期待されるものとまでは言われていなかったのではないかと考えた。問題文に惑わされず、将来債権に関する債権譲渡も有効という基本知識を意識。
ウ・正 判例知識より。
エ・誤 自信がなく保留。もっとも、他の肢から解答可能だったため問題なし。
第19問
ア・誤 問題文に惑わされそうになるものの、免除の要件(519条)は債権者の意思表示のみで足りたと考えた。
イ・正 債務者の意思に反する保証契約を前提とした規定(462条2項)があるため即答。また第三者弁済(474条2項)の存在も思い出し、ひっかけかと推測する。
ウ・誤 474条2項より解答。
エ・正 条文(514条)はうろ覚え。もっとも「債務を免れることをよしとしない債務者意思の尊重」という視点から解答(他の論点でも共通する基本原理から考える)。
オ・誤 自信がないものの、代物弁済の要件(482条)から考えて可能と判断。
第20問
ア・誤 484条1項「債権者の現住所」との文言から判断。
イ・正 持参債務と取立債務の履行方法の違いを意識しつつ、取立債務の履行要件を思い出しながら解答。特定物であるため取り立てて分離の必要はないと判断
ウ・正 492条493条を意識。「賃料の受領を拒絶」「口頭の提供をしても賃料の弁済を受領しない意思が明確」といった問題文に反応して解答
エ・誤 不知のため保留。もっともアウから解答できたので問題なし。
オ・正 不知のため保留。「債務の本旨に従って」(493条)という文言は意識して考えた。
第21問
ア・誤 更改の定義から判断。
イ・正 更改の対抗要件について不知のため保留。
ウ・正 自信を持って解答できなかったため保留。
エ・誤 条文(518条)に関しては不知。もっとも契約当事者が変更されるという更改の性質から考え、第三者の承諾なく当該抵当権を更改後の債務に移転させることは当事者意思に反すると考え判断(当事者意思から考える(基本的な視点から考える))。
オ・正 所有権をめぐる対抗関係と賃借権をめぐる法律関係とをそれぞれ意識して判断。また判例に関してはうろ覚えだったが、所有権の移転とともに貸主の地位も移転するという理解を頼りに解答。
第22問
ア・誤 533条648条2項より。有償の委任契約というワードから委任契約は特約がない限り無報酬が原則であることも思い出す。
イ・正 533条545条1項より。売買契約を解除した場合の法律関係はもはや「双務契約の・・・」(533条)とは言い難いから、533条準用のケースと考える。
ウ・誤 造作買取代金債権に留置権が成立しないとする判例は知っていたが、同時履行の抗弁権については自信がなかったので保留。
エ・正 取消しに伴う原状回復義務は同時履行の関係にあると記憶していた。なお、令和元年司法試験当時は判例知識の問題だったものの、現在は改正民法121条の2で対応。
オ・誤 明文はないものの敷金は賃料債権等貸主の債権の担保に供されるものであることから建物明渡義務が先履行の関係にあると記憶していた。
第23問
ア・誤 自信がなく保留。
イ・誤 588条より(「約したとき・・・」)。
ウ・誤 書面ですることが要件とされているのは保証契約のみと記憶していた。
エ・誤 寄託契約には有償無償があると記憶していた(659条参照)。
オ・正 667条2項より。
第24問
ア・正 債務者有責の後発的履行不能(=債務不履行)として判断。なお、改正民法では削除されているので注意。
イ・正 瑕疵担保責任(改正前566条570条)より。なお、改正民法の規定に注意。
ウ・誤 解除前の第三者の問題か?と思いつつも、アイから正答は5(ウオが誤り)ということを結論づけられたので深入りせず。
エ・正 533条より。
オ・誤 期日・期間の問題はケアレスミスもしやすいので基本的に深入りしないようにします。今回は上記の通りアイから正答が分かったので問題なし。
第25問
ア・誤 賃貸借契約の成立要件に書面によることは含まれていない。なお、問題文の導入部分で「建物所有を目的としない土地の賃貸借」とされている点から借地借家法の適用はなく民法のみを考えればいいのかと一安心。
イ・正 改正前民法604条1項。ここで上記の導入部分が意味を持っていることに気付く。なお、改正後604条1項に注意。
ウ・正 自信がないので保留。
エ・正 619条1項より。推定だったか擬制だったか・・・と戸惑うものの、とりあえず結論を出す。
オ・誤 自信がないので保留。もっとも、本問はアイを読んだところで正答を選べたので問題なし。
第26問
ア・正 改正前634条1項ただし書きより。なお、改正民法の規定には注意。
イ・正 改正前634条2項より。
ウ・誤 改正前636条ただし書きより。
エ・誤 改正前637条1項より。
オ・正 改正前640条より。なお、改正民法では削除。
第27問
ア・正 708条には「不法な原因のために給付された」と定められている点を意識。教皇法規違反が当該要件に該当しない可能性は認められると考えた。判例も一応既知。
イ・誤 既登記建物についての「給付」(708条)の成否の問題と理解。判例はうろ覚えだったため、保留。
ウ・正 自信がなく保留。もっとも、アエの正誤を判断できたため問題なし。
エ・誤 判例を意識して解答。
オ・誤 判例はうろ覚えだったが、本肢が誤りであることは判断できた。
第28問
ア・正 717条3項より。
イ・誤 樹木は土地工作物(717条1項)にあたると判断するところからスタート(717条2項は覚えておらず)。所有者は無過失責任(同ただし書き)との理解から解答。
ウ・正 自信がないため一旦保留。オも不明だったため、アウ(1)かアオ(5)かのいずれを選択するかで迷う。もっとも、土地工作物責任の趣旨は危険責任にあるところ、瑕疵が生じている甲建物を現在管理しているのがAがその賠償責任を負うと考えても趣旨に反しないと考え結論を下す。
エ・誤 「占有者」(717条1項)には間接占有者も含むと理解していた。
オ・誤 占有者が無資力の場合について条文の定めがないことから悩む。ウオのいずれがより正しいと言いうるか考えた末、オは誤りと選択。
第29問
ア・誤 過失相殺の前提となる被害者の能力について判例知識あり。
イ・誤 被害者側の過失の論点の問題と理解し解答。内縁の夫という点で多少迷ったが、被害者側の過失の定義に従って考え結論を出した。
ウ・正 共同不法行為(719条)の「連帯」という文言の意義を意識。不真正連帯債務を意味すると理解していた。
エ・正 疾患が「過失」(722条2項)にあたらないことを前提にその類推適用の可能性を認めた判例を意識。
オ・誤 判例を意識。生命保険契約に基づく給付金はあくまで当該契約に基づくものであって、不法行為自体から得られた利益ではないと理解していた。
第30問
ア・正 738条より。成年被後見人の意思尊重。
イ・正 742条1号で婚姻意思が必要なことを意識しつつ、その内容について判例の記憶をたどる。
ウ・誤 自信がなく保留。アオより正答を選べたので問題なし。
エ・正 女性が解体していなかった場合の定めに自信がなく保留。
オ・誤 出生した子の嫡出推定が認められるかという問題と理解。婚姻中の懐胎が嫡出子の要件(772条1項)であること、強迫を理由とする婚姻取消は将来効であると考えられること(748条1項)(この定めには自信がなかった)から、嫡出性が認められると判断。
第31問
ア・正 自信がなかったため保留。
イ・正 825条より。共同親権という原則を前提としつつも相手方保護も考慮すると理解(対立利益から考える)。
ウ・誤 本肢のような条文の定めはないと記憶していたため、誤りと判断。条文に定めがないものは原則として認められないと考えることにしている。
エ・正 770条1項より。同条は裁判上の離婚を認めることができる事由を列挙したに過ぎないと理解していた(∵「・・・離婚の訴えを提起することができる。」)。
オ・誤 761条ただし書きは覚えていなかったが、761条の趣旨から考え本肢は誤りであると判断した。
第32問
ア・誤 自信がないため保留。
イ・誤 766条3項より。そもそも一切の変更が許されないとすることは不都合な場合が生じるため妥当でないと判断。
ウ・正 791条より。子の氏と親の氏が異なる場合の氏の変更は原則裁判所の許可とその旨の届け出が必要、婚姻中だけ例外と記憶していた。
エ・正 819条3項より。
オ・誤 そのように定めた条文はなかったと思いつつ、自信がないため保留。
第33問
ア・正 自信がないため保留。イが分かったため問題なし。
イ・誤 特別養子縁組は配偶者のある者が夫婦共同縁組をしなければならない(817条の3)と記憶していた。
ウ・正 自信がなかったが、養子の利益という視点から正しいと判断。
エ・正 特別養子縁組により実方との親族関係が終了する(817条の9)。
オ・正 自信がなかったが、実方との関係が終了する特別養子縁組の法効果から考えれば養親による離縁請求は養子の利益を著しく害する恐れがあり認められないのではないかと考えた(制度趣旨から考える)。
第34問
ア・正 自信がないため保留。もっともイエの正誤判断から正答を選ぶことができた。
イ・誤 条文にそのような定めはなかったと記憶していたため、アイのいずれが誤りか悩んだ末、こちらを誤と選択した。
ウ・誤 898条899条より。金銭債務は可分債務になると記憶していた。
エ・正 判例知識あり。896条の「一切の権利義務」(同本文)「一身に専属した」(ただし書き)という文言は意識した。
オ・誤 911条より。
第35問
ア・正 自信はなかったが、相続回復請求権が認められた趣旨及びその消滅時効が認められている趣旨に遡って判断した。
イ・誤 遺言による遺産分割方法の指定に関する判例知識より。
ウ・誤 5年を超えない範囲で遺産分割を禁ずることができると記憶していた(908条)。
エ・誤 相続開始後から遺産分割までの間に相続不動産から生ずる賃料債権は相続財産に含まれないから遺産分割の影響を受けないと自分なりに考えて記憶していた。
オ・正 910条より。
第36問
ア・誤 111条1項2号より。代理関係=委任関係=当事者間の信頼関係という理解を前提にして同法律関係の当事者死亡は代理権の消滅自由と覚えていた。
イ・誤 返還時期がある場合の寄託契約の帰趨の問題として条文知識を思い出した。返還時期がある場合、原則として期限前の返還はできない(663条2項)ことから結論を出した。
ウ・正 改正前599条(改正民法597条3項)より。
エ・正 679条1号より。あまり自信がなかったが、イオの肢を迷わず切れたため問題なし。
オ・誤 994条1項より。
第37問
ア・誤 受領遅滞の効力について検討。改正民法では413条により遅滞責任の内容が明文化。
イ・正 自信がないため保留。アエの肢より正答を選べたので問題なし。
ウ・誤 400条より検討。改正民法によりより内容が明確になった。
エ・正 918条1項より。
オ・誤 自信がないため保留。
【感想】
ほぼ全問過去問を通じて得た知識から何とか正答を選ぶことができる問題だったと思う。本試験前の過去問演習中も過去問の知識のみから正答を導くに足りる肢の正誤判断が可能だと感じていた。やはり過去問を通じた知識の蓄積・条文を正確に理解しておくことが大事だと思った。初見の問題で目先を変えられたりしても、過去問で得た知識を信じて解答していければ、大幅な失点はあり得ないと思う。間違えた問題もよくよく考えれば正答にたどり着けそうな気もするのでその点は少々もったいないと思う。
少ない知識で効率よく点数を取るためには、「法学基礎力」を身につけることが不可欠です。
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