なぜ基礎基本が大事なのか? その勉強、無駄かも?
教科書をよめばわかるわけではない
以前、聞いてもわからない、読んでもわからないことがあるというお話を書きました。
このこと自体は、 前から確信を持っていたことなのですが、最近添削指導のご依頼を頂くようになってより強く感じるので、改めて皆さんにフィードバックできればと思います。
私の添削を受けている方の中には、法学初心者の方もいて、そのような方が書く答案は、添削のしようがないほどトンチンカンな内容になってしまう場合も少なくありません。
この点は、そもそも基礎知識が不足していればやむを得ないことですし、これから基礎知識を付けていけば改善できることなので、全く攻めるつもりもありません。
こういった方には、答案作成の時間を無制限にし、かつ、教科書等の参照も可という条件で答案を作成してもらっています。
「教科書を見ながら書くなんて意味ないじゃないか!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、「答案の型を身につける」という段階では、こういった対応でいいと私は考えています。
答案の型(=法的思考の型)を身につけることは、法的知識を整理してインプットする前提であり、優先事項だと考えているからです。
ただ、不思議なことに教科書を見ながら書いていても間違った内容の答案が完成してしまうのです。
規範部分だけは、丸写しなのですごくきちんとできているのですが、問題提起の部分やあてはめでボロボロになっているというのが典型です。
教科書を読んでも理解が出来ていないというのが手に取るようにわかります。
でも、この事実は、法学習者に重要なポイントを示唆してくれていると思います。
「法的理解の階層化」という問題です(ちなみに、こういう言葉は誰も使っていないと思います・・・)。
法をきちんと理解するためには、4つの階層を意識して勉強する必要があります。
以下の4つです。
①法的なものの見方・考え方(法の基本的な見方・考え方)
②条文(法律にはどのような条文があるか又はないか、条文には何と書いてあるか)
③解釈(条文からどういう理解が導かれるか)
④論点(意見の対立点)
①→④に向けて、階層を上がっていくイメージです。
教科書には基本事項が書いてあるとはいえ、その前提理解(特に①)が省略されていることが少なくありません。
よく売れている入門書でも読んだら簡単に理解できそうな知識を並べただけのものが散見されます(①や②の説明・引用が不十分だと感じるものが多いです。わかりやすさを重視する意図があるのだと思いますが、「わかった気にさせる」ことに成功しても意味ないですよね)。
法学初心者が教科書を見ながらでも答案を作成できないのは、教科書に書いてある③④頼みだからです。
ついでに言うと、大学やローの講義を聞いてもなかなか力が付かないのは、講義の内容が③④に集中するからです。
教えている側は、教えた気になるのかもしれませんが、教えられる側からすると結構時間の無駄が多いように思います(はっきり言いすぎてごめんなさい)。
大学4年間、ローで2年間(3年間)でちゃんと勉強したのに、予備試験・司法試験などに合格しないというのは、正直あり得ないと思います。
ちゃんと勉強できていない人が多いから、思うような結果が出ていない人が多いと考えるべきだと思います。
法的な見方・考え方については、以前当ブログでも触れたことがあります((1)~(7)まで7日連続シリーズです)。
というわけで、今の勉強に不安を感じている方は、ぜひ法学の基礎基本(特に教科書に書いていない部分)をきちんと伝えられる人の指導を受けることをお勧めします。
「善は急げ」です。
予備試験・司法試験、行政書士試験等の添削指導・個別指導にご興味のある方は、お気軽にコメントお願いいたします。