予備試験に合格した私だから伝えられる!法学の基礎基本!

予備試験・司法試験の合格を目指していた私が法学の基礎基本とは何か…ということに悩み苦しんだ結果、たどり着いた答えを書き綴っていきたいと思います!難しい論点を解説しようとはしていません。法律の資格試験に合格するのに必要なことは法学の基礎基本を見極め、理解することだけです!

どの違憲審査基準を使うのか? 憲法上の利益を評価するシンプルな視点

先日受けたとある質問

前回、違憲審査基準の内容について書きました。

そのブログを読んでくれていた私の教え子?(添削指導を受けてくださっています)がこんな質問をしてくれました。

違憲審査基準を使うときの根拠の立て方を教えてください。」

前回「違憲審査基準=規範」という前提で話を進めていますから、規範を立てるときの論理構成をどうするのか、という疑問は当然生じるものだと思います。

法の基本である「条文からの規範定立」という流れ(憲法はこの部分が見えにくいのが、その難しさ・抽象性の原因だと思います)を意識したいい質問だと思いました。

上記の質問にお答えする形になりますが、今回は、違憲審査基準定立までの流れを説明したいと思います。

 

まず、そもそも論から入ります。

そもそも、規範とは何でしょうか。

規範とは、その基準をクリアすることにより一定の法効果の発生を許容するルールであると考えられます。

つまり、規範の先には、必ず法効果があるのです。

法を適用する全ての場面に通用する重要なポイントだと思うのですが、「法効果からの逆算」に基づき規範の正当性を考えなければなりません(例えば、刑法の答案では他の科目よりも文言の定義に厳格さを求められますよね?あれは、刑法の適用の先に刑罰という重大な不利益が待っているからだと考えられます)。

 

この理解を前提に違憲審査基準について見ます。

違憲審査基準に基づいて法令の合憲性が認められた場合どうなるでしょう。

当該法令による人権制約が法的に許容されることになります。

逆の結論になれば当該法令による人権制約が許されないことになります。

つまり、違憲審査基準(規範)の先には、人権制約の許否という法効果(?)があると考えられます。

 

すると、違憲審査基準の定立について以下のように考えられます。

まず、問題となっている憲法上の利益の重要性について評価します。

当該利益は、三段階審査論でいうところの権利保障性で認定した利益のことです。

例えば、「デモ行進の自由」(当該利益)が表現の自由憲法第21条1項)の一つとして保障されていると認定した場合を考えましょう。

表現の自由として認められる自由は、基本的に自己実現・自己統治の価値を有し、その高い重要性が認められるなどと論述することが考えられます(実際はもう少し具体的な内容になりますが・・・)。

次に当該利益に対する制約の強さについて検討します。

例えば、デモ行進の禁止条例が制約の原因になっていたとします。

このとき、条例で許可制をとっていることやデモ行進の場所・時間を制限する規定があれば、それらは制約を強める根拠となります。

利益の重要性とそれに対する制約の強さを検討すると、当該法令を合憲とした場合に当該利益を有する者が受ける不利益(人権制約)の大きさが見えてきます。

当該利益のように重要な利益が厳しい制約を受けることになる場合、その人権制約という結果は、重大なものになります。

とすれば、その合憲性を判断する違憲審査基準も厳格なものでなければならないと考えられます(表現の自由関連の場合、厳格な基準をとることが多いですね)。

他方、権利の重要性や権利制約の強さが下がれば、それに応じて違憲審査基準の厳格さも下げていくことになります。

実際の問題でどの違憲審査基準を選択するかは、一概に言えないところがあります。

そのバランス感覚は、多くの問題演習を通して学んでいくしかないでしょう。

 

このように違憲審査基準を定立する時の根拠は、権利の重要性と制約の強度という二本柱で考えるとすっきりします。

そして、基本書等を読むときは、やみくもに読み進めず、この二本柱に位置付ける形で読み進めていくと使える形で知識をインプットできます。

いかがだったでしょうか。

憲法の思考の枠組みが見えてきましたか。