下剋上勉強法(4)
法を道具として使うとは?
さて、前回は、「予備試験・司法試験に合格するために何をするか?」というテーマで書きました。
その結論は、「法を道具として理解し、使えるようになること」でした。
今回は、この点を掘り下げていきましょう。
道具というのは、必ず何らかの目的を達するために用いられます。
例えば、野球で使うバットは、ピッチャーが投げるボールを打ち返すためにあります。
それ以外の使い方は、原則不可ですね。。。
法を道具として使えるようになるためには、そもそも、法は何のための道具なのかということを知らなければなりません。
この点は、復習ですね。
法は、法的紛争を解決するための道具です。
憲法・民法・刑法・商法・会社法・民訴法・刑訴法などなど、各法は、一見バラバラですが、法的紛争を解決するための道具という点で共通点があります。
美容師の持っている様々なハサミが、お客様のヘアースタイルを完成させるという目的のためにあるのと同じといえるでしょうか。
そして、同種の道具は、その使い方が基本的に同じです。
美容師がハサミを使うのと同じように、法律家が法を使うときも、その使い方には、不変の部分があると思うのです。
この不変の部分が法の本質であり、特に意識すべき大事なところだと思います。
「法的紛争を解決するという目的のためにどのように法という道具を使うのか?」という点に対する私の考えを示します。
全ての科目、全ての問題においてこの視点を持つようにしたことで、理解のスピード・問題処理のスピード・初見の問題への対応力がグッと伸びた気がします。
「この視点」とは、各当事者の法的利益に配慮するという視点です。
「思いやりの心」「正義公平」といった言葉で表現できると思います。
例えば、この日本に人が一人しかいなければ、日本国内に法は必要ないでしょう。
人が二人以上存在し、そこに対立が生まれるからこそ、ルールとしての法が必要になります。
すなわち、法は、究極的には人類の共栄共存を実現する道具となりえます。
ところで、先の話に補足すると、道具は何らかの目的を達するために用いられると同時に、その目的を達することができる方法で用いられるものです(目的と手段の関係性です。目的論的解釈という言葉があるように、法において重要な視点の一つです。)。
とすると、法を用いることによる法的紛争の解決は、人類の共栄共存につながるものでなければならないということになるでしょう。
この点から、法を使うときには、単に法的紛争に終止符を打つのみならず、上記下線の視点を常に持ち続けながら結論を導かなければならないと言えます。
「法を理解する」とは、このことがわかることを意味します。
「法を使いこなせる」とは、このことが言葉で表現できることを意味します。
法を使うことってすごくその人の心を表す行為だと思うんですよね。