法とは(1)
ポイントはざっくりとらえること
前回までは、法をイメージでとらえることが大事ですよ的な話を続けてきました。
法律の勉強をすればするほど、難しい言葉や難しい説明が出てきます。
そして、くそ真面目にその言葉の意味を理解しようとすれば、さらに頭の中が混乱してきてしまうという悪循環が起こります。
理解するために大切なことは、まず初めに概要をざっくりとらえることです。
全体像を理解すると言い換えてもいいかもしれません。
今回からは、どうやってざっくりとらえるのか、ということを書いていきたいと思います。
さて、司法権という概念があります。
法律学小辞典(有斐閣)には、「・・・事件について、法規の適用に基づく解決を目的とする司法の作用を行う国家の権能」と書いてあります。
具体的に言えば、裁判所が行使する権力ということですね。
さらに、司法権を行使できる範囲は、原則として「法律上の争訟性」が求められるとされています。
法律上の争訟とは、当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、法令の適用によって終局的に解決できるものをいいます。
つまり、ここで言いたいことは、そもそも、法律問題というのは、①当事者間の争いを法的利益の有無によって表せる、②法を適用すれば、その争いを解決できるという条件を満たすものことを言うということです。
これは、結構当たり前の話だと思うのですが、まじめに勉強すればするほど、細かい枝葉にとらわれ、こうした根本的な部分を見落としてしまいがちですのでご注意ください。
で、今、法学を学んでいる方、これから学ぼうとしている方は、上記2つ(①②)を徹底的に追い求めていけばいいのです。
①と②の要素に対して、自分なりに論理矛盾のない答えを提示できていれば、法律問題を解決できたことになるからです。
教科書や基本書等にどれだけ難しい言葉や説明が出てきても、やっていることは、いつも①の話か②の話かです。
難解な問題に直面した時ほど、こういう基本概念に対する理解に立ち返る必要があります。
ですが、実際には、難しい問題をたくさん解いているレベルの人ほど、こうした基本概念に立ち返る時間がとれず、消化不良の上に消化不良を重ね、どつぼにはまりがちです。
難しい学説を100知るよりも、基本概念を1知っていた方が、絶対に身を助けます。
知識の汎用性が高いからです。
コスパが高い知識であるか否かは、法学の基礎基本であるかどうかの指標の一つになると思います。
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