類推適用をマスターしよう! 「何となくわかっている」が一番怖い
安易に類推適用する受験生
今回は、類推適用をテーマにしてブログを書きたいと思います。
類推適用という言葉を分解すると、「類推(類似点を見て他を推し量る)」+「適用」です。
「適用」は条文を適用するということなので、取り立てて考えることもないですが、「類推」の部分が大きな問題です。
「類推」という言葉の意味からすると、「類似点さえ見つかれば類推適用してよい」ようにも取れるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
類推適用の本当の意味、そしてそのやり方について見ていきましょう。
まず類推適用とは、ある条文の要件を満たさないが、その条文の趣旨が妥当すると言える場合に、当該条文の適用することを言います。
これを「条文(法)は道具である」という視点から見ます。
すると、類推適用するケースというのは、本来その条文(道具)を使う場面とは言えないけれども、その趣旨(道具を使用する目的)に適う場面であるから、その条文(道具)を使って問題解決を図るケースであると考えられます。
例えば、キッチンバサミについて考えてみましょう。
これは、本来「料理をする際などに食品を切るために使うもの」なのでそれ以外に使うことは想定されていません。
髪・紙を切ることには使わないのです。
ですが、キッチンバサミも「物を切る」という目的で存在していますから、それを利用すれば髪・紙を切るものがないという問題をとりあえず解決することができます。
キッチンバサミの類推使用(適用)とでも言えるでしょうか。
具体例は次回説明するとして、まずはイメージをつかんでほしいと思います。
イメージをつかんだら、次は趣旨が妥当するということをいかに説明するかという点について今一度考えてほしいと思います。
この点は、受験生が特に雑になるところだと思うからです。
条文の直接適用を否定する受験生は、多くいるように思いますが、趣旨の妥当性を当然のように認定してその論理が全く分からない答案をよく見ます。
趣旨の妥当性を認定するには、以下のポイントを意識してほしいと思います。
①条文の趣旨を明確に示すこと
②いかなる場合に当該趣旨が妥当するかを明確に示すこと
③当該事案が②を満たすことを認定すること
です。
特に②③の流れが見えない答案が多いです。
②が要件、③があてはめに対応すると考えるとわかりやすいでしょうか?
94条2項の類推適用の場面では、権利外観法理という趣旨の妥当性について外観・帰責性・信頼の3要件を示すのに、他の条文の類推適用になると途端にその要件設定をしなくなるというのは、どういうことなのでしょうか?
類推適用が条文適用の一類型であるということを意識できていないと思わざるを得ません。
どこまで行っても法的三段論法、条文解釈、規範定立、あてはめなどといった法律の基本に忠実でいなければならないのです。
それさえできれば、一見難しい理屈も絶対に理解できるはずです。
予備試験・司法試験の受験生向けに添削指導等を行っております。
少しでもご興味がある方は、ぜひコメントお願いします。