予備試験に合格した私だから伝えられる!法学の基礎基本!

予備試験・司法試験の合格を目指していた私が法学の基礎基本とは何か…ということに悩み苦しんだ結果、たどり着いた答えを書き綴っていきたいと思います!難しい論点を解説しようとはしていません。法律の資格試験に合格するのに必要なことは法学の基礎基本を見極め、理解することだけです!

令和2年民事系第二問の採点実感を読んでみた~その1~ 連日のブログ投稿頑張っています!

今日のブログはかなり長いです。

 

連日、ひたすら手を変え品を変え「法学の基礎基本」をお伝えすることに苦心しております。

本日から民事系ぢ二問の採点実感を読んでみたシリーズです。

(赤字は筆者)

 

令和年司法試験の採点実感民事系科目第

出題の趣旨等

採点方針及び採点実感

民事系科目第問は商法分野からの出題であるこれは事実関係を読み分析し会社法上の論点を的確に抽出して各設問に答えるという過程を通じ事例解析能力論理的思考力会社法に関する基本的な理解並びに法令の解釈及び適用の能力等を確認するものであり従来と同様であるその際に論点について過不足なく記述がある答案や記述に多少の不足があっても総じて記述が論理的である答案制度の趣旨等に照らして条文を解釈している答案事案に即して具体的な検討がされている答案には一定の高い評価を与えたこれらも従来と同様であるなお例年言及しているが文字を判読することができず文章を理解することができない答案が見られるそのような文章については趣旨が不明であるものと判断した上で採点せざるを得ない

具体的な事実関係を条文に沿って整理する能力事例解析能力)、正しく法的思考を展開する能力論理的思考力)、会社法の法令解釈・適用能力条文上明らかでない法知識を含む)、読み手に文意を伝える能力文章表現力が求められているこれは別に気にするところではないなぜなら日頃の法律学習の中で当然に強調されるべきところであり言われるまでもないはずだからである

 

設問について

ア 全体的な採点実感

設問公開会社でない株式会社以下非公開会社という。)が募集株式の発行等をする場合にどのような手続が要求されるかそれらの手続に瑕疵があることが当該募集株式の発行等の効力にどのような影響を及ぼすか及び募集株式の発行等の無効をどのような訴えにより主張すべきかについての理解等を問うものである

→「・・・を問うものである。」と読んで分かった気になっていてはいけない設問に何と書いてあったのかが重要である

設問には本件株式発行の効力が発生したことを前提に、①「B本件決議及び本件決議には瑕疵がありそのことが本件株式発行の効力に影響を及ぼすと考えている。」、②「B令和2514日の時点でどのような訴えを提起してどのような主張をすることが考えられるかを検討した上でその主張の当否について論じなさい。」と書かれているこれらの指示を読んでどの程度明確に書くべき内容を構造的にイメージできたかがポイントである。①を読んで本件株式発行の効力が問題となることすなわち会社法上いかなる方法で効力を争うことが出来るか要件効果の話を考えなければならないことがわかる。②を読んで具体的な主張を述べなければならないことすなわち要件にあてはまる事実等を論ずべきことがわかるこれらは法的三段論法を意識していれば当然思い至る話である

について効力を争うときに使える条文は定められているか?、定められているとしてそれはどの条文なのか?、その条文にはどのようなことが定められているのかを六法を頼りに確認するそれを前提に必要な法律上・事実上の主張(②)を考えるなお本件では非公開会社における問題であるという特殊性がある事案の特殊性は常に意識しておく必要があるが優先順位は後であるまずは上記の条文からの検討を整理してほしい

 

(ア) 設問においては,B,①議決権のある剰余金配当優先株式本件優先株式の発行本件株式発行を行う旨の議案本件議案2)に関する甲社の定時株主総会本件定時総会の決議本件決議2)には取消事由があり非公開会社において募集事項を決定する株主総会の決議に取消事由があることは本件株式発行の無効原因に該当すると主張すること及び本件優先株式の内容等の所要の事項を定める定款変更を行う旨の議案本件議案1)に関する本件定時総会の決議本件決議1)には取消事由があるため本件株式発行は定款の定めのない種類の株式の発行となりこれは本件株式発行の無効原因に該当すると主張することが考えられる

本問は本件株式発行の効力について問うていただから本件株式発行の無効原因を検討するべきなのであるそして募集株式発行無効は訴えをもってのみ主張することが出来ると条文に書いてある(82812同柱書)。だから同無効の訴えに絡めて検討すべきなのである

 

そして令和14日の時点では本件株式発行の効力が生じているため,B例えば新株発行の無効の訴え会社法828条第項第を提起し本件株式発行の無効原因として上記及びのとおり主張することが考えられる

→「本件株式発行の無効原因として上記及びのとおり主張することが考えられる。」とあるがそもそも条文に無効原因は定められていないここが非常に大きな問題である。「ある事柄が条文に定められていないというのは論点が生じる典型パターンの一つだからであるこの点を大して意識もせず本件株式発行が無効となるのは・・・などと書き進めていく答案は、「条文から考えるという基本がわかっていない出題趣旨や採点実感を読んでこれを書けばよかったんだー。」と膝を叩いているだけの受験生に成長はない試験問題と出題趣旨・採点実感との間隙を埋められなければ単なる暗記学習で終わる大事なのは、「理解である

 

これらのことを論述する際には本問においては,⒜新株発行の無効の訴えの提訴期間非公開会社にあっては株式の発行の効力が生じた日から年以内会社法828条第項第が経過していないことさらに,⒝株式の発行の無効原因として株主総会の決議の取消事由を主張する場合には当該決議の取消しの訴えの提訴期間内株主総会の決議の日からか月以内同法第831条第項柱書前段新株発行の無効の訴えを提起しなければならないとする見解に立つときはその提訴期間も経過していないことにも言及することが求められる

→「『・・・言及することが求められる。』と書いてあるから今度は書こう。」と考えている受験生は二流である条文に照らして検討した後、「法定の訴えをもって無効原因を主張していこうと考えるからこそ書かなければいけないのである条文に書いてある訴訟要件すら検討せず訴えに基づく主張を展開することは通常あり得ない訴訟要件は本案の前提要件だからであるただし検討不要という問題設定となることがありうる)。

 

しかしそもそも新株発行の無効の訴えに言及していない答案が決して少ないとは言えなかったまた新株発行の無効の訴えと株主総会の決議の取消しの訴え又は当該決議の取消事由との関係について十分に理解しておらず何ら言及していない答案や当該決議の取消しの訴えを提起し当該決議を取り消す旨の判決を得た上で当該決議を欠くことを理由として新株発行の無効の訴えを提起するとする答案このような手順を踏むことは新株発行の無効の訴えの提訴期間が経過してしまう危険が大きいため実務的には考え難い。)もかなり存在した

→「新株発行の無効の訴えに言及していない」「新株の無効の訴えと・・・取消事由との関係について十分に理解しておらず何ら言及していない答案は全く条文を使えていないからその時点でレベルが低い明らかに基本が出来ていないのである無効原因は訴えをもってのみ主張することが出来ると定められているし(8281項柱書)、取消事由は株主総会決議取消の訴え(8311の規定として定められている無効原因の論述を展開するなら避けて通れない条文や説明があるはずである。「正しい法的思考を意識していないがゆえに中身がスカスカな答案になってしまっているこのような答案を書く受験生は知っている論点についてはある程度書けている風に見えるが少しひねられると途端に崩れる試験全体を通じて安定した成績を挙げるのは難しい

 

(イ) Bの上記の主張の当否を論ずるに当たっては本問において甲社は取締役会設置会社であるから株主総会の招集通知には株主総会の日時及び場所のみならず株主総会の目的である事項及び払込金額が募集株式の引受人に特に有利な金額である場合いわゆる有利発行の場合における募集株式を引き受ける者の募集に係る議案の概要を記載しなければならなかった会社法299条第項第298条第会社法施行規則63条第号ホ)。しかし本件定時総会の招集通知本件招集通知には株主総会の日時及び場所のみを記載していたため本件決議には株主総会の招集の手続の法令違反という株主総会の決議の取消事由があること同法第831条第項第を指摘することが求められるなお本問においては,「定款変更の件及び株式発行の件という会議の目的事項について取締役会で決定しているため同法第309条第項の違反はないと考えられる。)。

しかし会社法299条第項第号及び第項並びに第298条第項の適用関係や内容を正しく理解しておらず株主総会の招集通知に株主総会の目的である事項を記載しなければならないことに言及していなかったり株主総会の目的である事項議題と議案を混同していたりする答案が多かった

ここで問われていることは、「会社法の条文を知っているかちゃんと引けるか)?」ということである短答でも聞かれるレベルの知識であるから予備試験や司法試験の短答過去問をきちんと解いていれば複数の条文を整理した上で法令違反があることを指摘することくらいはできたはずである短答式試験の問題は条文操作を練習するのに最適の素材である試験科目になっていないからといってやらないというのではいけない少なくとも予備試験組は解いているはずである予備試験組の司法試験合格率の高さは短答を通じた訓練の賜物といっても過言ではない

 

(ウ) その上で本問においては株主全員(A及びB)が本件定時総会に出席しているからいわゆる全員出席総会による瑕疵の治癒が認められるか否かについて会社法株主総会を招集するためには招集権者による招集の手続を経ることが必要であるとしている趣旨は全株主に対し会議体としての機関である株主総会の開催と会議の目的たる事項を知らせることによつてこれに対する出席の機会を与えるとともにその議事及び議決に参加するための準備の機会を与えることを目的とするものであるから招集権者による株主総会の招集の手続を欠く場合であつても株主全員がその開催に同意して出席したいわゆる全員出席総会において株主総会の権限に属する事項につき決議をしたときには右決議は有効に成立するとする判例最判昭和601220民集391869全員出席総会による瑕疵の治癒が認められるためには株主が瑕疵を認識しつつ株主総会の開催に同意していることが必要であるとする見解大阪地判平成3025日金判155359等も踏まえ検討することが求められる

そして本問においては上記の判例を踏まえ株主全員(A及びB)が異議を述べずに出席しているから全員出席総会による瑕疵の治癒が認められると論ずることや上記の見解を踏まえ,(ⅰ)招集通知に記載すべき議案の概要においては本件株式発行が有利発行である旨が示されている必要があると解した上で,Bは有利発行であることを認識していないため瑕疵を認識して開催に同意したとは評価することができず全員出席総会による瑕疵の治癒は認められないと論ずること又は(ⅱ)招集通知に記載すべき議案の概要においては本件株式発行が有利発行である旨が示されている必要はなく払込金額等の募集事項が記載されていれば足りると解した上で,Bは瑕疵を認識して開催に同意したとも評価することができるため全員出席総会による瑕疵の治癒が認められると論ずることなどが考えられる

しかし全員出席総会による瑕疵の治癒について論じている答案は多くなくさらにこれについて株主が瑕疵を認識しつつ株主総会の開催に同意していることの要否を問題とするなど充実した論述をしている答案は少なかった

ここで問われている瑕疵の治癒について書けなかった受験生はそれほど悲観する必要はない瑕疵の治癒については条文に何も書かれていないからであるただし、「結論の妥当性という観点から形式的な検討の結果を修正するケースは論点発生の典型パターンである会社法においては、「法的安定を重視する傾向があるからあの手この手で行為の有効性を維持しようとすることが少なくないことをこれを機に覚えておけばいい

 

(エ) また本問においては本件株式発行が有利発行に該当することは比較的明らかであると考えられるところ有利発行の場合には取締役は株主総会の決議に際して有利発行を必要とする理由を説明しなければならず会社法199条第),それを欠くことは株主総会の決議の方法の法令違反という取消事由同法第831条第項第に該当する

本問においては,C本件決議に際し,2億円の資金調達が急務でありそのためには事実上本件株式発行以外に選択肢がないことを説明する一方で,2万円という払込金額が公正な払込金額である旨の虚偽の説明をしており,Bは本件株式発行が有利発行であることを認識することができていないため果たしては有利発行を必要とする理由を説明したものと評価することができるかあるいは仮にそのような評価が可能であるとした場合であっても株主の議決権行使に重要な影響を及ぼす事項について虚偽の説明をして本件決議を成立させているため決議方法の著しい不公正という取消事由同号が認められないかといった点について検討することが求められるその際には甲社の取締役は有利発行を必要とする理由の説明会社法199条第をしていないと評価することができるため本件決議には決議方法の法令違反という取消事由同法第831条第項第が認められると論ずることが考えられる他方で,A,2億円の資金調達が急務であること及びそのためには事実上本件株式発行以外に選択肢がないことを説明しているから有利発行を必要とする理由を説明したと評価することができると論ずることもあり得るまた,A株主の議決権行使に重要な影響を及ぼす事項について虚偽の説明をして本件決議を成立させているため本件決議には決議方法の著しい不公正という取消事由同号が認められると論ずることもあり得る

要するに、1993項違反があったかどうか(=決議方法の法令違反が問われている同項から導かれる要件を丁寧に検討し事実をあてはめていれば十分に合格答案になるはずであるほとんどの受験生が事前知識を持っていない状態でこの問題に臨んでいるはずであるとすれば合否を分けたのは、「条文を使いこなす力であるとかく会社法の問題は正確に条文を引用し使いこなせるかが問われているそれさえできれば何も怖くない。「知識がなかったから点数が取れなかった会社法に限ってはほとんどありえないと思う

 

本件株式発行が有利発行に該当するか否かについて言及している答案は多かったその中では有利発行を必要とする理由の説明をしていないと認定する答案が最も多かったがそのような認定をした根拠を十分に述べない答案も少なくなかったまた特に根拠を挙げることなく有利発行を必要とする理由を説明したと認定する答案も散見されたなお上記のとおり本問においては本件株式発行が有利発行に該当することは比較的明らかであると考えられるため本件株式発行が有利発行に該当するか否かについてはさほど厚く論ずる必要はないと考えられるがその点を長と論ずる答案が少なからず見られた

知識がないから根拠を上手く述べることが出来なかったのだろうそれは仕方がない知っているふりをして長と論じてみても墓穴を掘るリスクが高まるだけでさほど点数が上がるケースは多くない。「さほど厚く論ずる必要はないと考えられるがその点を長と論ずる答案ただの悪あがきであるし事例解析能力の低さを露呈するだけである

 

(オ) そして本件決議に取消事由が認められると解する場合には例えば,「非公開会社についてはその性質上会社の支配権に関わる持株比率の維持に係る既存株主の利益支配的利益の保護を重視しその意思に反する株式の発行は株式発行無効の訴えにより救済するというのが会社法の趣旨と解されるのであり非公開会社において株主総会の特別決議を経ないまま株主割当て以外の方法による募集株式の発行がされた場合その発行手続には重大な法令違反がありこの瑕疵は上記株式発行の無効原因になるとする判例最判平成2424民集662908を踏まえ本問のように募集事項を決定する株主総会の決議を経ている場合であっても本件決議に上記のような取消事由があると解するときは既存株主の意思に反してその支配的利益が害されていると言うことができるか否かについて事案に即して検討した上で本件株式発行に無効原因が認められると解すべきか否かを論ずることが求められる

前掲最判平成2424日の判示内容に照らすと募集事項を決定する株主総会の決議の手続を経ていても決議に取消事由がある場合には株主は自らの支配的利益が損なわれていることに真に同意しているとは評価することができず株主の意思に反して支配的利益が損なわれていると言うことができるため株式の発行の無効原因が認められると解されると論ずることが考えられるその上で本問においては上記のように募集事項を決定する本件決議について取消事由が認められると解されるため本件株式発行には無効原因が認められ,Bの主張が認められると論ずることが考えられる

他方で株主総会の決議に取消事由がある場合であってもそれが既存株主の支配的利益に影響を及ぼさないときは株式の発行の無効原因が認められないとする解釈もあり得るそのような解釈を採る場合には本問においては支配的利益に影響を及ぼすと論ずること又は影響を及ぼさないと論ずることのいずれもがあり得るまた,Bには有利発行である本件株式発行を差し止める機会が実質的に与えられなかったことも考慮して本件株式発行に無効原因があると認められるか否かを論ずることも考えられる最判平成28民集5171頁を参照)。すなわち会社法非公開会社において原則として株主総会の決議が要求されるところ株主総会の決議の手続が要求される場合には株主はこのような手続を通じて募集事項を知ることができるといった理由から募集事項の公示が要求されていないところが本問においては株主総会の決議の手続を経ているものの,Bに有利発行であることが秘匿されているため,Bには株式発行差止請求権を行使する機会が保障されていなかったと評価することもできるそのことに着目して本件株式発行には無効原因が認められしたがって上記のの主張は認められると論ずることもあり得る

このように本件決議に上記のような取消事由があることと本件株式発行の無効原因との関係について十分な論述がされている答案は必ずしも多くなかった非公開会社における株主の支配的利益を厚く保護すべきであるという前掲最判平成2424日の実質的根拠等に言及した上で本件株式発行の効力を論ずる答案は一定数見られたまた特に理由を述べることなく本件決議に取消事由があることが直ちに本件株式発行の無効原因に該当するかのように論ずる答案が相当数見られた株式の発行の無効原因は判例及び学説上限定的に解されている一方で株主総会の決議の取消事由は株主総会の決議の瑕疵の中でも比較的軽微な事由であるとされていることとの平仄が検討されておらず株式の発行の無効という結論に合わせた強引な論述であると言わざるを得ない)。なお株主総会の決議の取消しの訴えを提起し当該決議を取り消す旨の判決を得た上で新株発行の無効の訴えを提起することを前提として前掲最判平成2424日の判示内容をそのまま当てはめる答案も一定数見られた下線及び丸数字は筆者

→①について参考判例の知識を前提に十分な論述をするのは実際のところ非常に難しいこれが出来るのはかなりの上位答案だということになる。②について非公開会社の特殊性を踏まえるべき問題は過去にも出題されていることから株主の支配的利益に言及することが出来たのだろう真に判例を理解できていたかどうかは疑わしいが仮に判例を読んだことがなくても問題演習等を通じて判例関連知識を蓄えているのだろう問題演習とその解説を通じて判例関連知識を増やしていく方法は、「判例百選をダラダラ読む方法よりおススメであるシンプルに退屈しにくいからである。③についてカッコ書きで実質的な問題点を指摘してくれているがそもそも決議取消しの訴えの本案要件と株式発行無効の訴えの本案要件は別物のはずである条文から要件を定立しそれにあてはめるという法的三段論法に精通している者なら、③のような指摘を受ける答案の違和感に気付けるはずである気付けないのは基本が出来ていない証左である

なお、「無効事由重大な法令違反程度の知識は持っていてほしい

 

(カ) Bの上記の主張の当否を論ずるに当たっても上記と同様に本件決議には株主総会の目的である事項及び定款の変更に係る議案の概要の記載がないという株主総会の招集の手続の法令違反がありそのことが株主総会の決議の取消事由に該当すること会社法831条第項第を指摘した上で全員出席総会による瑕疵の治癒が認められるか否かについて判例前掲最判昭和601220等も踏まえ検討することが求められる

既に述べた通り

 

(キ) そして本件決議に取消事由が認められると解する場合には本件株式発行が定款の定めのない種類の株式の発行に該当しこれが本件株式発行の無効原因に該当すると認められるか否かについて検討することが求められる

他方で全員出席総会による瑕疵の治癒が認められるためには株主が瑕疵を認識しつつ株主総会の開催に同意していることが必要であるとする見解に立った上で,Bが瑕疵を認識していたかどうかを問題にする答案の場合には本件決議については瑕疵の認識があるため治癒が認められるとする答案もあり得る

これについては本件決議と本件決議を区別しないでいずれも決議に取消事由が認められるため本件株式発行には無効原因が認められると論ずる答案が多かったもっとも本件決議については決議に取消事由が認められるため本件株式発行が定款の定めのない種類の株式の発行に該当しこれが本件株式発行の無効原因に該当すると論ずる答案も少数ではあるが見られた

この点に解答するためにはかなり高度な事例解析能力と条文知識が求められる上手く解答できたのが少数であったこともうなずける司法試験には解答出来なくてもいい論点があることを知っておいてほしい

 

イ 答案の例

 

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