令和2年民事系第二問の採点実感を読んでみた~その2~ 添削指導の申込みを受け付けています。
今日のブログは、とても短い。
昨日ののブログが長かった分、今日は短めです。
でも質はそのまま。
「法学の基礎基本」にこだわっています。
(赤字は筆者)
※長い長いその1もご覧ください。
⑵ 設問2⑴について
ア 全体的な採点実感
設問2⑴は,会社が特定の種類の株式のみを対象として株式の併合をしようとする場合に,当該種類株式の株主とその他の種類株式の株主がどのような利害状況に置かれるかについての理解等を問うものである。
→ご存じの通り、この問題は少々特殊な出題である。しかし、全受験生が大切にすべき「法的なものの見方」を学ぶことが出来る良問である。
設問2⑴においては,本件優先株式のみを対象とする株式の併合(本件株式併合)の効力の発生によって,本件優先株式の株主であるPは,その保有する本件優先株式の数が半減するため,①株主総会における議決権の割合が大幅に縮減することになること,②優先配当額の総額も半減することになることなどについて,説明することが求められる。その際には,Pの議決権割合がどれほど縮減することになるかを具体的に算定した上で,Pは,本件株式併合の効力の発生前には行使することができた一定の少数株主権も行使することができなくなることに言及したり,本件優先株式には累積条項が付されていることなどに鑑みると,優先配当額の総額の縮減によってPが受ける不利益は比較的大きいと考えられることに言及したり,Bの議決権割合が3分の1超になるため,Pは株主総会の特別決議事項についてキャスティングボートを握ることができないようになることに言及するなど,より深い分析をしていれば,なお望ましい。
上記①と②については,言及している答案が多かった。また,上記のような分析をしている答案も一定数見られた。なお,本件株式併合により,本件優先株式の数は半分になるものの,議決権割合は半分にはならないが,議決権割合も半分になるとする答案が少なからず見られた。
→本問では「Pには、どのような不利益が生じ、又は生じるおそれがあると考えられるか」が問われている。無論、この不利益とは、本件株式併合に伴う「法律上の」不利益である(事実上の不利益ではない)。そして、不利益の有無を判断するには、具体的事実を適示しつつ、それを評価する必要がある。(ア)本件株式併合によってどのような効果が生じるのか(効果発生後の事実関係の整理)→Pの保有株式数の減少、(イ)それを前提とすると、Pにはどうのような不利益が生じていると言えるか(権利義務関係に照らして得られる評価)→上記①や②等、の二段階構造を意識できているべきである。生の事実とその評価の区別は、法的三段論法においても重要であるし、「法的なものの見方」としても非常に重要である。
イ 答案の例
(略)
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