予備試験に合格した私だから伝えられる!法学の基礎基本!

予備試験・司法試験の合格を目指していた私が法学の基礎基本とは何か…ということに悩み苦しんだ結果、たどり着いた答えを書き綴っていきたいと思います!難しい論点を解説しようとはしていません。法律の資格試験に合格するのに必要なことは法学の基礎基本を見極め、理解することだけです!

令和2年民事系第一問の採点実感を読んでみた~その3~ 判例の機能を知っているか?

判例にも出現パターンがある。

 

今回は、民事系第一問の採点実感を読んでみた最終回です。

毎年判例に対する理解不足が指摘されますが、それは、そもそも「判例とは何か」をわかっていないことが原因のように思います。

(赤字は筆者)

※その1、その2もぜひご覧ください。

 

全体を通じ補足的に指摘しておくべき事項

本年の問題も昨年に引き続きどのような法規範判例により形成される規範を含む。)の適用を問題とすべきかという大きな検討課題の把握は比較的容易であり実際にもこれを大きくは外さない答案が少なくなかったそれでも答案間で評価に差が付くのは分析の深度や精度更には論理的な展開力などによるところが大きいと感じられることも昨年と同様である下線は筆者

条文を適切に使えるか法的三段論法は身についているかなど基本的な能力・技術の部分で差がつくということである闇雲に知識を増やしても理解は深まらない理解を深めるためには基礎基本をきちんと押さえることである

 

すなわち本年の各設問にも現れているようにある一つの事案を解決するに当たっては複数の制度や判例等にまたがった分析が必要となるが当然ながらそのためにはの制度等についての理解が必要であり更には制度相互間の体系的な理解が必要になるその上でこれを一つの分析結果にまとめ上げるためにはその理解している内容を示された事実関係を踏まえて論理的に展開していくことが重要である

この部分は短答過去問をしっかり解くと馴染みやすいと思う短答過去問の中にはいわばミニチュア論文問題のような問題がある短答過去問も知識確認だけでなく法的三段論法を意識して丁寧に解いてもらいたい正しく学習していればいずれ上記の課題はクリアできるはずである道は果てしないが残念ながら近道はない

 

このような法律の体系的理解とこれに基づく実践的な論理展開能力の重要性は例年指摘しているところであり引き続き留意をしていただきたいその上で本年の答案を見て特に感じられたことについて幾つか指摘しておきたい

問題文をよく読まず,その指示や趣旨に従わずに論ずるものが散見されたことである例えば設問において,Bが乙建物に住み続けることを前提として,Cへの支払額を少なくするためのの契約責任に基づく主張について尋ねているにもかかわらず契約の解除取消しといった契約関係を解消する主張などを論じる答案が散見されたことや設問において問題文で指示した解答の流れから外れた論じ方をする答案も散見されたことである問題文において指示した内容に応じて解答する前提で採点はされるから限られた時間内に必要十分な答案を作成するためには問題文をよく読んで理解した上で答案を作成することが肝要である

その通りすでに演習不足が原因だろうと指摘した

 

特定の法律効果の発生の有無を検討することが求められているのにその基本的な要件が満たされているかどうかを検討せず自己が主要な論点と考える部分のみを論ずるものが散見されたことである例えば設問において契約不適合責任の有無について深く論ずること自体はよいとしてもそれのみを検討し代金減額請求や損害賠償請求の他の要件に触れないまま安易に請求権の発生を認める答案が散見された法律効果を発生させるためには法律要件が満たされていなければならないという当然の基本的原則を常に銘記する必要がある

→「法律効果を発生させるためには法律要件が満たされていなければならないという当然の基本的原則を常に銘記する必要があるのである日頃からやるべきことはこれである論点はその先にしかやってこない採点実感で指摘されているからではなく法の基本的原則であるからやらなければならないのである

 

毎年のように指摘をしているにもかかわらず本年も文字が乱雑であったり小さすぎたりあるいは線が細すぎたりして判読が困難なものが一定数存在したことである特に十分な答案構成をせずに書き始め後から既述部分に多数の挿入をする答案は必然的に文字が小さくなりその判読が困難になるこれらの点についても引き続き改善を望みたい

文字を大きく書く間隔を広く開けることをしてほしい文字が乱雑になってしまうのは非常によくわかる個人的な話で非常に恐縮だが正直どうしようもできなかったただ文字は大きく間隔は広くそれだけで随分違う

 

法科大学院における今後の学習において望まれる事項

本年は民法債権関係改正の施行後初めての試験であり同改正を踏まえた出題もされているがおおむね改正内容を把握した上での解答がされており法科大学院教育を通じて改正内容についての理解が進んでいることがうかがわれた引き続き改正内容を踏まえた法的知識の習得に取り組んでいただきたい

判例を明文化しただけの部分も多い

 

また本年においても昨年ほどではないものの設問の文字数を減らして受験者の事務処理の負担を軽減しつつ財産法の分野における基本的知識・理解を横断的に問う問題が出題された条文や判例に関する基本的な知識を踏まえ問題文を注意深く読んだ上で,【事実に顕れた事情を分析して設問の趣旨を適切に捉え筋道を立てて論旨を展開すれば相当程度の水準の解答ができるはずである設問の小問(2)多くの受験生にとってこれまでに検討したことがない問題であったと思われ検討に時間を要するとは考えられるがこのような問題であっても基本的な知識・理解が十分身に付いていればそれを手掛かりとしながら検討することは可能であると考えられる。)。限られた時間内で答案を作成するためには短時間で自己の見解を適切に文章化するのに必要な基本的知識・理解を身に付けることが肝要であり引き続き法的知識の体得に努めていただきたい

事務処理の負担が軽減したとは言いつつも依然大変な事務処理量だと感じる受験生が多いのではないかスムーズに答案構成しスムーズに論述を進める必要があるこれは、「気合いの問題ではなく事前準備の問題である。「条文なければ判例)→要件効果までの流れは短答過去問等を通じて徹底的に練習し考えなくても出来るようにする必要があるこれは基本中の基本ここが疎かになるから本番でもミスが出る多くの場合あてはめや正確な規範に注力する前に勝負がついてしまっている

 

さらに本年も昨年同様判例を参考にすることで深い検討を行うことができる問題が出題されているが法律実務における判例の理解・検討の重要性を再認識していただきたい判例の採った論理や結論を墨守することを推奨してはいないが判例と異なる見解を採るのであれば判例を正確に指摘して批判することが必須である。)。例年指摘されているところであるが判例を検討する際にはその前提となっている事実関係を基にその価値判断や論理構造に注意を払いながらより具体的に検討することが重要でありかつなケースを想定して判例の射程を考えることで判例の内容をより的確に捉えることができるものであるこのような作業を行うことでの制度についての理解が深まるだけでなく制度相互間の体系的な理解が定着することに改めて留意していただきたい

条文で定められていない部分を判例が埋めるという話は先述したこのように判例には決まった機能があるそれを意識せず闇雲に暗記しようとしていないか判例重要性は知りつつもなぜ重要なのかイマイチ理解していない受験生が多いように思うそれは判例を学ぶ前段階のつまづきが原因であると思われる

 

(民事系第二問はまた後日)

 

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