予備試験に合格した私だから伝えられる!法学の基礎基本!

予備試験・司法試験の合格を目指していた私が法学の基礎基本とは何か…ということに悩み苦しんだ結果、たどり着いた答えを書き綴っていきたいと思います!難しい論点を解説しようとはしていません。法律の資格試験に合格するのに必要なことは法学の基礎基本を見極め、理解することだけです!

令和2年公法系第一問の採点実感を読んでみた~その3~ このブログで「基礎基本」しか言ってない

結局「基礎基本」にたどり着くんですね。

 

令和2年司法試験の採点実感(公法系科目第1問)

 

(中略)→その1、その2へ

 

 

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(赤字は筆者コメント)

違憲審査について

⑴ 審査基準の定立において,経済的自由に対する制約は,一般に,内容が多種多様で,専門的技術的性格を有し,裁判所の審査能力との関係からしても,精神的自由と比べて,立法裁量に委ねられるべき要請が強いという点をきちんと押さえずに,審査基準の定立を行っている答案が一定数あった。

→経済的自由と精神的自由との性質の違いは、憲法という科目の中で必ず学ぶ事項であるはずである。この点が押さえられていない答案が評価される答案になるはずはない。が、問題はそこではなく、「なぜ基本的事項を押さえられていない答案を書いてしまうのか?」である。私の経験上、このような答案は、条文に遡る姿勢が希薄であることが多い。これは、条文をインデックスとして法知識を体系的に整理する姿勢が希薄ということと同義である。「暗記が足らなかった」のではなく、本来あるべき思考体系が身についていないから見落としてしまうのである。上記の通り、法律家になる者にとって一番大切なことは「間違えないこと」である。ミスをしないための思考体系を法律学習を通じて学んでほしい。

 

⑵ 規制①について積極目的と消極目的が併存していると理解せずに,問題となるのは積極目的か消極目的のいずれか一方であるとして論じるのであれば,その点についての説明が必要である。また,国民の福利増進を(積極目的でなく)消極目的に分類する問題のある答案も見られた。一方,立法目的を丁寧に検討し,規制内容の強さも含めて論じて審査基準を導く答案には,事例の分析力や論理的な説得力が感じられた。

→正直なところ、本試験で「丁寧に」検討しようとする必要はあまりないと思う。キリがないし、時間もない。ただ、なぜその審査基準を導いたのか、その理由を説明する必要は大いにある。審査基準(規範)は、法律問題の解決基準であり、結論を左右する重要なポイントだからである。どの程度の説明があると読み手は納得できるのか、どのような説明がされていると読み手は理解できるのか、それを知ることが大切である。「丁寧に検討せよ」と言われても、それがどういうことなのかわからない受験生は多いと思う。

 

⑶ 目的審査において,法案骨子の「第1 目的」の記述に全く触れず,既存の乗合バス事業者の保護,収益改善が目的であると言い切り,「事業者の収益改善」により「移動手段を維持確保する」ことが法の目的であることについて分析していない答案が少なからずあった。

→法令違憲について検討したいなら、その法の内容に触れることは当然である。ここでの指摘も具体的事実の中から法律問題(憲法問題)を抽出するという基本姿勢の欠如を表すものである。「法の目的を検討する際、その目的規定に触れなければならない」のではなく、「法の目的を知りたいと思う者は、当然その法の目的規定を読む」のである。個別法の解釈方法は、覚えるものではなく、当然身につけているべき技術の話である。個別法が読めない受験生は、そもそも普段の勉強法が間違っている。

 

⑷ 手段審査については,まず当該手段が立法目的を(観念的・抽象的にであれ)促進するのかどうかを確認していない答案が多くあった。次に,審査基準と現実の手段審査が対応していない答案も相当数見られた。例えば,審査基準として「実質的関連性」を挙げておきながら,現実には立法目的が抽象的に達成されていることで憲法上の問題がないとする答案や,「より制限的でない他の手段」の有無を審査するとしながら,現実に取り得る手段を具体的に挙げてその当否を検討していない答案である。

→ここでの指摘は、要するに、「あてはめ」が出来ていないということである。法的三段論法が出来ない受験生は、司法試験に合格する資格はない。法的三段論法のミスは、ゼロにしないと話にならない。その点を指摘してくれる指導者が周りにいないのであれば、環境を整えた方がいい。

 

⑸ 補助金の交付を「より制限的でない他の手段」として論述する答案が相当数あったが,本問では,生活路線バスを補助金等で補填している現状への新たなてこ入れとして規制①を導入しようとしているのであるから,上記論述は説得力があるとは認められなかった。また,「赤字は全て補助金で補填する」等のおよそ現実的とは思えないような手段,「既存の高速路線バス専業事業者と生活路線バス専業事業者を合併させる」等の「より制限的でない」とは思えないような手段を提案している答案や,高速路線バス専業事業者の不利益が過大であるかないかだけを検討している答案が目に付いた。

→いわゆるLRAの基準を使う受験生は少なくないが、この基準は意外と使い勝手が悪いことに気付いているか。違憲であると主張するためには、「より制限的でない他の手段」があることを指摘しなければならない。しかし、それを現場で思いつくことは、時に容易ではない。審査基準定立の段階であてはめまでの流れを「先読み」しているかどうか振り返ってほしい。行き当たりばったりの起案をしていないか。あてはめの段階で生じる問題は、それ以前の段階に原因があることが少なくない。

 

⑹ 交通政策の意義,バス事業の特殊性に言及している答案は少なかったが,事案に即した検討として求められているのは,そのような点に着目した議論である。また,公衆浴場が,自家風呂のない者にとって必要不可欠な厚生施設であることを論じた公衆浴場法に関する判例を,本設問についての先例だと考えた答案は,極めて少数であった。

→なぜこのような点に着目することが出来る答案が出てくるのだろう。知識の差なのだろうか。もちろん、知識の差という可能性も考えられるが、それ以上に「意識の差」があると思う。「どのような視点(考慮事情)から審査基準を定立するか?」「どのような事情を審査基準(目的手段)にあてはめるか?」という「規範定立→あてはめ」のフォーマットに徹底的にこだわりそれに沿う事情を一つ一つ探していく「意識」である。フォーマットと事実との「つながり」は、意識して練習しないと見つけられない。ただ、別に難しいことを練習する必要はない。基本的な演習問題、論文過去問、短答過去問などに触れる中で、法的三段論法を徹底的に練習すればいいのである。上位答案への入り口もやはり基礎基本の徹底に関わっていると思う。

 

4 その他

⑴ 許可と許可条件,あるいは,骨子第3と第4について,問題の所在を発見・分析する過程では,両者を分けて丁寧に検討することは,確かに有用であるが,答案においてこれらを別項目に分けて記述すべきかどうかは,検討の結果による。機械的に別項目を立てるのではなく,自分の検討の結果として分けて論じる意義がない場合には,そのように答案構成すべきであろう。現実には,一定数の答案が別項目に分けて記述していたが,その相当数は,記述がほぼ重複していた。

→答案の構成をどうするかは、その解答者が問題をどう理解しているか示す大事なポイントである。漫然と検討事項を羅列するのではなく、意識して答案の構造を示してほしい。ABprojectの添削指導では、ナンバリングを含む答案の構成も意識して添削している。

本年度の問題で上記のように検討項目を分けた答案は、おそらく「何について違憲性を判断すべきか?」を見極める力が弱い。それはつまり、具体的事実関係の分析力が弱いということである。人権侵害行為に関する違憲審査について始めの一歩でつまづいている。ここでつまづく受験生は、他の科目にも弱点を抱えている可能性がある。例えば、人権侵害行為の分析と犯罪行為(≒人権侵害行為)の分析とは、通ずるものがある。何のことだかわからないのであれば、法の体系的理解が不十分である。

 

憲法的観点からの見解が求められているにもかかわらず,政策的により効率的に立法目的を実現できる別の代替案を提示しているとしか思えないものなど,問題が多い答案も散見された。

→「憲法的観点からの見解=違憲性について見解」である。事案の複雑さに頭が混乱してしまったのかもしれないが、それこそまさに基礎基本が不十分であることの証明である。「具体的事実に沿って検討する」とは言うものの、それに溺れてしまってはいけない。法的三段論法は命綱(条文は命綱)である。

 

(続きは後日)

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