法的なものの見方・考え方(7) 今すぐ使える理由付けの方法論
理由付けの三本柱
法律論を組み立てていくにあたって、理由付けは不可欠です。
このことは、多くの予備試験・司法試験受験生が意識しているようで、基本的には何かしらの理由付けをしながら論述を進めているのが多数派だと思います。
少し受験戦略的な話になってしまいますが、「みんなしている」ことについて他人より抜きんでるためには、そのいい意味での差別化を図ることが必要になります。
みんな理由付けを書いているというのであれば、より質の高い理由付けをしていかなければ、相対的にいい成績になることはないと言えるでしょう。
で、どうするかという話なのですが、多くの受験生が行うのは、教科書・判例集・予備校本等を読み込んで知識を増やすということです。
確かに、質の高い理由付けをするには、レベルの高い研究者や実務家の知恵を借りるのが一番と言えるでしょう。
そういった意味では、上記の対処法は、ある意味正しいと思います。
しかし、当ブログの読者の皆さんはすでにおわかりのように、私の立場は、いかに少ない知識で問題処理するかというのが基本です。
知識増量という手段は、できる限り避けたいと思っています。
そこで、私は問題を解き、解説を読んでいく中で理由付けの方法をパターン化することにしました。
いくつかありますが、今回は、特に頻度の高いパターンをご紹介したいと思います。
これが使えるようになると、ほとんどの問題に対処できると言っても過言ではないと思います。
①必要性と許容性(相当性)パターン
②形式的理由と実質的理由パターン
③客観と主観パターン
です。
具体的な使い方は、また次回にするとして(ごめんなさい、長くなるので・・・)、さっと概要だけ触れていきたいと思います。
まず①は、必要性と許容性(相当性)の両面から理由付けをしていくというものです。
このパターンは、当事者双方の利益(対立利益)を考慮する姿勢を見せやすいのが特徴だと思います。
どの科目でも使いやすいですし、必要性と許容性(相当性)という視点で事案を分析すると結論の落としどころが見やすかったりします。
②は、形式的理由(主に文言)と実質的理由(主に趣旨)を組み合わせた理由付けです。
目的論的解釈とこの理由付けパターンには、共通する部分があると思います。
③は、行為者の客観と主観という観点から当該行為の評価に対して理由を付するものです。
「当該行為の評価に対して理由を付する」ということからわかるように、上記2つに比べれば使える場面は少ないです。
ですが、他人の利益を侵害している場合など行為の不当性(違法性)を問う問題が出題されることが多いため意外と便利です。
知っておくと多角的な事案分析にもつながります。
どんな時に使えるか、ピンときた方もいるのではないでしょうか?
これらのパターンは、問題によっては重複して使えることもあります。
何をどう使うかは、自分次第だと思います。
とにかく、知識がなくても自分なりに考えられるための足掛かりにしてほしいと思う次第です。
ごくごく基本的な知識に加え、柔軟な対応力を身につけておくことが予備試験・司法試験の合格可能性をぐっと引き寄せます。