予備試験に合格した私だから伝えられる!法学の基礎基本!

予備試験・司法試験の合格を目指していた私が法学の基礎基本とは何か…ということに悩み苦しんだ結果、たどり着いた答えを書き綴っていきたいと思います!難しい論点を解説しようとはしていません。法律の資格試験に合格するのに必要なことは法学の基礎基本を見極め、理解することだけです!

理由付けの方法1 必要性・許容性パターン

必要性・許容性パターン

前回、必要性・許容性パターンの特徴は、対立利益を拾いやすいことにある説明しました。

必要性は、主に権利行使をする側・権限を行使する側の利益を含んでいます。

他方、許容性は、その権利行使・権限行使が行き過ぎていないかという調整弁として機能しています。

つまり、権利・権限を行使される側の利益に対する配慮があると言えます。

以下の具体例を見るとわかりやすいと思います。

刑事訴訟法で使います

例えば、刑事訴訟法の問題で「任意捜査の限界」という論点がありますね。

捜査法の問題では、ほぼ確実に出ると言っても過言でないと思います。

で、任意捜査における有形力の行使の適否を判断する判例の規範があります。

「必要性、緊急性なども考慮した上、具体的状況の下で相当と認められる限度において許容される」というやつです。

この規範の理解には、諸説ありますが、私は、これを必要性・許容性パターンの一つと考えています。

必要性・緊急性(など)は、必要性に属する要素だと思います。

これは、任意捜査を進める捜査機関の行為を正当化する積極的事由だからです。

他方、相当性の要件は、捜査を受ける被疑者・被告人の利益を守るべく行き過ぎた捜査を抑制する働きをしています。

任意捜査の適法性は、必要性・許容性パターンに基づく規範をパスすることにより、その根拠づけ(理由づけ)を得ているものと言えます。

 

ちなみに、被疑者の撮影や尾行などの違法性が問題となる場合、規範の中に「緊急性」という文言が登場しないときがあります。

それも必要性・許容性の構造を守ることが肝要で、その要素を個別事案に合わせて変化させていると考えれば何ら不思議なことではありません。

規範の本質部分(幹の部分)と枝葉の部分を意識して分けることが大切です。

憲法でも使います

憲法違憲審査基準は、まさに必要性・許容性パターンです。

例えば、目的は必要不可欠で手段が必要最小限度とか、目的が重要で目的と手段との間で実質的関連性があるとかいう判断基準は、目的審査の中で人権規制の必要性を判断し、手段審査の中で当該人権規制の許容性を判断しているとみることができます。

 

ちなみに、刑訴の問題で憲法論が入ってきたり、憲法の問題で刑訴の事情が入ってきたりすることがよくあります。

いずれも人権侵害(利益侵害)という点、規制する側とされる側という対立構造があるという点で共通項があります。

すると、どの法で解決を図るかによって表面上現れる規範の内容は異なりますが、その基礎にある判断原理は、似たものになってきます。

当事者間の利害調整をしているという本質は同じだからです。

「パターン化」するということは、ある意味、複数の問題の共通項、問題の本質を見極めた結果できることかもしれませんね。

必要性・許容性パターンも単なるテクニックではなく、様々な問題を分析した結果、たどり着いたものなのです。