行政法課題テスト直前記念 「あてはめ」がわかれば、「生きる意味」もわかる
意味は「ある」のではなく、「与える」もの
行政法課題テスト直前記念ということで、予備試験・司法試験の論文式試験においては(短答式試験でも「あてはめ」の意識を持っていないと、知識偏重の弊害に窮することがあります)避けて通れない「あてはめ」をテーマにブログを書こうと思います。行政法においてはもちろん、他の科目でも使える情報ですのでぜひ全ての法律系資格試験の受験生の皆様にご覧いただきたい内容です。
・意味は「与える」もの
早速ですが、「なぜ生きるのか?」という疑問について考えたことはありますか?
・人生の目的を見つけるため
・あなたは人生の意味を問われている
・魂の成長のため
・生きることに理由などない
などなど、色々な見解があると思います。
私自身、その答えを知っているわけではありませんし、自分なりの答えを見つけられたわけでもありません。そもそも、今回のブログではそんなことどちらでもいいのです。
ここで言いたいことは、意味は「そこにある」ものでもなく、「与えられる」ものでもなく、自ら「与える」ものであるということです。
人生の「意味」も自分以外の誰かが教えてくれたり、決めてくれたりするものではなく、最終的に自分自身で与えなければならないものなのではないでしょうか。
・意味を「与える」前提には必ず基準点がある
「意味を『与える』」という視点に立つときには、2つのことを考えなければなりません。
①意味を与えるか否か
②(意味を与えるとして)どのような意味を与えるのか
ということです。
例えば、「生きる意味」について考えた場合、「生きることに意味なんてない」という主張が必ず出ます。これは、①の話です。
一方で「生きることに意味はある」という風に考えれば、その意味の内容について考えないといけません。この時、自分の中に何ら確固たるものがない人は、「わかりません・・・」ということになるでしょう。人は、何かを考える時、必ずよって立つ基準点があるのです。
例えば、「人生の目的を見つけるため」「魂の成長のため」という風に意味づけをするなら、人生や魂という存在がその人の思考の基準点になっています。その基準点から「『生きる』という行為に意味を与えている」わけです。
このように意味づけは、主観的にあるいは客観的に設定されたある基準点からしか与えられないものなのです。基準点がない場合には、何にも意味は与えられません。「ただそこにあるだけ」です。
・法的三段論法における「あてはめ」
前置きが長くなりましたが、小括すると
「意味は『与える』ものであること」
「意味は、『ある基準点から』与えるものであること」
がポイントでした。
これは、法的三段論法におけるあてはめを理解する上で、大きなヒントになります。
例えば、作業着を着た大工風の男性がノコギリが入ったカバンを持って歩いていたとしましょう。ノコギリの刃は、カバンから少しはみ出ており、少し離れたところから見てもそれがノコギリであることが分かる状態だったとします。
公道でその男性とすれ違った人は、その男性を全く気にしないかもしれません。では、パトロール中の警察官がその男性を見た場合はどうでしょうか?
「犯罪を未然に防止する使命」を基準点にすれば、ノコギリを持った男性は、危険人物という風に見るかもしれません。その男性を危険人物とみることは、客観的事実を評価した(意味づけをした)ことに他なりません。
では、状況を少し変えましょう。カバンの中にノコギリを忍ばせた男性が大勢の人が集まるコンサート会場に入っていこうとしていた場合、上記の警察官は何を考えるでしょうか?
犯罪を未然に防止するために職務質問や所持品検査をしたいと考えるかもしれません。この場合、当該警察官が忘れていけないのは、「法に則って動く」ということです。いくら犯罪を未然に防止するという「大義」があっても法に反する公権力行使は許されないからです。
少し刑事訴訟法の話に入ってしまいますが、当該警察官が「急いでいるので」などと言いその場を立ち去ろうとする男性の手を掴むなどしてその場にとどまらせることは、一定の要件を満たさなければ違法な行為になります。
そのため、当該警察官は、当該男性が大勢の人が集まるコンサート会場に似つかわしくないノコギリを持っていることなどの客観的状況を前提に、自身が行う行為を評価する(意味づける)必要があります。この時、評価の基準点になるのは、法解釈から導かれる「一定の要件」(必要性・緊急性など)です。
そこで、当該警察官の行為の適法性を判断するために「一定の要件」に従ってその行為を評価します。
具体的には、
・コンサート会場に向かうノコギリを持った男性の腕をつかむ→殺傷事件を起こす危険性があり、男性が同会場に向かうことを阻止するため(意味づけ)=必要性がある
・男性が「急いでいるので」などと言い、当該警察官の制止を振り切ろうとした→腕をつかむ以外に男性の行動を制止する手段がなかった(意味づけ)=緊急性がある
などと考えることが出来ます。
意味づけは、いずれも「一定の要件」を満たすように自分なりに考えたものです。つまり、当該警察官の行為に「意味を『与えた』」のです。
このように「あてはめ」は、法律要件を満たすように客観的事実に「意味を与える」(事実を評価する)ことによって成立するものなのです。その作業は極めて能動的なもので、受動的にインプット学習しているだけでは身に付きません。アウトプットの訓練がいかに大事かわかりますね。
他方で、法律要件に沿うように事実に意味を与えなければいけませんから、「あてはめ」を上手くこなすためには、法律要件の理解が不可欠になります。「あてはめが苦手」という受験生は、往々にして法律要件の理解が不十分であることが多いです。法律要件⇔事実の相互関係を意識しないと、あてはめをマスターすることは難しいのです。
「あてはめ」をマスターするためには、第三者による厳しい添削を受けることは不可欠です。本気で論文対策をしたい方には、日本一丁寧な添削指導のABprojectをお勧めします。
ー答練するならLEC!ー
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