刑法課題テスト⑧ 過去問の勉強の仕方
出題趣旨や採点実感を深追いするのはやめましょう
司法試験・予備試験合格を目指す方で過去問を一度も解いたことがないという方はいないないと思います。また、出題趣旨や採点実感を読んだことがないという方もいないでしょう。
しかし、過去問の正しい学び方を知っている方はあまり多くないのではないかと思うのです。これは、過去問の添削指導を通じて身をもって感じたことです。
過去問添削をご希望の方は、下記リンクより↓↓
ここでいう「正しい学び方」というのは、無論、合格答案が書けるようになるための勉強の仕方ということですが、唯一絶対の正解があるものではないと思います。司法試験・予備試験合格者は、各々自分の弱点を認識しそれを克服するために創意工夫を重ね、合格までの道を歩んでいます。その道は千差万別なのです。
従って、以下の内容は、あくまで一つの方法であるとお考え下さい。
司法試験・予備試験過去問の勉強法には3つのポイントがあると思います。
①すべての問題に通ずる共通項を認識する
②完璧に解こうとしない
③繰り返す
です。
まず①についてです。ある程度起案の回数をこなしているにもかかわらずイマイチ成果が現れない受験生は「この問題はこう解く」「あの問題はこう解いた」など一問一問バラバラに整理しているように思います。大学受験レベルの話なら問題をパターン化して押さえる戦略も功を奏したかもしれませんが、司法試験・予備試験レベルではまず対応できないと思います。勉強範囲が膨大ですし、司法試験委員はパターン化した解答を嫌うからです。
そうではなく、まずは司法試験・予備試験全ての問題に通ずる事項を押さえましょう。問いに真正面から答える、法的三段論法を徹底するなど、法学の基礎基本は、全ての問題で必ず問われます。それをきちんと認識することが最も大事なことですし、それができるようになるだけで起案の安定感が生まれてきます。問題の形式や出題内容にとらわれすぎて路頭に迷うことだけはさけましょう。
次に②についてです。これは①とも共通する部分があります。出題趣旨や採点実感を読むと一般の受験生にはかなりハードルが高い要求が散見されるように思います。最終的にそこまでたどり着けるのが理想ですが、法学習に「100段飛び」は禁物です。1段1段着実に階段を上っていくしか合格答案を書けるようになる方法はありません。添削指導をしていると出題趣旨や採点実感を参考にしたであろう中身がスカスカな答案を度々目にします。出題趣旨等で言及される「完璧な答案」を書こうとした結果、かえってボロがでているようです。それに気づかないまま試験当日を迎えれば、結果は言わずもがなでしょう。まずは基礎基本の徹底。段階を踏んでいけば、「完璧な答案」への正しい近づき方もわかってくるはずです。出題趣旨・採点実感を読み込むのはそれからでも遅くないと思います。
最後に③です。過去問は繰り返し解くことで初めてその意味が分かるものだと思います。出題趣旨や採点実感を読んで何を書けばいいかわかった気になっているような段階はまだまだです。問題文にある誘導、一つの事実の多様な使い方、答案のバランス、法律論の理解等、繰り返せば繰り返すほどに気付くことは増えていくはずです。そのことに気付けるだけの能力が備わって初めて合格答案を書くに足りる基礎力が身に付いたと言えるのではないでしょうか。
以上を総合すると、過去問を繰り返し解く過程で、問題の傾向に振り回されず法律問題の本質を確実に見極める力を身につけることが肝要だと言えるでしょう。少しでも過去問対策に不安があるかたは、ぜひ一度ABprojectにご相談いただければと思います。
予備試験・司法試験過去問添削指導は下記リンクより↓↓
お待たせしました。刑法課題テスト⑧の問題は、下記の通りです。
○注意書き
・参照可→六法等
・制限時間なし
・解答は記述式
・記述の構成要件→①正誤②条文の適示③問題となる要件④問題の所在
・5問中4問正解で合格
問1
甲は、氏名を隠して会社に就職しようと考え、同社に提出する目的で、履歴書用紙に架空氏名として「乙」と記載し、甲自身の顔写真を張り付けた履歴書を作成した。なお、甲は、同履歴書に押印していなかった。甲が同社に就職して勤務する意思を有していた場合でも、甲の行為は、無印私文書偽造罪にあたる。
(正誤)
(理由付け)
問2
市役所の建築課長甲は、人事異動により同じ市役所の保険課長に転任したが、保険課長に就任した後、建設業者乙から、建設課長当時、その職務に関し有利な取り計らいを受けたことの謝礼として現金500万円を収受した。甲に収賄罪が成立しうる。
(正誤)
(理由付け)
問3
甲は、家屋の居住者全員を殺害した後、証拠隠滅の目的で家屋を焼失させようと考え、室内の布団に放火したが、布団を焼損した時点で、自分の行いを後悔し自ら火を消し止めた。この場合、判例の立場によると、甲が火を消し止めたか否かに関わらず、甲に非現住建造物等放火既遂罪が成立する。
(正誤)
(理由付け)
問4
甲は、民事訴訟の証拠調べ期日において、証人として宣誓の上、原告乙及び被告丙双方の同意の下、虚偽の陳述をした。この場合、民事訴訟において当事者主義(処分権主義・弁論主義)が認められていることに鑑みて、偽証罪が成立しないとする見解は誤りである。
(正誤)
(理由付け)
問5
甲は、友人乙が警察官丙から職務質問を受けているのを見つけたため、丙が駐車していたパトカーの発進を妨害する目的で、自己所有の自動車を同パトカーの前方に駐車させ、丙が職務質問後、乙を最寄りの警察署に任意同行する職務を妨害した。甲には、公務執行妨害罪が成立する。
(正誤)
(理由付け)
刑法課題テスト⑧の解答発表は、明日2020年9月12日!
課題テストの添削指導ご希望の方は下記リンクより!!
司法試験・予備試験合格サポートはこちらから!