刑法課題テスト⑧解答発表 英語脳ならぬ「法律脳」を身につける
英語も法律も「道具」としての性質は同じ
英語教育の世界では「英語脳」という言葉が一般に使われています。これは自分の母国語ではなく、英語で物事を考えることができるということのようです。英語脳を身につけないと素早く英語を聞き取ったり話したりすることができないため、円滑なコミュニケーションは難しいと言われています。
これは法学習でも全く同じです。法的に物事を見て、考えられる「法律脳」を身につけることは、法学を深く理解したり幅広い知識を身につけたりするのにとても重要なポイントになります。
考えて見れば英語も法律も「道具」という性質は共通していて、その共通性が「英語脳」や「法律脳」という考え方につながっていると思います。単に知識を持っているだけではダメで、それを使いこなせるようにならなければ意味がないということですね。
「英語脳」を身につけようとするときは、いきなり難しい文章を読んだり、ネイティブスピーカーのテンポの早い会話を聞いたりするのはNGです。まずは、簡単な文章・単語レベルからスタートしていきます。例えば、身の回りの物を全て英語で置き換えてみるというのは、有効な方法だそうです。
「法律脳」を身につける時も同じです。シンプルな問題を然るべき順番で検討することを繰り返します。最初のポイントは条文の使い方をきちんと理解するということです。基本的な法律用語の理解や論点に関する考え方の理解などは、それに付随して押さえていきます。条文の使い方を学ぶというのは、英語で言うところの「文法」を学ぶことに近いかもしれません。
当課題テストは、法的な考え方や見方、文章の書き方を身につけてもらうことが目的です。短い問題文だからこそ、頭を整理しながら「然るべき順番で検討すること」に集中できます。単なる知識確認テストとは、一線を画していることに気付いていただければ幸いです。問題の内容も、法的な考え方や見方を身につけるために最適な構成になるように一問一問頭を悩ませながら作問しています。
課題テストを通じてぜひ「法律脳」を手に入れてください!
それでは、刑法課題テスト⑧の解答と出題者の一言に進みます。
まだ問題を解いていない方は、下記リンクより。ちなみに、「法律脳」を手に入れるという観点では過去問を解くというのも有効な方法です(答練ではないです。過去問です。)。下記リンクでは、過去問の勉強法についても言及しているので、ぜひチェックしてみてください。
問1→×
(出題者の一言)「予備試験短答合格したけど論文全然書けない」という方の相談が多いです。そもそも、短答の解き方が間違っているから短答から論文への移行がスムーズに進まないのだと思います。本問も一瞥するに終わらず、きちんと考えて解いてほしいです。
問2→○
(出題者の一言)条文には何と書かれているか。そこから、どういう解釈が導かれるか。その解釈を前提としてさらに発展した事例にはどう対処するか。複雑な判例の理解も段階を追って押さえていけば必ず理解できます。
問3→×
(出題者の一言)思考構造を図でイメージできるようになると、考えるスピードは速まると思います。論文試験に挑戦する初期段階でひどく混乱するのは、思考枠組みを図で表せないからだと思います。それは、短答段階から鍛えておくべき能力です。
問4→○
(出題者の一言)刑法の保護法益は民法等の趣旨と同じように使うことができます。それを使う使わないにかかわらず、常に意識しながら論理を組み立てていきたいところです。
問5→×
(出題者の一言)「妨害」という言葉から当然に公務執行妨害罪が成立するとは限りません。法律学の世界では、同じ文字の並びでも、その意味が異なることは度々あります。一つ一つの言葉の意味を厳密にとらえることは、精緻な論理を組み立てるための第一歩になります。
刑法課題テストは、これにて終了です。
次回からは憲法課題テストを始めていきます。初回は2020年9月18日を予定しています。お楽しみに!!
刑法課題テスト⑧の添削指導をご希望の方は下記リンクから!
司法試験・予備試験合格サポートはこちらから!!