民法攻略の分岐点 条文と条文の関係性を見極める
パンデクテン方式の続き
前回は、「パンデクテン方式」をテーマに民法の構成について見てみました。
その中で、民法第352条と民法第178条が重複してないかという点にたどり着きました。
今回は、そこから再開していきます。
結論から言うと、「各則は、総則に優先する」です。
「特別法は、一般法に優先する」「例外は、原則に優先する」というのと同じことです。
これを上記の問題にみると、民法第352条が各則で民法第178条が総則にあたるので、民法第352条が民法第178条に優先することになります。
(何となく書いているように見えるかもしれませんが、上記は三段論法を意識しながら書いています。352条と178条の関係性→「各則は、総則に優先する」(規範)→352条は各則、178条は総則(事実、あてはめ)→352条は178条に優先する(結論)。ルールを適用するという場面では、常に三段論法が浮かんできてしまうくらいになりたいですね。)
というわけで、上記の問題は解決しましたし、実際に問題を解くときもこの点が分かっていれば困ることはないでしょう。
ただ、勉強を進める過程では、ぜひ「なぜ条文がこのような定めになっているのか?」という点について考えたり、調べたりしてほしいと思います。
条文一つ一つには、ちゃんと意味があるからです。
総則に優先する各則を設けることにも意味があるからです。
その意味を知り、理解することは、「法的なものの見方・考え方」の一端に触れる端緒になります。
ここが法学習の面白さだと私は思います。
また「法的なものの見方・考え方」という理解の礎があればこそ、膨大な知識を脳内にインプットできると思います。
続いて条文と条文との関係性という点に踏み込んでいきましょう。
例えば、不動産の売買契約によって生じる法効果について考えます。
不動産の売買契約(民法第555条)には、債権に関する法効果と物権に関する法効果がありえますよね(事実関係から法効果が発生しうる分野に当たりをつけています)。
すると、第三編債権と第二編物権の両方についてそれぞれ効果を検討するのが、もっとも丁寧な検討です。
「売買契約を締結したため、不動産の所有権が移転した」などとテンプレートのように答案に書いているだけではダメなのです。
債権的効果として、売主の買主に対する権利義務・買主の売主に対する権利義務をそれぞれ検討します。
物権的な効果として、売主に帰属していた不動産の所有権が買主に移転したということが認められるでしょう(民法第176条の理解が必要です)。
所有権が移転したら条件反射的に「対抗問題だ(177条だ)!」と思う方が多いと思いますが、これは、第二編物権の問題について検討を続けているのです。
第二編物権の各則から総則へと検討を進めています。
それと同時に法律効果の話から権利の対抗問題の話へと移行しています。
このように条文の関係性を構造的に見られるようになれば、自然と論述も構造的になります。
それは、すなわち、論述に論理性が生まれると言うことを意味します。
条文に従っていけるようになれば、ほぼ怖いものなしです。
「条文は命綱」であります。
とはいえ、条文を使いこなせるようになるには、ある程度の訓練が不可欠です。
「基礎基本から見直したい」「答案の書き方がわからない」「点数が伸びない」とお悩みの方は、コメントお待ちしております。
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