予備試験に合格した私だから伝えられる!法学の基礎基本!

予備試験・司法試験の合格を目指していた私が法学の基礎基本とは何か…ということに悩み苦しんだ結果、たどり着いた答えを書き綴っていきたいと思います!難しい論点を解説しようとはしていません。法律の資格試験に合格するのに必要なことは法学の基礎基本を見極め、理解することだけです!

類推適用やってみた! わかっている(と思っている)人にも見てほしい

類推適用やってみた!

では、具体的に条文を類推適用する場面を見てみましょう。

よくあるのは、民法第94条2項の類推適用です。

例えば、AB間で行った不動産の売買契約が図らずも無効だったものの、当該不動産の所有権移転登記が買主Bに移転してしまっていた場合を考えましょう。

この場合、第三者CがBから当該不動産の所有権を取得することは原則としてできません。

AB間の契約が無効の場合、買主BがAから当該不動産の所有権を取得する効果は発生せず、Bが当該不動産を取得しなかったことになる(無権利者)以上、BからCに移転させられる所有権も存在しないからです。

ですが、民法第94条第2項の定めるルールによると(ちゃんと条文を読んでくださいね)「意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない」ことになります。

つまり、CがBの無権利について知らなかったと認められる場合(知らない≠登記を信頼した、この点をきちんと区別して分析すること!!)、無効な契約(意思表示)をしていたABがCに対して、その無効を主張することはできないことになりそうです。

 

ただ、一つ問題があります。

民法第94条第2項には「前項の規定による」という文言があります。

民法第94条第2項を適用する前提として、民法第94条第1項に基づく無効であることが認定されないとダメなわけです。

すると、上記の事案では、ABに通謀(94条1項の要件)がない以上、94条2項を直接適用することもできないことになります。

Cが「ABによる無効の主張は認められない(94条2項の効果)」と主張することは、できないのが原則です。

 

さて、ここからが94条2項類推適用の場面です。

同規定の趣旨は、権利外観法理であると理解されています。

権利外観法理とは、虚偽の外観を作成した帰責性のある者がいる場合、その者を犠牲にして、虚偽の外観を信頼した者を保護するという考え方です。

この趣旨が上記の事案でも妥当するかどうかを検討します。

ここが類推適用する場面で一番受験生が雑になりがちなところだと思います。

直接適用の否定を指摘する受験生は増えてきたと思いますが、趣旨が妥当するという点の論理構成が雑になるんですよね。

上記趣旨が妥当するかどうかは、

①虚偽の外観があること

②無効を主張する者に同外観を作成した帰責性が認められること

③94条2項の類推適用を主張する者が同外観を信頼したこと

がポイントになります。

 

このことを知っている受験生は多いですが、この規範をどう理解していますか?

この3つがあるときに権利外観法理という趣旨が妥当するのです。

このうち1つでも満たさなければ類推適用は不可ですし、全部満たせば類推適用可です。

つまり、上記のポイントは「要件」と理解できます。

 

参考までに会社法第22条第1項の類推適用事例をご紹介します。

当該規定は「事業譲渡」を想定した規定ですが、現物出資のケースに類推適用できるでしょうか。

当該規定の要件は、①事業譲渡したこと②譲受会社による譲渡会社の商号続用です。

現物出資のケースでは、①を満たさないので、当該規定の直接適用はできません。

そこで、類推適用について検討します。

当該規定の趣旨は、事業譲渡において商号続用が認められる場合、取引の相手方は同一主体による事業継続を信頼するのが通常であるところ、その信頼を保護することにあります。

では、現物出資に伴う商号続用でもその趣旨が妥当するでしょうか(いかなる場合に趣旨が妥当するかを考えて要件を立てましょう)。

この点について考えると、現物出資でも「営業」を譲渡し、かつ商号続用が認められるなら、取引の相手方が同一主体による事業継続を信頼する可能性が高いと思いませんか?

とすると、①営業の現物出資をしたこと②商号続用をしたことが認められる場合は、上記趣旨が現物出資のケースでも妥当すると言えそうです。

あとは、事実を当てはめて類推適用の可否を検討するだけです。

 

理屈がわかっても、実際やるとなると難しい部分があります。

道具を使いこなすには「慣れ」も必要ですからね。

類推適用を実際の問題で練習したいという方は、添削指導を受けてみませんか??