法的三段論法(7) あてはめに苦労した結果わかること
あてはめに見るインプット学習の盲点
前回は、ごくごく簡単にですが事実を評価するということに触れてみました。
ですが、これも技術の一つなので正直一度聞いただけでわかるものではありません。
たくさんの実践をこなしながら、その都度改善のアドバイスを受けること、自分であてはめをしてみること、が大事だと思います。
当ブログでもいつか過去問を取り上げながら、規範の立て方や事実の評価などについて詳解していけたらと思っています。
さて、あてはめの実践を繰り返していくといろんな発見をすると思います。
例えば、規範を正確に明確に立てることの重要性です。
事実の評価・あてはめは、条文等から明らかになった要件(規範)を基準に行っていきます。
規範がきちんと立てられていないということは、事実を評価する基準・事実をあてはめるべき対象が不明確だということになります。
すると、どのような事実を拾うべきか、事実をどう評価するべきか、わからなくなります。
法的三段論法の初めの一歩を雑にする結果、「二段目・三段目」が難しくなる(場合によっては、着地不能になってしまう)パターンです。
「規範を覚えるのめんどうだな」と思うことは多々あると思います。
でも、その苦労はきっと予備試験・司法試験の本番で身を助けます。
あてはめまでしてみると初めて規範を正確にすることの大事さに気付けるのです。
他には事実に対する分析が細かくなります。
事実の評価というのは、ある意味、自分の価値観の投影です。
例えば、刃渡り15センチのナイフを「危険」ととらえるか、「危険でない」ととらえるかは、人の価値観によるかもしれません(法の世界では100%危険物であるとされると思いますが・・・)。
また「合意に至っていた」か否かという話は、男女関係や金銭関係等、様々な場面で問題になりますが、これも合意した旨を示す文書など決定的な証拠がない限り、その結論は、人によりけりだと思います。
普段私達は、この「事実」と「事実+評価(価値観の投影)」とをあまり区別せずに生活していることが多いように感じます。
予備試験・司法試験のあてはめで苦労する人が多いのも、これが原因の一つだと思います。
それがあてはめの訓練をすることで「生の事実(目の前の現実)」と「自分の価値判断(評価)」を意識的に区別できるようになります。
事実をありのままにとらえる、すなわち、事実関係を客観的に精緻に分析できるようになるわけです。
この能力は、問題文を読んだ時の論点抽出力(読解力の一つ?)につながっていきます。
問題を解くことで「予備試験・司法試験の合格に必要な真の実力」が磨かれるわけです。
本を読むインプット学習だけではダメだということが「あてはめ」をしてみることでわかるのです。
私のアドバイスをあなたに「あてはめ」てみませんか?