法的三段論法(5) 事実を挙げる?
法律を使うということの核心
予備試験の論文式試験も終わり、ひと段落ですね。
予備試験は口述試験までありますから、全然気が抜けないとは思いますが。
司法試験を受験された方は、予備試験論文式試験の結果発表よりも先に結果発表という(ある種の)地獄を迎えますね(笑)。
いずれにしても、結果は受け入れるだけのものですから、ゆったり構えていましょう。
さて、今回は、法的三段論法の小前提の話ですね。
②事実を挙げるということになりますが、これって意外と難しいと思うんです。
論文式試験を解いてみるとわかるのですが、きちんと書けるようになるまでに「事実をきちんと適示して、あてはめなさい」という指導を何度も受けます。
私自身も何度も何度も答練で指摘を受けました。
自分ではできていると思っていたのですが、実際には全然できていなかったのです。
この部分は、教科書で学べないところですから、実際に答案を書いてみて添削を受けて改善していくのが一番いいと思います。
以下、事実を挙げるとはどういうことかということについて書いておきます。
結論から言うと、事実を挙げるというのは、問題文に書いてある「生の事実」を指摘するということです。
極論、問題文に書いてある出来事に関する記述をそのまま書き写さないとダメだということです。
実際に答案を書いていると制限時間が厳しいことや手書きするのが面倒くさいということから、雑になりがちですが、「生の事実」を指摘することは、とてもとても重要です。
何故かというと、法律は、生の事実として現れた法的紛争を解決するものだからです。
現実世界に突如として現れた事実関係に対して法律というフィルター(道具?)を通じて一定の結論を出すものだからです。
「生の事実」を挙げ、それに対する結論が出ていない限り、法律を使ったということにはなりません。
「生の事実」として例えば「XがYをナイフで刺し死亡させた」とか、「XがYに壺を現金500万円で譲った」とかいったものがあります。
「XがYを殺した」と表現すると「殺人」ということになり、多少なりとも人の価値判断が介在してきます。
また「XがYに壺を現金500万円で売った」という表現をすると「売買」ということになります。
これもまた法的な評価を含むと言い得ます。
何が「生の事実」なのか、というのは、厳密に区別することが難しいところがあると思いますが、一つの指標として一定の価値判断(評価)を含まない「ありのまま」の事実であるかどうかということがあげられると思います。
まだ、ピンと来ないかもしれませんね。
大丈夫です。
事実を評価するということが分かるようになると、急に「事実」が生々しく見えるようになります。
続きは次回に!!