予備試験に合格した私だから伝えられる!法学の基礎基本!

予備試験・司法試験の合格を目指していた私が法学の基礎基本とは何か…ということに悩み苦しんだ結果、たどり着いた答えを書き綴っていきたいと思います!難しい論点を解説しようとはしていません。法律の資格試験に合格するのに必要なことは法学の基礎基本を見極め、理解することだけです!

予備試験・司法試験だけでなく、公務員試験指導もしています ABprojectです

多くの受験生がぶつかる物権の壁 結局大事なのは権利をイメージする力

 

今回も質問回答シリーズです。

ある受講生の方から「占有改定と指図による占有移転がどういうものかよくわからない」と悩み相談を受けました。

確かに多くの受験生が困るポイントです。ただ、そもそもなぜわからないのかと考えると、結局「権利をイメージする力」という法律家に必要不可欠な能力の欠如が一番大きな要因だと思います。

教科書の文字ばかり追っていてもわかりませんが、一度権利が動いていく様を脳内でイメージできるようになると驚くほどスムーズに理解が進みます。また、それまでホントに苦しんでいた暗記にも大きな苦労がなくなっていきます。

世間的にあまり受け入れられないアプローチかもしれませんが、ABprojectでは「感覚」というものを大事にしています。これは、潜在意識を重要視すると言い換えてもいいかもしれません。

「わかろう」とする意識から離れ、シンプルな思考法の下で潜在意識に理解してもらうように工夫する。基礎基本から考えるというABprojectの指導スタイルは、脳科学の知見にも支えられています。

以下は、添削例です。

 

・占有改定について

 そもそも占有権と所有権との区別はついていますか占有権とは物に対する事実上の支配権のことを言います一方で所有権とは物に対する使用収益権民法206を言います事実上のものか否かが大きなポイントです

 その上で占有改定について考えます例えば引越しをする際に不要になった冷蔵庫を友人に売ることにした売買契約としましょうもっとも契約日よりも後に引っ越し日が到来することになっていたので冷蔵庫そのものの引渡しは契約日よりも後にしてほしいという合意があったとしますこの場合売買契約の効果は契約の合意とともに生じますから冷蔵庫の所有権移転の効果は契約日から生じます一方で物に対する事実上の支配権である占有権は依然引渡しが行われていない時点ではまだ元の持ち主のもとにあることになります現状所有権は友人の下へ占有権は元の持ち主引越しをする本人の下にあるという状態です

 この複雑な法律関係を解消するために占有改定があります占有権を移転させるためには原則として現実の引渡しが必要です(1821上記の状況では直ちにそれをすることが不可能ですそこで元の持ち主は以降友人のために冷蔵庫を占有する旨を表示することでその占有権を友人に譲渡することが出来るようにするのが占有改定のメリットです事実関係は変わりませんが法律関係権利義務関係に変更があります

・指図による占有移転

 これも占有権と所有権との関係が問題になります

 初期設定が占有改定の場合と違います指図による占有移転が問題となるケースは人に物を貸している場合です例えば友人に自転車を貸していたとしましょうこの場合その自転車の所有権は貸主にありかつ自転車を貸しているだけなので自転車の事実上の支配権も貸主にあると考えますこの点は、「自転車の引渡し=1821現実の引渡し)」と考えてしまう人が多いのですが、「借りる支配と理解しておいてください)。

 この前提で貸主が第三者にその自転車を売った売買契約と考えます上記の通り所有権は契約時に移転しますが占有権は現実の引渡しがないと移転しないのが原則ですそこで指図による占有移転を利用します自転車の売主自転車の貸主が自転車の借主に以降自転車の買主のために占有すること占有しているだけで占有権を有しているわけではありませんを命じ三者である買主がそれを承諾すると売主から買主への占有権移転が完了します

 所有権移転の流れと占有権移転の流れの区別単なる事実関係と法律関係の区別ができないと理解できないので非常にややこしいですが分析的に事象を把握できる能力は法律と関わらない場面でもきっと役立つので粘り強く取り組んでみてください

 ちなみになぜ所有権に加えて占有権も欲しがるのかと疑問に思うかもしれませんがそれは占有権を取得することのメリットがあるからです(188条以下)。