問題提起、本当に理解してる? 字面だけまねても不理解はすぐばれます
平成30年予備試験民法 要件効果という基本、忘れてませんか?
今回は平成30年予備試験民法です。民法は多くの受験生がよく勉強しているように思います。「民法を制する者は司法試験を制する」とはよく言われるところです。
もっとも、勉強しているのは表面的な知識ばかりで、その根っこにある大事な基礎の理解が足りてないなと感じる受験生も多いのが正直な感想です。基礎から理解できているか否かは、答案を見ればすぐにわかります。
いくら論点について詳しくても基礎基本が身についていないのが明白な答案に合格点をつけることはできません。
以下では、答案の冒頭、問題提起から厳しい突っ込みが入っています。一般の司法試験予備校なら見逃してくれるところだと思います。
最初に民法答案の書き方についてですが、私は「要件の頭出し」をするようにしていました(別に民法だけに限りませんが・・・)。「要件の頭出し」というのは、最初に検討すべき要件を①~順に列挙しておくというものです。これをするメリットは、3つあります。①最初に検討事項が明確になるため検討漏れしにくい、②読み手にとって予測可能性が立ちやすい、③要件にあてはめるという基本姿勢をアピールできる、の3つです。こうしなければならないというわけではないですが、参考までに。私自身は、答案構成で要件書き出すのも面倒、何度も六法を見返すのも面倒だったのでとりあえずやってみたのが始まりです。
では、答案の中身に入ります。第1・1の中で条文を適示しつつ請求の根拠を端的に指摘できている点はいいです。(1)アで「債務」と条文の文言を引用できている点も大事な基本姿勢です。一方、ここでAC間に契約関係がないことを明確に指摘していなかったのは、痛いミスかなと思います。記述からAC間に契約に基づく「債務」がないことに気付いていて、問題の所在を把握しているであろうことはわかります。ですが、その点を踏まえた上で、CのAに対する債務の存在を認められるか、が本問の最重要ポイントです。ここは、丁寧に問題提起してほしいところでした。①「債務」の存否の問題であることの指摘(条文適示)→②AC間に契約関係がないため「債務」が存在しない?(要件充足性の検討)→③信義則に基づく「債務」の認定の可否(②を受けてさらに検討を進める)という大まかな流れが見えるといいと思います。本答案では要件(条文)への意識は見えますが、それを事案に合わせて操作する(使う)というところまでは至っていない印象です。なかなか厳しい要求をしていますが、コツさえつかめばすぐにできそうな気配があるので頑張ってみてください。