予備試験に合格した私だから伝えられる!法学の基礎基本!

予備試験・司法試験の合格を目指していた私が法学の基礎基本とは何か…ということに悩み苦しんだ結果、たどり着いた答えを書き綴っていきたいと思います!難しい論点を解説しようとはしていません。法律の資格試験に合格するのに必要なことは法学の基礎基本を見極め、理解することだけです!

令和2年刑事系第二問の採点実感を読んでみた~その3~ 教祖を探していないか?

教祖は困ったとき助けてくれませんよ。

どの分野においても「教祖」的な存在がいるように思います。

司法試験・予備試験界にも少なからずいるでしょう。

「答え」を与えてくれる人は、ありがたい存在なのでしょうか。

「自分を伸ばしてくれる人」が必要ではないですか?

(赤い字は筆者)

※その1、その2もご覧ください。

 

まず,〔設問1〕については任意同行後の被疑者に対する任意取調べの適法性について判断した最決昭和5929刑集38479以下昭和59判例という。),最決平成元年刑集43581以下平成元年判例という。)など法科大学院の授業でも取り扱われる基本的な判例を正確に理解しその判断枠組みを意識しつつ事例中から抽出した具体的事実を分析・検討して論じれば説得的な論述が可能だと思われる

→「条文で不明な部分を判例で補うという判例法の基本的な機能を意識しながら上記判例を学んでほしいくれぐれも判例だから覚えよう!!」というような条文とのつながりを意識しない学習はしないようにそれでは使える知識として整理できないからである

 

設問2〕自白に対する違法収集証拠排除法則の適用の在り方についてはこの問題に対する判断を示した下級審の裁判例はあるものの最高裁判所判例はなく受験生にとって必ずしも十分な勉強が及んでいない論点だったかもしれないしかし自白法則及び違法収集証拠排除法則はいずれも証拠法における基本原則であり両法則に関する正しい知識や理解があれば自白と証拠物との異同や両法則の根拠・証拠能力の判断基準等に遡って考えることにより十分解答が可能であろうまた,〔設問2-2〕において甲の自白に違法収集証拠排除法則を適用する際には,〔設問1〕における下線部の取調べの適法性に関する論述内容との整合性に留意しながら論じる必要がある

→「『基本原則くらいは知っておくべきだと言われても仕方がない司法試験を受ける段階になってこれを知らなかったのであればもう合格は諦めた方がいいそして、「自白と証拠物との異同や両法則の根拠・証拠能力の判断基準等に遡って考えることにより十分解答が可能であろうとのことである既知の知識をどう使うか考えるためにはどうすればいいかは意識して学習しないと身につかないまた多くの人にとっては知らないと出来ないことでもあろう試験委員的には普通に勉強していればできるでしょ?」という感覚かもしれないが現実はそうでもないようである

 

設問3〕については類似事実による犯人性の証明に関して判断した最判平成24刑集66907以下平成24判例という。),最決平成2520刑集67以下平成25判例という。)といった基本的な判例があるただし本問はこれらの判例の事案とは異なり未だ起訴されていない余罪を類似事実として犯人性の証明に用いようとした事案でありその意味で判例に関する理解の具体的事案への応用力を試す側面を有するものである判例が示している判断基準だけでなくその理論的根拠を正確に理解していれば,X方における事件という類似事実が本件住居侵入窃盗事件についての犯人性の証明に用いられる場合の推認過程を意識して分析・検討し説得的に論述することが可能であろう

→「ある条文をこの事例に適用できるか?」という問題は多くの受験生が得意とすることのようである一方、「ある判例をこの事例に適用できるか?」という問題は多くの受験生が不得意とすることのようであるその原因としては判例自体知らないということだけでなく、「判例とは何なのかを知らないということもあると思う。「判例とは何なのかを知らないがために記憶が整理されず理解が進まないのではないかと思うあくまで私自身の経験上の話である

 

採点実感

各考査委員の意見を踏まえた感想を記す

おおむね出題の意図に沿った論述をしていると評価できる答案としては次のようなものがあ

った

まず,〔設問1〕では被疑者に対する任意取調べの限界に関して昭和59判例の示した,「強制手段によることができ任意捜査としても,「事案の性質被疑者に対する容疑の程度被疑者の態度等諸般の事情を勘案して社会通念上相当と認められる方法ないし態様及び限度において許容されるという二段階の判断枠組みについての正確な理解を示し自説の立場から強制処分の意義や任意取調べの適法性に関する判断基準を正確に提示した上で下線部の取調べによって制約される権利・利益の内容を意識しながら事例から必要な具体的事実を抽出し強制処分の意義に照らして本件取調べが強制処分に当たるのかを検討しこれに当たらないとした場合に本件取調べが社会通念上相当と認められる方法態様及び限度で行われたと評価できるのかについて判例の示す,「事案の性質被疑者に対する容疑の程度被疑者の態度等の判断要素に照らして事例に現れた具体的事情を的確に拾い上げながら論じ説得的に結論を導き出している答案が見受けられた

昭和59判例の知識等を基に法的三段論法の形で適切に論述を展開できたか比較的簡単な問題だと思われるがそれは、「手を抜いてもいい問題ということではないむしろここで得点しないと合格答案を作成することは厳しいものとなるしここで十分に得点できない者が残りの設問で挽回できる実力を有するとは考え難い

 

設問2-1〕では自白法則について自説の根拠及び証拠能力の判断基準を述べるとともに違法収集証拠排除法則については証拠物に関する最判昭和53刑集321672以下昭和53判例という。)に関する正確な理解を踏まえて自白に対する同法則の適用の有無及びその根拠を示し適用されるとした場合には証拠能力の判断基準及びその根拠を含めて自説の立場を論じ両法則の適用関係を明らかにした上で,〔設問2-2〕では,〔設問2-1〕で論じた自説の立場から,〔設問1〕における下線部の取調べの適法性についての論述内容との整合性に配慮しつつ事例に現れた具体的事情を的確に拾い上げ各自の理解に即して適用されるべき法則を適切に当てはめて結論を述べている答案が見受けられた

ポイントは上記の通り

 

設問3〕では平成24判例及び平成25判例に関する正確な理解を示しつつ類似事実による犯人性の証明が許容されないとされる場合の根拠や許容されるとすればその根拠及び判断基準を述べた上で事例に現れた具体的事情を的確に拾い上げて当てはめ,Wの証人尋問請求の可否の結論を説得的に導いている答案が見受けられたそのような答案の中には上記判例の示す判断基準を満たすことによって余人による犯行の可能性が著しく下がるために実証的根拠の乏しい人格評価を介することなく経験則により犯人の同一性を推認できることから類似事実による犯人性の証明が許されると指摘した上でその基準を事例に対し適切に当てはめているものが一定数あった

本問がWの証人尋問請求の可否の問題だということを意識して結論まで導いた受験生はどの程度いたのだろうか主に論ずべき点は類似事実による犯人性の証明の可否とその判断基準であるがそれでも設問で何を問われているのかという点は常に意識していなければならない試験本番で合格答案を作り上げるためだけではない論理的思考力の養成に不可欠だからである何となく問題を把握し何となく論点に言及し何となく答えを出していないか問いを正確に把握しそれに答えるために必要十分な論述をしようと努めてほしい

 

他方そもそも法原則・法概念の意義や関連する判例の判断基準等についての記述が不十分・不正確で当該項目についての理解が不足していると見ざるを得ない答案や法原則・法概念の意義や関連する判例の判断基準等として記述された内容自体には問題がないもののこれらを機械的に暗記して記述するのみでなぜ法原則・法概念がそのような意義を持つものとされまた判例においてそのような判断基準が採用されているのかを当該法原則・法概念の趣旨や当該判例の理論的根拠に遡って論述することができていない答案具体的事実に対してそれらの法原則・法概念や判断基準等を的確に適用することができていない答案具体的事実に対する洞察が表面的でその抽出が不十分であったりその事実の持つ意味の分析が不十分・不適切であったりする答案が見受けられた

この部分は受験生の知識不足・理解不足を指摘するものであるしかし推測するにこれは刑訴法分野だけの問題ではない十分な学習時間がなく刑訴法分野の学習が未了の者を除けばこのような状態に陥ってしまう受験生には法学習全体に関わる問題があると思われる見るべきものや考えるべきものをきちんと認識しないまま何となく学習しているのではないだろうか同じ教科書を使っていても身につくものは違うものとなりがちである意識や認識の違いがあるからであるせっかく努力するなら身につく努力をしてもらいたいそれはほんの少しのきっかけと心がけから始まるものである

 

※ABprojectは、宗教ではありません。

coconala.com

coconala.com

coconala.com