予備試験に合格した私だから伝えられる!法学の基礎基本!

予備試験・司法試験の合格を目指していた私が法学の基礎基本とは何か…ということに悩み苦しんだ結果、たどり着いた答えを書き綴っていきたいと思います!難しい論点を解説しようとはしていません。法律の資格試験に合格するのに必要なことは法学の基礎基本を見極め、理解することだけです!

令和2年刑事系第一問の採点実感を読んでみた~その3~ 見えないものを見えるようにするにする

「なぜできないのか?」を基礎基本から説明する。

 

基礎基本に立ち返らないと見えないことがあるのに、先を急ごうとするのはナンセンスです。

(赤字は筆者)

 

イ 設問について

本設問では出題の趣旨で記載したないしの事実を挙げつつこれを根拠に実行行為性又は実行の着手因果関係及び故意を否定するための理論構成を記述することが求められていたが多くの答案は必要な記述を展開することができていた

他方理論構成に関する基本的理解が不足しているとの印象を受ける答案も目立った例えば因果関係を否定する場合には被害者の特殊事情を判断資料に含めるべきかという視点が不可欠であるところこのような視点を欠いたまま諸般の事情の総合的判断によって因果関係を否定するなど論理過程に疑義のある答案が散見されたまた甲が第行為を止めたことに着目して甲に中止犯が成立し殺人未遂罪になるため殺人既遂罪は成立しないと結論付ける答案も相当数あったしかし中止犯は未遂犯の成立を前提とする以上中止犯が成立することが殺人既遂罪の成立を否定する理由とならないことは明らかであるこれらの答案はいずれも総じて論証パターンを無自覚に記述しているにすぎないとの印象を受けた

この辺りの知識は短答過去問でも触れられているはずである短答過去問の学習は同時に論文対策にもなる予備試験・司法試験の過去問は論文・短答問わず十分に繰り返しておいて損することは絶対にない刑法の基本的理解をサポートしてくれる再考の素材ばかりである刑法に限ったことでないが)。

 

ウ 設問について

本設問では前述のとおり,⑴ないしの各行為の擬律判断が求められていたところこれら各行為をまんべんなく検討している答案は少数であった。⑴の行為についてはそもそも項詐欺罪の成否が問題となることを把握できていない答案も多かったがこれを把握できている答案についても甲が自己名義の預金口座から犯罪によって得た金員の払戻しを請求しているという事情を適切に評価している答案はごく一部にとどまった

→「少数であったという記述から推測するに多くの受験生にとってこの部分は難しかったのであろうこの点に言及しなかった答案は、「甲が自己名義の預金口座から払戻を受けていることを評価した結果であろうかしかし、「犯罪によって得た金員の払戻しという特殊事情(=典型的なケースでは存在しないであろう事情に注目して要件検討をする姿勢は見せられたのではないか。「要件効果という基本に立ち返って粘りを見せられた受験生は知識の有無に左右されない正しい法的思考を身につけているものと思われる

 

の行為については横領罪の成否が問われていることを把握できてはいてもその客体が500万円に限定されることや検討対象となる行為と客体の特定を意識的に結び付けて論じることができている答案は必ずしも多くなかった

この点については上記の通り

の行為については早すぎた構成要件実現の処理が問われているところ甲の計画に反し行為によっての死亡結果及び財産上の利益の移転が現実化しているため,2項強盗殺人罪の成立を認めるためには同罪の実行行為及び故意が認められるかを具体的に論ずることが必要になるがそもそも問題の所在を適切に指摘できている答案は少数にとどまった例えば多くの答案が出題の趣旨で記載した最決平成1622刑集58187頁が示した判断要素を前提として行為の段階で実行の着手が認められることから故意既遂犯の成立を導いていたが実行の着手が認められることがなぜ故意既遂犯の成立を認める論拠となるのかについて十分な説明を欠いている答案が多数であった

判例をそのまま覚えているだけだから説明できないのである故意既遂犯が成立するためには何が必要なのかを意識していれば判例の内容を改めて整理してインプットしそれを答案上でも表現する必要があることに思い至るはずである

 

強盗の実行行為性すなわち第行為自体あるいは第行為と一体的に評価された第行為が強盗罪にいう暴行に該当するか否かについて論じることができている答案は少数であった

ここは多くの答案において条文の文言に着目すること実行行為性という構成要件に着目することという基本が出来ていないと指摘されたものであるこれらはいつも当たり前に意識すべきことであるなぜなら犯罪成立を導く法的根拠であり要件であるからである

 

他方強盗罪の実行行為性を認める立場からは同罪の手段と評価し得る行為によりが死亡した本事例では強盗の機会性の有無について論じる必要はないはずであるのにこれを長と論じる答案が散見された関連する論点をとりあえず書いておこうとするのではなく具体的な事案の解決において必要となる論点に絞り込んで検討することが肝要である

→「何を書いていいかわからない時にとりあえず何かを書いておくパターンで上手くいくことはほとんどない大抵墓穴を掘るだけである。「沈黙は金なりである司法試験で大事なことは、「間違えないことだからである

 

少数ながら甲が500万円の返還を免れたことが昏酔強盗罪の客体に当たるとして同罪の成立を認め,「2項昏酔強盗殺人という犯罪が成立するとした答案もあったしかし条文上昏酔強盗罪の客体が財物に限られていることは明らかであり基本的知識の不足と条文を確認する姿勢の欠如が感じられた

昏睡強盗罪についてしっかり学んだことがなかったのかもしれないそれは試験本番においてはもう仕方ないしかし試験本番において条文を確認する姿勢の欠如があったとすればこれは大きな問題である条文を確認することは普段の学習から無意識的に出来ていなければならないことだからである試験本番を迎えても条文の一字一句を全て暗記している受験生は恐らくいないだからこそ全受験生は試験本番でも条文をきちんと確認すべきである法律家にとって大事なことは間違えないことだからである

 

の行為については腕時計の奪取時点で,Aが生存していたことは問題文上明らかであるのに死亡していたとして死者の占有が腕時計に及ぶか否かを論述する答案も散見された例年指摘しているところであるが問題文をよく読んで何が問われているかを正確に把握して検討に取り掛かることが求められる

問題文を読んだものの起案段階になって読んだ内容を正確に記憶していないということは起こり得るその原因はの一つは演習不足もう一つは刑法の基本的知識が定着しておらず試験本番で頭の中が混乱してしまっていることであるいずれにしてもこれらは試験本番までの事前準備において解決しておくべき問題であるちなみに脳の機能不足を感じる受験生には、「脳トレをおススメする現にそれをやって司法試験の成績が伸びた者もいるようである

 

なお本設問で殺人既遂罪の成否を論じず自説の内容が不明の答案が散見されたこのような答案は設問での記述を所与の前提としている印象を受けたがこれを前提にするのであれば設問に関する記述が自説であることを示しつつ論じる必要があった

答案の書き方に迷う受験生は多いようである確かに経験不足ゆえに書き方がわからないこともあると思うしかしながら近時の出題傾向の変化に対応できないのは経験不足でなく法学の基礎不足だと思う法的主張の構造をきちんと理解した上問いに答える形で引き直せばいいだけだからである憲法でも同様の傾向が見られるが、「猿真似のような学習姿勢では法の本質に近づくことは難しいだろう

 

(続きは後日)

 

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