民訴法課題テスト④ 目的意識が邪魔をする??
「とりあえずやってみる」ことも時には大切
スピード感を持って成長していくためには、一つ一つの訓練に「目的意識」を持って取り組んだ方がいいと言われます。実際、深い理解を得たり、癖を矯正したりするときに、「目的意識」がとても大切だと感じた経験は私にもあります。
ただ、事前知識がもたらす弊害にも注意しておかないと、高い目標に到達するために必要な「果てしない成長」を実現できない恐れがあります。
例えば、「このストレッチにはこういう効果がありますから、ぜひやってみてください」という誘い文句はとても魅力的に感じますよね?
実際、体のどの部位を伸ばすのかを意識してストレッチすることは、「効果的な」ストレッチのために有効なアプローチです。しかし、その効果というのは、あくまで現段階で、ある人の知見の中で効果があると言えるにすぎません。多くの方の心に響く「科学的エビデンス」もあくまで暫定的かつ部分的な証明にすぎません。
他方で人体というのは小宇宙とも呼ばれ、その可能性は計り知れません。人間の有限な「意識」でとらえられる世界はその小宇宙のごくごく一部です。とすると、上記の「効果」を意識することは、小宇宙のごくごく一部にフォーカスしていることになります。それが「完全悪」とまでは言えませんが、少なくともその先に広がる小宇宙につながる足掛かりを自ら放棄している側面があることも否定できません。
法学習でも同じことが言えます。
指導者の説明に耳を傾け効率的に情報をインプットをしていくことは、一定の効果があると思います。しかし、その説明を鵜呑みにする勉強だけにとどまっていると、法という宇宙のとらえ方に「制限」が生まれてしまいます。その「制限」は勉強範囲を限定してくれますから、時にありがたく思われることもあるでしょう。しかし、難関試験になればなるほど、その「制限」は、合否の結果に重大な影響をもたらします。
同じ講義を受け同じように勉強しているのにその理解度に差が生まれるのは、この「制限」の影響度合いによるものだと思います。「人の話を聞く」という日本人として当たり前にしてきたことが、私たちの可能性を奪っているかもしれないのです。
(これに関連して「言葉で伝えられることの限界」があることも問題となりますが、これはまた明日のブログに書くこととします。)
現代において人は「意識」にとらわれすぎる傾向があるように思います。「効率的・合理的」な方法も「意識」の中でそうであると言えるにすぎません。長いスパン・大きなビジョンでとらえれば、必ずしもそれが正解とは言えないことも少なくないと思います。
目標が高くなればなるほど目的意識を持って「効率的・合理的」に進めたくなる心理は理解できます。しかし、とりあえずそれらを度外視して「とりあえずやってみる」姿勢も忘れてはいけないと思います。
「意識」でコントロールできる脳の活動は、そのわずか約5%程度ともいわれています。
それでは、民訴法課題テスト④の問題を発表いたします。
○注意書き
・参照可→六法等
・制限時間なし
・解答は記述式
・記述の構成要件→①正誤②条文の適示③問題となる要件④問題の所在
・5問中4問正解で合格
問1
当事者が本人尋問の際に自己に不利な事実を認める旨を陳述したとしても、裁判上の自白とはならない。
(正誤)
(理由付け)
問2
当事者が過失により時期に遅れて提出した攻撃防御方法は裁判所により却下される場合があるが、訴えの変更及び反訴の提起は、攻撃防御方法の提出ではないから、訴訟手続きを著しく遅滞させることを理由に不適法とされることはない。
(正誤)
(理由付け)
問3
訴えの取下げの合意が成立しているにもかかわらず、原告が訴えを取り下げない場合、裁判所はその訴えを却下することが出来る。
(正誤)
(理由付け)
問4
委任状が偽造されたものかどうかが争点とされた場合、委任状に被告の印章による印影があると当該印影は被告の意思に基づいて検出されたものと法律上推定されるが、被告は、印章が盗まれた事実を立証してその推定を覆すことが出来る。
(正誤)
(理由付け)
問5
Xが甲土地をYから買い受けたことを理由としてYを被告とする所有権確認訴訟を提起し、それに敗訴した。Xが再びYを被告として甲土地について所有権確認訴訟を提起し、前訴の口頭弁論終結前に甲土地を所有者であるZから相続していた旨を主張することは、特段の事情がない限り、既判力により妨げられない。
(正誤)
(理由付け)
民訴法課題テスト④の正解は明日2020年10月31日発表です。
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