予備試験に合格した私だから伝えられる!法学の基礎基本!

予備試験・司法試験の合格を目指していた私が法学の基礎基本とは何か…ということに悩み苦しんだ結果、たどり着いた答えを書き綴っていきたいと思います!難しい論点を解説しようとはしていません。法律の資格試験に合格するのに必要なことは法学の基礎基本を見極め、理解することだけです!

司法試験・予備試験直前だからこそ読んでほしい 難問との向き合い方

令和元年民事系第1問設問2、初見で解けましたか?

 

先日、令和元年民事系第1問の添削をしていた時、自分が受験生時代に「ひらめいた」瞬間を思い出して少々嬉しくなっていました。

あらかじめ断っておきますが、原則、司法試験・予備試験試験中の「ひらめき」は要注意です。受験生あるあるで限られた受験生に「神が下りてくる」瞬間が毎年あるようなんですが、たいてい「神が下りてきた」受験生は大失敗しています。その「ひらめき」を信じて、法学の基本とはかけ離れたトンチンカンな解答をしてしまうからです。皆さんは、「神が下りてきた」と思っても、安易に飛びつかず落ち着いて考えるようにしましょう。

 

さて、私の場合は、事前準備が功を奏し、未知の論点だったものの、自分なりに正解にたどり着けたという成功例です。

問題となったのは、令和元年司法試験民事系第1問の設問2です。「下線部㋐と下線部㋑のどちらが正当であるか」という難問が出題されました。

 

簡単に問題を整理すると、「不動産賃貸借に基づく将来賃料債権が譲渡された後、当該不動産が売却され当該不動産の賃貸人の地位が新所有者に移転した場合、上記将来賃料債権譲渡の効力は、新所有者が賃貸人の地位に基づき賃料債権を取得する効果に優越するのか?」という話です。

 

試験会場でこの問題を見たとき「????????」と思ったのを今でもはっきり覚えています。ただ、自分の中で「知らない問題が出たらどうするか」ということは、何度も事前にシュミレーションをしていたので、一呼吸おいて「いつも通り」解き始めていきました。

 

私のとった解決法を説明する前に、出題の趣旨を見ておきましょう。

 

下線部㋐を正当とする理論的な理由としては,本件譲渡契約における譲渡の対象は将来「債権」であり,譲渡人Dは,自己が取得すべき債権を処分することはできるが,他人が取得すべき債権を処分することはできないから,本件譲渡契約の効力は,Hが取得する賃料債権に及ばないとすることなどが考えられる。また,結論の妥当性の観点からの理由としては,将来債権譲渡は,もともと将来の債権の発生という不確実な事実に効力をかからせるものであり,賃貸借の目的不動産の譲渡により将来賃料債権の譲渡人(D)が取得すべき賃料債権が発生しなくなることは,当然想定される事態の一つであってやむを得ないことや,将来賃料債権の譲受人(F)が権利を失うことになる不利益は,将来賃料債権譲渡の契約の当事者(D及びF)の間で解決されるべき問題であることなどが考えられる。
これに対し,下線部㋑を正当とする理論的な理由としては,本問における将来賃料債権の譲渡は,本件賃貸借契約から将来生ずる賃料債権を譲渡の目的とするところ,Hは本件賃貸借契約における賃貸人の地位を承継するのであり,Hの下で生ずる賃料債権も本件賃貸借契約から生ずるものであるため,本件譲渡契約の効力がなお及ぶと考えられることなどが挙げられる。また,結論の妥当性の観点からの理由としては,賃貸借の目的不動産を譲り受けようとする者は,賃借人への照会その他の調査により,将来賃料債権譲渡がされた事実を知ることが通常可能であり,実際,本問においてHは本件譲渡契約がされたことを知りつつ本件売買契約を締結しているから,目的不動産(乙建物)の譲受人(H)が不測の不利益を受けることにはならないことや,下線部㋐を正当とすると将来賃料債権譲渡の効力が賃貸借の目的不動産の譲渡により容易に失われるため,将来賃料債権譲渡の有用性が著しく損なわれてしまうことなどが考えられる。

 

言われてみればわかる気もしますが、初見の問題・考えたこともない問題でいきなりここまで書くのはほぼ不可能な気がします。もっとも、以下に載せる採点実感の中では「少数ながら」高い評価を得られた答案も存在すると言及されています・・・皆さんにはその一例をお伝えしたいと思います。

 

③については,将来債権譲渡の譲受人(F)と目的不動産の新所有者(H)との間の対抗要件の具備の先後で決するとして,Fの主張に軍配を挙げる答案が目立った。しかし,この立論は,FもHも共に将来賃料債権を取得し得ることを前提としていると考えられるが,そもそも,将来賃料債権譲渡がされた目的不動産の所有権が移転し,譲渡人(D)が所有者でも賃貸人でもなくなったときに,それ以降に発生する賃料債権について将来債権譲渡の効力が及ぶのかという問題の本質がつかめておらず,低い評価にとどまった。その一方で,自説の理論的根拠と実質的妥当性について,複数の論拠を挙げ,反対説からの反論にも適切に応接する答案も少数ながら存在し,高く評価された(③について論ずべき事項については,既に公表した出題の趣旨を参照されたい。)。

 

長くなってしまったので、続きはまた明日。

 

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