司法試験・予備試験基本7科目の全体像 当ブログのまとめとして
7科目はそれぞれ個性があるものの完全なる独立体ではない
さて、前回まで法的なものの考え方から始まり各科目についてのごくごく簡単なポイントまとめをしてきました。
今回は、それらの総括として全体像に関する私なりのまとめを書ければと思います。
先に結論として示しておきたいのは、「7科目は別科目であっても相互に関連性を有する」ということです。
つまり、法を正しく理解していれば、ある特定の科目だけでなく、全部の科目の理解が相乗的に深まってくるということです。
以下の図を見てください(絵がへたくそ過ぎることは、この際どうでもいいことです)。
この図の見方を簡単に説明すると、黄色の部分が憲法です。
赤い部分が法学の基礎基本です。
そして、白い6つの枠は、民法・商法(会社法)・民訴法・刑法・刑訴法・行政法を示しています。
次にこの図の意味を説明します。
全体の核となるのは、見ての通り、法学の基礎基本(赤)の部分です。
仮にここが欠けてしまうとすると、その周りにあるものが集約される基盤を失うことになってしまいます。
それはつまり、学んだ知識を整理した状態で脳内にとどめおくことができないということです。
「いくら各科目の教科書を読んでもわからない、記憶に残らない」というのは、ここに原因があることも少なくありません(単に勉強不足ということもあります。白部分の蓄積が足りないということです。)。
憲法部分(黄)は、白くなった他の6科目を囲むようにして書かれています。
これは、他の6科目が常に憲法の支配下にあることを意味しています。
憲法分野の議論を他の科目ですることは少ないですが(刑訴法はちょくちょくありますが・・・)、他の科目が憲法と切っても切れない関係にあることを示しています。
「民法の契約が・・・」とか、「所有権に基づく・・・」とか、当たり前のように議論してますが、全ては憲法に守られているからできることなのです。
条文そのものの違憲性が問題になることもありますし、条文をめぐる解釈・議論の妥当性について違憲性が問題となることもあります(適用違憲・処分違憲の話になりましょうか・・・)。
したがって、憲法は、一つの試験科目であると同時に、それにとどまらない非常に大きな存在と言えます。
これに気付き、視野を広げられるようになると、急に法律間の横断的な理解・体系的な位置づけへの理解が深まっていくように思います。
最後に白い部分(6科目)及びそれに並列する黄色部分(憲法)についてです。
これらは、まず法学の基礎基本(赤)部分に接するという点で共通性があります。
いずれの科目でも同じように法学の基礎基本が妥当すると言えます。
「科目ごとの答案の書き方」を知りたがる受験生が少なくなく、そのような指導をする予備校講師がいたりするのですが、本質的にはそういったアプローチによる勉強は間違っていると思います。
表面的な答案の型に違いがあっても、その根底にある思考枠組みの基礎に違いはありません。
科目ごとにアプローチを変えるのは、いかにも受験戦略的な戦い方であり、真の実力養成に逆行する勉強方針だと思います。
次に白い部分には、あえてどの科目がどの部分に入るのかを書いていません。
それは、科目相互の関連性がある程度流動的なものだと考えるからです。
ある科目で学んだものの見方や考え方が、全然関係なさそうな別の科目の論点を攻略するヒントになったりします(「民法の所有と占有の一致→刑法では?」的な話です。)。
民法商法が関連性を持つのは、一目瞭然なんですがね・・・。
というわけで、司法試験・予備試験の勉強は、結局のところこの図を完成させることが目標だと私は考えています。
各科目ごとにいくら知識を蓄えても、それを一つの円枠の中に納めなければ、真の理解にはつながりません(付け焼刃的な知識の量が増えるだけですね・・・)。
各科目の教科書には載っていない「法学の基礎基本(赤)」もきちんと知っておかなければ、正確な理解に基づく安定した成績はとれないでしょう。
共感してくださる方が一人でも増えることを願います。
今後も添削指導は随時続けていきますので、興味のある方は、ぜひコメントお願いします。